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2010年06月04日

過払金返還事件の最近の特徴について

 最近、よく耳にしたり目にしたりするのが、過払金の返還ができることを宣伝する広告である。広告を出しているのは、弁護士、司法書士および行政書士である。
 昔は、弁護士等が新聞やテレビに広告を出すというようなことは全く考えられなかった。弁護士について言えば、弁護士会の決まりで、弁護士は広告をすること自体が規制されていたために、広告を出すことができなかったのである(違反すると処分を受けた)。
 ところが、最近になって広告に関する規制が大幅に緩和されたために、このような広告が出せるようになったのである。弁護士を含めた民間人における自由競争を是とする者からすれば、このような現象は、大いに結構な事態ということになろう。しかし、何事も行き過ぎは良くない。
 弁護士や医師は、商売人ではなく、その仕事は本来的に公共性を帯びている。金が儲かりさえすればそれで良いという職業では決してない。弁護士や医師は、その専門的知識を活用して、国民の生活がより良いものになるために存在する職業である(そもそも金儲けをするために、資格を取ってなる職業ではない)。
 以上の見地に立って考えた場合、昨今の新聞やテレビによる広告に何か問題点はあるだろうか?過払金返還請求事件に関して言えば、相談者(依頼者)を取り巻く法的状況を十分に考慮した上で、どのような法的処理が採られるべきかをよく考える必要がある。
 例えば、弁護士が、失業のために現在収入がない相談者から相談を受けたとする。相談者の話によれば、「5社から借入をしており、現在の債務が300万円」だったとする。そして、取引履歴を業者から取り寄せて、債務の内容を確認したところ、甲社については過払金50万円が返ってくる見込みがあり、乙社は債務がほぼゼロ円になることが判明し、それ以外の3社については、利息制限法で引き直して計算しても、200万円の債務が残るということになった場合、相談を受けた弁護士はどう判断すべきか?
 最大のポイントは、200万円を今後返済することができるかどうかである。200万円を3年以内の分割払いで支払うことが確実にできれば、分割払いの示談を3社と締結すればよい。しかし、現実問題として、失業中の者が200万円を3年間で弁済できるとは、全然考えられない。このような場合は、相談者の希望も聞いた上で、普通は自己破産を選択することになる(自己破産をすれば、債務は最終的にゼロ円になる。)。なお、自己破産のための弁護士代は、甲社から返還された50万円の中から、十分にまかなうことができる。
 ところが、一番の問題は、新聞やテレビで大量に宣伝をしている弁護士等が、そこまでよく考えた上で、事件処理を丁寧にしてくれるか?という疑問である。ここで、一番やってはいけないのは、甲社だけから50万円を返還させ、弁護士が所定の報酬を貰って、残金を相談者に返金し、また、乙社とは債権債務がない旨の和解を行って決着させ、残りの3社については、何もしない(あるいは示談条件が折り合わないということで、事件処理を終了すること。)である。金儲け主義の事務所に依頼した場合、このような一番やってはいけない処理をされてしまう危険がある(その弁護士は、過払金の報酬を貰って一件落着とする。そして、次の新たな依頼者を獲得することに全力を注ぐ。)。一方、相談者は、結果的に200万円の債務が自分に残ってしまう。しかし、依然として返済困難のために、別の弁護士に相談するはめになる。そうすると、今度は、自己破産の費用(30万円程度)を別の弁護士に支払う必要が出てくる。
 このように過払金返還事件一つとっても、どのような法的処理をするのが相談者にとって一番利益になるかを良く考えることが基本となる。その点、司法書士は、簡易裁判所の訴訟代理権しかないから、過払金の返金請求額が140万円を超える場合は、筋をとおして訴訟で返還を求めることは不可能である(この場合、地方裁判所の裁判となるが、この場合は、本人が原告という立場で法廷に出て、司法書士は傍聴席から小声で本人に指示をすることがあると言われている。これは、違法とまでは言えないが、実に見苦しい光景であることは間違いない。)。また、行政書士は、報酬を得る目的で他人の法律事件の代理人になること自体が禁止されているから、金額の多寡を問わず、過払金返還の代理人となることはできない。もしこれに反した場合は、行政書士は、2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられる(弁護士法77条3号参照)。
 このように考えると、一般の市民としては、新聞やテレビを使った宣伝広告を派手にやっている弁護士等に相談をする際は、上記の点をよく確かめるくらいの慎重さが必要となる。私としては、金儲け主義にもつながりかねない現在の風潮には危惧感を覚える。

