058-338-3474

お問い合わせ電話番号
受付時間:午前10時~午後5時

電話でのお問い合わせ

弁護士日記

弁護士日記

年末ジャンボ宝くじと闇バイト増加との関係

2024年12月08日

 年末になると、頻繁に年末ジャンボ宝くじの宣伝がテレビコマーシャルで行われている。昔はあまりそのような宣伝はなかったと記憶する。テレビを利用した宣伝が盛んになったのは、比較的最近のことではないか。一体、誰がこのようなおかしな企画を立案して、さらに実行に移しているのかは不明であるが、あまり褒められたことではない。
 このコマーシャルの問題点は、ほとんど当たる確率のない賞金を、あたかもよく当たるかの如く印象付けている点である。1等が当たる確率は2000万分の1と言われている。1等は7億円であり、前後賞は、各1億5000万円であるから、仮に1等のクジを引き、さらに運よく前後賞のクジを引くことができれば、合計で10億円となるわけである。
 しかし、1等のクジだけを考えても、上記のとおり、当たる確率は2000万分の1であるから、その前後賞を同時に当てる確率はさらに低下することになるはずである。そうすると、見事10億円を当てる確率は、日本国の全成人全体数のうち2人以下になる計算となる。また、10億円を得るには、必ず1等を当てることが必要条件となる。すると、最大限見積もって、1等の本数である23を掛けた人数を上回ることはないと考えられる(1等賞23本、前後賞46本)。
 年末ジャンボ宝くじを発売している法人は、そのことはよく承知しているはずである。にもかかわらず、テレビのコマーシャルでは、誰もが僥倖に恵まれる可能性(確率ではない)があるかの如き「夢」を打ち出している。しかし、これは一種の催眠商法であり、おかしいのではないのか。
 今年は、常連の男優(T)と女優(Y)のほか、演歌歌手の大御所やお笑い芸人も動員され、何とか視聴者の関心を引こうとしているように思える。特に、Tは俳優だけあって、テレビ画面上に大写しされる表情は、まさに「詐欺師」そのものである(さすがの演技力である)。もちろん、このようなコマーシャルを放映することは法令に違反するものではない。法律上は問題ない。テレビ局としても、コマーシャル料を多く貰えるから、何ら異議はないはずである。
 しかし、このコマーシャルに影響を受けた庶民が、大切なお金を浪費するような現象が起きたとしたらら、やや問題である。というのも、宝くじを1枚や2枚買う程度であれば、ほとんど弊害はない。しかし、一攫千金を目論んで、借金をしてまでして宝くじを大量購入する者が続出するとしたら、問題がないとは言えない(何十年も前のことであるが、警察に逮捕された被疑者の中で、そのような者が現にいた)。
 大体、何の苦労(努力)もしないで大金を得られるという考え方自体が間違っている。ところが、年末ジャンボ宝くじの宣伝は、そのような根本的に間違った考え方の蔓延を手助けしているようにも思える(ただし、これはあくまで個人的感想である)。この認識は、最近、「闇バイト」に応募し、安易な方法で大金を稼ごうという不逞の輩が続出している現象と深く関係している(昔はこのような安易極まる考え方を持つ犯罪者はあまり見かけなかった)。
 見ていて不愉快であり、いかにも卑しい気がする。結論として、問題の多いコマーシャルであると言わざるを得ない。早々に打ち切るべきである。

日時:18:31|この記事のページ

ページの先頭へ

Copyright (c) 宮﨑直己法律事務所.All Rights Reserved.