最近一番注目を引いた出来事は、おそらくアメリカのトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の間で起こった口論であろう。これには私も驚いた。口論の原因は、ウクライナ戦争をめぐる基本的な捉え方の違いからきていると思われる。この戦争は、ロシアの侵略者プーチンが仕掛けたものであり、ロシアは間違いなく侵略国であり、国際法に照らしても100パーセント悪いのはロシアである。大悪党プーチンが全面的に非難されるべきものであることは、当然である。
ゼレンスキー大統領は、そのことをトランプ大統領に分かって欲しいと考えていたのであろう。ところが、トランプ大統領は、ともかく戦争を停止させること、また、ウクライナ国内にある希少金属(レアメタル)の採掘権益を得ることしか頭になかったようであり、大悪党プーチンとゼレンスキー大統領を同じ天秤にかけ、いわば喧嘩両成敗の結果に持ってゆくことを第1に考えていたようである。トランプ大統領の人間性に問題があることはいうまでもない。
この問題は、安全保障とは何かという問題に帰着する。自国の安全保障を他国に委ねた場合、非常に理不尽な結果を受け入れることを余儀なくされる危険が根本的にあるという真実であり、日本にとっては、他人事ではないのである。それにしても、副大統領のバンスという人物は、非常に偏狭な性格の持ち主ではないかと感じた。とうてい大国の指導者に値する人間ではない。そのことを今ここではっきりと述べておく。
第二に注目されるのは、兵庫県知事の斎藤元彦氏である。百条委員会の報告書が県議会に提出された。新聞記事を読む限り、この斎藤という人物は、そもそも県知事が務まる人間ではないと私は厳しく採点する。未だに公益通報をした部下に対し重い懲戒処分をしたことは誤りだったと認めていない。大きな問題はなかったという認識であろうか。図々しく開き直っている。これは、きわめて無責任な態度であり、人間性に根本的な問題があると思われる。
この人物は、本来であれば、先の兵庫県知事選挙において落選すべきであった。人生における修行をするためには、落選して人並の苦労を味わう必要があった。ところが、兵庫県民は、何を考えていたのかは知らないが、この人物を当選させてしまったのである。当時、これには呆れた。なぜ当選できたのかという点についても、現在、兵庫県警が公職選挙法に触れる事実があったのか否かを捜査中と聞く。今後捜査が進展して、この斎藤という人物が起訴されることを期待する。
本日の産経新聞の記事には驚いた。大阪弁護士会に所属する弁護士が、部下である弁護士の職務上のミスを取り上げ、それを防止するためか、罰金制度を所内で作り、何と約650万円を巻き上げていたという。部下である弁護士は、罰金制度が導入されてからの約半年間で、自分の給与額を大きく上回る656万円を支払ったという。大阪弁護士会から懲戒処分を受けた所長弁護士は、罰金制度は勤務態度を改善させるためのものであり、部下である弁護士もこれを了解していたという内容の弁解をした。全く話にもならない言い分である。人間性に問題ありと感じた。ただし、大阪弁護士会が下した処分の内容は、「戒告」と聞く。要するに重く注意をしたという程度のものであって、おそらく処分を受けた弁護士の売上に大きな影響は与えないと思われる。
弁護士という職業は、一般論として、確かに依頼者の無理な主張であっても、形式面を整え、あたかも正当な主張であるかのごとき内容としてまとめる仕事の側面を否定できない。実際に裁判の中でも、とんでもない内容が書かれた書面を目にすることも間々ある。しかし、今回の件は、余りにも酷すぎる。まさにパワハラに相当する非行を弁護士自身が行っていたということであり、弁解の余地はない。司法試験は、数十年前の常識では、数多くの国家試験のうち最難関の試験であるという評価があり、これに合格した者も、良い意味のエリートとしての自覚の下、自らを律する精神の拠り所となっていた。
しかし、現在では、一定レベル以上の頭脳があれば、誰でも努力次第で合格できる「ゆるゆるの試験」になってしまった。この辺の事情も影響しているのかもしれない。煩悩だらけの平均人が弁護士になれる時代にあっては、弁護士に対し、高邁な精神を要求する方が無理なのかもしれない。
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