2008年05月10日

昔、自己破産宣告を受けていても、現在過払金返還は可能

 皆さんの友人や知人の中で、今から5、6年以上も前に裁判所で自己破産手続きをした方はおられないであろうか。今から5、6年以上も前においては、現在のように自己破産手続きに伴って過払金の返還をサラ金業者に求めることは余り一般化していなかった。そのため、自己破産手続きの委任を受けた弁護士は、サラ金業者に対し、債務残高証明書を郵送することを求めるにとどまり、それ以上、詳細な取引履歴の開示までは必ずしも求めてこなかった(なお、現在では過払金の発生が見込まれるサラ金業者に対しては必ず全部の取引履歴を開示するように求めている。これは破産裁判所の指導方針が変化したためである。もちろん最近の最高裁が借手保護の立場を鮮明にした判決を多く打ち出したことによって、過払金返還請求が5、6年前とは比べ物にならないくらい簡単になったことも大きい。)。
 問題は、今から5、6年以上も前に自己破産宣告を受けた方々が、現時点で過払金返還請求をすることができるか否かである。5、6年以上も前に自己破産手続きをとった際に、表面上は債権者とされたサラ金業者であっても、仮に当時、全部の取引履歴を開示させておれば、実は債権者ではなく、逆に過払金返還債務を負う立場に陥っていたサラ金業者も少なくない(ただし、全取引期間が数年間にとどまる方は、過払金が発生することは通常あり得ない。少なくとも7年から8年以上継続して取引きしていたことが必要である。なお、過去に債務を完済した方は、ほぼ確実に過払金が発生する。)。
 現に、私の事務所では、今から4、5年も前に自己破産宣告を受けられた方々からの依頼に基づき、当時債権者名簿に掲載されたサラ金業者に対し、全取引履歴を開示するように求めて交渉を行っている。つい最近も、元自己破産者であったAさんの依頼を受けて、サラ金大手の某社と交渉した結果、本年6月下旬には520万円が返還されるとの示談が成立した。
 ただし、消滅時効について気を付ける必要がある。民法167条によって、債権は10年間行使しないと時効で消滅してしまう。仮に過払金返還請求権があっても、発生時から10年経過すると返還請求は認められなくなる。ここで、発生時とはいつか?という問題がある、細かく考えると相当難しい議論になるが、ここでは話を単純化して説明しておきたい。「最後の取引があった日」を発生時と考え、その時点から、10年以内に請求しなければならないという風に覚えておけばよい。
 もし、皆さんの中でこの問題について相談したいとのご希望があれば、是非法律相談を受けられるようお勧めする。

2007年08月28日

サラ金への過払金返還請求

当事務所でも、相談者から過払金の返還請求を依頼される件数が最近増えている。過払金とは、従来、サラ金業者が定める利率と利息制限法で定める利率とに大きな格差があったため、長年にわたってサラ金を利用していると、その差額分が非常に大きな数字となり、借金元本に充当してもなお余剰金が出る現象を指す。
 従来、サラ金業者の主張は、貸金業規制法の「みなし弁済」規定の適用があるとして、今までは利息制限法を上回る利息を堂々と取っていたのである。ところが、最近の一連の最高裁判決によって、みなし弁済規定が適用される余地(可能性)はほとんど無いとされるに至った。
 そのため、15年、20年と返済と借入を繰り返している債務者の場合、過払金が100万円とか200万円にものぼることが決して珍しくない(当事務所の過去最高返金額は、1人1社で385万円である。)。逆に言えば、過払金返還請求が出来ることを知らない債務者は、それだけで大きな損をしていることになると言ってよいであろう。また、最近(10年以内)完済している場合であっても、過払金の返還請求は原則可能である。
 たとえ法的知識を債務者本人が持ち合わせていなくても、身近に相談できる弁護士などがいれば、過払金が生じる見込みがあるか否かはすぐに教えてもらえる。自分自身に何か心当たりのある方は、念のため弁護士などに相談されることをお勧めする。