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交通事故の法律Q&A

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Q35脳外傷による高次脳機能障害(その1)

設問交通事故で頭部外傷を受けた場合に、しばしば高次脳機能障害が発生すると聞きました。高次脳機能障害とは、どのようなものをいいますか?

Answer

高次脳機能障害とは、事故後に現れる認知障害、行動障害および人格障害を典型的な症状とする脳機能の障害をいいます。

解 説

(1) 高次脳機能障害とは
 脳外傷による高次脳機能障害とは、交通事故によって脳が損傷され、そのため、いろいろな障害が生じることをいいます。
 例えば、認知障害(物を記憶できない、注意力が低下したなどの障害をいいます。)、行動障害(周囲の状況をみて適切に行動することができない、社会のルールを守れない、危険を予測して回避行動をとれないなどの障害をいいます。)、人格障害(自発性の低下、無気力、すぐに怒る、自己中心的になるなどの障害をいいます。)等の障害が出るといわれています(損保料率機構・平成23年3月4日「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について(報告書)」10頁)。
 また、高次脳機能障害者自身には、自分が高次脳機能障害に罹っているという意識(病識)が希薄である傾向がある、ともいわれています。
(2) 高次脳機能障害の有無の判定
 高次脳機能障害が生じたかどうかの判定に当たっては、次のような点が重要ポイントになるとされています。
 (a) 意識障害の有無
 脳外傷(脳の器質的損傷があるもの)による高次脳機能障害は、意識喪失を伴うような頭部外傷後に起こりやすとされています(前掲報告書11頁)。
 意識障害のレベルを測定する方法として、JCS(ジャパン・コーマ・スケール)およびGCS(グラスゴー・コーマ・スケール)があります。具体的には、 頭部外傷後の意識障害(半昏睡~昏睡で開眼・応答しない状態:JCSが3桁、GCSが8点以下)が少なくとも6時間以上、または健忘症あるいは軽度意識障害(JCSが2桁~1桁、GCSが13点から14点)が少なくとも1週間以上続いた、という事実が重要であるとされています(前掲報告書16頁)。 
 この点について、自賠責保険は、主治医作成の各種診断書のほか、「頭部外傷後の意識障害についての所見」によって判断することになります。                 (b) 画像所見
 頭部画像(CT、MRI)検査の結果、脳の器質的損傷が認められる場合は、その画像が一つの根拠となり得ます。しかし、びまん性軸索損傷(脳の広範囲にわたる器質的損傷を指します。なお、軸索とは、脳神経細胞から伸びる神経線維を指します。したがって、びまん性軸索損傷とは、軸索が事故を原因とする外力で切断されることを意味します。)の場合は、損傷状態が必ずしも画像に写るとは限らない、といわれています。
 そして、損傷した脳は、通常は萎縮してゆきますが、その萎縮に伴って脳室が拡大する現象がみられます。そこで、事故後、少なくとも3か月以内の期間における脳室拡大の有無をみれば、びまん性軸索損傷の有無が分かることになります。
 (c) 高次脳機能障害を疑わせる症状の有無
 事故被害者について、高次脳機能障害を疑わせるような症状(認知障害、行動障害、人格障害等)が、傷病の治療中または症状固定後に生じていないかどうかの事実も重要です。
 この場合、主治医による「神経系統の障害に関する医学的意見」および家族・介護者による「日常生活状況報告」に記載された事実も重要となります。自賠責保険が、被害者の後遺障害等級を認定するに当たって、これらの書類は、重い意味を持つと考えられます。
 このほかにも、各種の心理検査の結果などが参考とされます。心理検査の種類ですが、代表的なものとして、ウェクスラー知能検査の成人版(WAIS-Ⅲ<ウェイス・スリー>。なお、WAIS-Rは、かつては多用されていましたが、現在ではWAIS-Ⅲが主流となっています。)や同じく年少者用のWISC-Ⅲ(ウィスク・スリー)などがあります。

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