衆議院議員の選挙が明日10月15日(火)に公示される。
これまで各党の総裁または党首による討論番組を何回も見たが、いずれの放送も同じような内容であった(もちろん毎回発言の内容が変わっては困るが)。
テレビ報道をみる限り、主たる争点は「政治とカネ」あるいは「自民党の裏金問題」となっている。しかし、はっきり言って、政治とカネの問題は大した問題とは思えない。些末な問題にすぎない。なぜなら、この手の問題は最近になって急に出てきた話ではなく、長い歴史があるからである。また、この問題は、今後、疑惑が生じないように法律を変えれば簡単に解決できる。解決策があるのである。要は改正案に賛成するか否かで決まるのである。であれば、国会で議論を重ねた上で、新しい改正法を制定すれば一夜にして問題が解消する。
したがって本来であれば、国防の在り方、経済を発展させる具体論、人口減少を具体的に食い止める方策などに力点が置かれるべきである。これらの問題は、単に法律を改正してすぐ解決できる問題ではない。解決には多大の困難と時間がかかるのであり、このような重要課題にこそ議論を集中させるべきである。
さて、現行の小選挙区制度について検討する。これほど悪い制度はない。理由を以下に掲げる。
第1に、そもそも現行の小選挙区制度ができた理由とは、政権交代が可能な選挙制度に変えるためであった。確かに、一時期、民主党の政権ができたが、余りにも酷い内閣であったため、数年で瓦解した。その後は、昔のとおり、自民党の政権が継続している(公明党も連立与党となっているが、この立場は脇役であり、主役ではない)。小選挙区は、昔の中選挙区と異なって、1つの選挙区に各党が1人の候補者を出す(もちろん各党が候補者の擁立をあきらめて、初めから立てないことも多い)。そうすると、自民党の政策を支持する有権者であっても、たまたまその有権者が居住する小選挙区において立候補している自民党の公認候補者が嫌いであって、気に入らない場合、白票を投ずるほかない(あるいは最初から投票所に行かない)。
私が居住する岐阜1区の場合、自民党は野田聖子という候補者を立てているが、私はこの人物が嫌いであり、この人物に投票することは100パーセントない。ところが、同じ岐阜1区には、日本共産党のYという候補者が出る予定らしい。しかし、リベラル・左翼・共産主義嫌いの私がこの人物に投票することはあり得ない(共産党政権の下では、そもそも国民の言論の自由は存在しないため、最悪の思想というほかない)。結果、誰にも投票できないということになる(他方、岐阜5区の自民党候補のH氏は私と考え方が近く、この人物であれば投票が可能である)。このように有権者の希望ないし意思が反映できない選挙制度は最悪である。
第2に、中選挙区制度の場合、上記とも関連するが、同じ自民党から複数の候補者が立候補するため、有権者としては、その数人のうち自分の思想に近い人物を選び、投票することが可能となる。また、中選挙区制度の場合、各党が、支持基盤の多寡に応じ、適切と思われる人数に絞って候補者を立てることになる。例えば、定員5人の選挙区の場合、政権党としては候補者の共倒れを防止するため、3人程度の人数に絞らざるを得ない(仮に枠一杯の5人出した場合、票が分散して当選は2名となることもあり得る)。他方、各野党も、本気で当選を狙うのであれば、1人の候補者に絞ることを余儀なくされる。つまり、それだけ、人物の査定が厳しくなり、候補者の質が上がる。現在のように、「何だこれは?有権者を甘く見るな」という反応が出る候補者は淘汰される。
第3に、小選挙区制度の最大の悪弊は、小選挙区制度の欠点である「死票が多い」という点を補足するため、比例代表制というものを創設し、小選挙区で負けた者(負け犬)を救済する制度があるという点である。これは本当におかしい。小選挙区で、「お前はダメだ」と有権者から烙印を押された、つまり次点にとどまって落選した不適格候補者を救済してやろうという制度だからである(プロ野球のようなスポーツであれば、1点差であっても10点差であっても、負けは負けである)。このように、いわゆるゾンビ議員を生むのが小選挙区制である。また、比例区は、上位に名前が掲載されれば、有権者が全然信任していない問題人物が、政党の思惑次第で当選できてしまうという、反民主主義的要素がある。政党の意向が100パーセント反映されることになる酷い制度である。まさに欠陥選挙制度と言ってよい。以下、具体例をあげる。
本多平直という人物がいる。かつて北海道4区で立憲民主党から出た議員である。この人物は、立憲民主党の枝野幸男議員の下で働いていた経歴がある。しかし、この人物は、2021年に問題発言をして(内容は未成年女子との親密な交際についての個人的意見)、最後は議員辞職に追い込まれた。
しかし、今回、立憲民主党は、東京の比例代表の名簿にこの人物を記載する予定という。立憲民主党の野田代表は、自民党の裏金問題を激しく追及している一方、裏ではこのような輩を国会議員にしようとしている。左翼政党である立憲民主党がいかに信用できない政党であるかが分かる。「忘れていないぞ。有権者を甘く見るな。いい加減にしろ」と言いたい。
結論。何が言いたいかというと、全国の全てを中選挙区として、当該選挙区において当選枠に入った候補者は当選させて国会議員としての地位を与え、他方、当選に必要な票が1票でも足りなかった候補者は落選とする。もちろん、比例代表というような曖昧な制度は完全に廃止する。全てを中選挙区として、完全な真剣勝負とするのである。
この方法を採用することによって、活動家(扇動家)まがいのおかしな候補者が国会議員となることをほぼ阻止することができる。要するに、口先だけの不適格者を完全に淘汰することができる。これによって、一定のレベルを維持した責任ある議論が国会(本会議または委員会)で展開されることを期待することができる。「岸田首相は鬼です」などと書かれた意味不明のボードを国会の委員会において掲げて喜んでいるような輩は排除することが可能となる。
改めていうまでもないことであるが、無駄な国会議員(ボンクラ人間)が余りにも多すぎる。現在の半分の人数で十分足りるのではないのか?いてもいなくても国政に影響のない余剰人員を大胆に削減し、国費の無駄遣いをしないように改善すべきである。
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