大相撲の豊昇龍に関し、1月26日、日本相撲協会の審判部は理事長に対し昇進を諮る臨時理事会開催を要請したという。これによって豊昇龍が横綱に昇進することが事実上決まったと報道されている。既に横綱昇進が決まったような報道ぶりである。
これは全く喜べない。日本相撲協会は、たった2回の優勝だけで横綱にしたいというのである。非常に馬鹿げた話であり、長い大相撲の歴史に泥を塗る事件(後に「黒歴史」という悪い評価を受けることになると私は予想する)と評することもできよう。このような不合理な話が進んでいる最大の原因は、今場所限りで横綱照ノ富士が引退したことである。
つまり、このまま新横綱が誕生しないと、来る春場所には横綱不在の事実が現実となるということである。そのような事情が大きく影響していることは疑いない。そのようなことになったら外聞がよくないという(理事会幹部の)自己保身の論理から、今回のような馬鹿げた決定(開催要請)を強引に行ったということではなかろうか。
ただし、現時点(1月27日午後5時30分時点)で横綱審議委員会で3分の2以上の賛成があったという報道はない。仮に日本相撲協会の理事会の筋書きどおり、審議委員会が承認をした場合、審議委員会自体の存在意義が問われることになろう。そのような第三者性を欠く審議委員会(より正確には、日本相撲協会の腰巾着に堕落した審議委員会)など不要ということである。
さて、豊昇龍については、優勝回数がたったの2回という少なさもさることながら、土俵上の態度が悪い。態度の悪さは、叔父の朝青龍譲りかもしれない(血は争えない)。大相撲の歴史と伝統に照らした場合、態度と人格面は幕下の力士以下である(ただし、この点は個人的評価である)。あたかも獰猛な野生のオオカミのように見える。このような悪評判を持った力士を横綱にしては絶対にいけないのである。傲慢だった白鵬を想起せよ。
仮に横綱審議委員会が豊昇龍の横綱昇進を認めた場合、来る春場所には、見たくもない男の土俵入りをテレビで見させられることになる。これは非常に面白くない話である。一相撲ファンとしては、日本人の力士に大奮闘をしてもらい、豊昇龍を早期に引退に追い込んで欲しいものである。一刻も早く土俵上から引きずり降ろしてもらいたいと願うばかりである。
それにしても、期待された琴桜は大負けした。NHKのテレビ中継で解説に当たる親方から「琴桜は土俵を降りると本当に優しい」という話を何度も聞かされたが、その辺りの事情が厳しい勝負の世界では裏目に出てしまったのかもしれない。私としては、琴桜や大の里のようなまともな力士が横綱になることを願っている。
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