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弁護士日記

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今後の朝鮮半島情勢を予測する

2010年12月07日

 本年11月23日、北朝鮮による韓国の延坪島(ヨンピョン島)への砲撃事件が突如発生した。その砲撃によって、韓国軍兵士と民間人に何名かの死者が出るに至った。その後、当初、韓国は、この砲撃事件が拡大しないように考え、本格的な反撃を避けた。
 ところが、韓国国民には、政府の弱腰を非難する声が高まり、李明博(イ・ミョンバク)政権も北朝鮮に対する反撃をためらわずという方針に方向転換をした。そこで、米軍の空母を交えた大規模な米韓合同軍事演習を黄海で行い、北朝鮮に対し、警告を行った。では、北朝鮮は、今後どのような動きに出るであろうか。私なりに将来を予測してみた。
 北朝鮮では、周知のとおり、金正日(キム・ジョンイル)総書記から、その三男である金正恩(キム・ジョンウン)氏への権力承継の準備に入った。各種報道から、2013年を目途に、金正恩(キム・ジョンウン)氏に権力を承継させる方針であることは、ほぼ疑いない。
 問題は、世界最悪の独裁国家の一つである北朝鮮といえども、政権の転覆が絶対に起こらないとまでは言えないということである。北朝鮮において、現政権が転覆するということは、金親子による独裁体制が崩壊するということである。そのような事は、簡単に起こるとは考えられない。
 しかし、今後、北朝鮮国民の生活が現在以上に疲弊し、国民の我慢が限界に達したときには、内部から崩壊することもあり得る。具体的には、軍部の中で、金親子体制を守ろうとする勢力と、これに対立する勢力が対立を深めやがて武力衝突が起こる。その場合、中国はどう出るであろうか。
 中国は、共産党による一党独裁の国であって、北朝鮮の現政権とは極めて親しい。したがって、金親子体制を擁護する動きをみせることは、ほぼ間違いない。仮に、北朝鮮において親米政権(韓国が支持する政権)が誕生しては、絶対に困るのである。中国としては、安全保障の観点から、北朝鮮を、現在のように西側諸国(韓国)との緩衝地帯又は道具として使いたいと考えているはずである。
 そこで、中国の支援を受けた金親子体制側と、反金体制でまとまった勢力との内乱が始まる。しかし、中国の支援を受けた金親子体制側が軍事的に圧倒的に優位に立つことは目にみえている。
 そこで、反金体制側としては、必然的に、米国および韓国の軍事的援助を求めることになろう。米国は、現在でも朝鮮戦争が単に休戦状態にあるにすぎないことを承知しているため、反金体制側の支援に回ることによって朝鮮戦争を再開するか、あるいは戦争に巻き込まれることを嫌がって反金体制側の支援を断るかの決断に迫られる。
 その場合、北朝鮮が、どれほど核開発を進行させているかが、重要なポイントとなる。米国としては、北朝鮮が核兵器を保有することは絶対に阻止したいと考えているから、その時点で、核開発の速度が相当に進行していた場合は、核開発を完全に抑えるために、反金体制側の支援を開始することを決断するであろう。
 そうすると、第二次大戦後に勃発して、現在は休戦状態にある朝鮮戦争が、再び始まることになる。その場合、日本も、この戦争に巻き込まれることは不可避である。日本を狙ったミサイル弾が、北朝鮮や中国から発射される可能性が極めて高いからである。その場合、日本の国土や住民に損害が生ずることはほぼ間違いないから、日本も米国と一緒に戦争を行うことになる。したがって、かつての朝鮮戦争当時のように、朝鮮特需の恩恵だけを受けるような有利な立場に置かれるとは考え難い。
 仮に、ミサイルが日本に打ちこまれて、国民の財産や人命に多大の損害が生じても、「平和を守ろう。戦争絶対反対」と唱えて、敵に対して何も反撃しないという態度は、(一部のおかしな政党の政治家を除き)、国民世論の上からは、100パーセント有り得ない。
 この新たな朝鮮戦争が、どのように終結するかは不明であるが、核兵器による攻撃まではいかないと予想する。仮に、万が一、いずれか一方が核兵器を使用した場合は、相手も「自衛のため」と称して使用するに至り、その使用が次第にエスカレートしてゆく危険が高いからである。その場合は、双方の損害は破滅的なものとなるから、全然割に合わないことになる。この点は、中国も米国もよく分かっているため、水面下の秘密外交交渉によって、核兵器不使用を合意した上での戦争になると思われる。
 仮に、中国と米国のいずれかが核兵器を持っていなかったとすると、核兵器を保有していない側の戦争当事国は、極めて弱い立場に置かれることになる。両国が、決して核兵器を手放そうとしない理由は、国家の安全保障上の理由であることは明白である。

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