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交通事故の法律Q&A

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Q25 事業所得者の休業損害(その1)

設問私は自営業を営んでいますが、このたび交通事故に遭って店を3か月間閉めました。その間の休業損害を加害者に請求することはできるでしょうか?

Answer

事故で営業ができなかった場合、休業期間中の損害を加害者に対して請求することは可能です。

解 説

(1) 事業所得者の基礎収入
 (a) 基礎年収の把握
 事業所得者の場合、給与所得者と最も事情が異なる点は、所得が必ずしも明確に把握できないという点です。そのため、事業所得者の場合は、税務署に対する確定申告額を用いて所得を把握するという取扱いになっています(事故発生年の前年の確定申告額です。)。
 ただし、事故発生年の所得が、諸事情によって一時的に大きく落ち込んでいたような場合には、過去数年間の平均所得を参考にして基礎年収を決めるということが、例外的に許されています(青い本62頁)。
(b) 過少申告・無申告の場合
 事業者によっては、適正な所得税の納税を免れようとして、故意に所得を過少申告する場合があります(この場合、売上の一部を除外する方法、経費を水増しする方法およびこれらの方法を併用する場合があります。)。
また、申告するべき所得があるにもかかわらず、あえて申告をしない場合もあります(無申告)。
 これらの不正経理をしていた事業者が、交通事故の被害者になった際に、一転して申告額よりも多額の所得があったと主張することが許されるのか、という問題があります。
 結論を先にいえば、税法違反に当たるかどうかという問題と、交通事故による損害賠償請求権の問題は別個の問題であって、申告額よりも多額の所得があったことを主張することは、原則的に許容されると解されます。
(c) 賃金センサスを参考にした年収の認定
 ただし、上記の場合に、下級審判例の傾向に照らせば、申告額を大きく上回る所得が実際にあったことを立証することは容易なことではなく、結果として、賃金センサスの平均賃金、またはその何割かが現実の所得として認定されるケースが多いようです。
 (2) 休業期間
 事業所得者の休業期間(または休業率)を適正に判断することは、決して容易ではありません。
 それは、前記した給与所得者の場合とは異なって、会社という第三者的立場にある者が、事故被害者の休業期間を証明することができないためです(給与所得者の場合は、休業損害証明書による証明が可能です。)。
 そのため、事業所得者の休業損害の算定は、原則として、事故前年の所得(確定申告額)に、相当と認められる休業期間(または休業率)を乗じて行うというやり方が主流となっているといえます。
 休業期間の認定方法としては、例えば、入院期間は全期間を休業期間とみるが、通院期間は、実通院日数だけを休業したものと認定する方法、または、通院期間全体を通じて平均して何割休業したと認定する方法などがあります。
 あるいは、より単純化して、入通院日数にかかわらず、事故前年の所得と事故当年の所得を比較して、その差額(減額分)を休業損害とみる方法もあり得ます。

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