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交通事故の法律Q&A

交通事故の法律Q&A

Q40慰謝料に関する諸問題

設問交通事故の被害者に重い後遺障害が残った場合、被害者本人以外の家族にも慰謝料請求権は発生しますか?また、被害者本人が死亡した場合、慰謝料は誰に発生すると考えられますか?

Answer

交通事故の被害者に重い後遺障害が残った場合、本人はもちろんのこと、本人以外の家族にも慰謝料請求権が発生することがあります。また、被害者が死亡した場合、同人の慰謝料請求権を相続人が相続しますが、別途、近親者の固有の慰謝料請求権が認められることがあります。

解 説

(1) 死亡事故の場合
(a) 死亡慰謝料の相続
 交通事故によってある人が死亡した場合、同人は、加害者に対する損害賠償請求権としての慰謝料請求権を取得します。そして、その者が死亡すると同時に、その相続人が上記慰謝料請求権を相続することになります(最判昭42・11・1民集21・9・2249)。
 例えば、甲は、妻乙と子丙の3人で暮らしていたが、交通事故に遭って重傷を負い、それが原因で3日後に死亡したとします。
 その場合、甲の下で発生した死亡慰謝料を、甲の相続人である妻乙と子丙が、各2分の1ずつ相続することになります(民900条1号)。仮に慰謝料が3000万円とした場合、1500万円ずつ相続することになります。
(b) 近親者の慰謝料請求権
 民法711条は、被害者が死亡した場合に、その被害者の父母、配偶者および子(ここでは、これらの者を「近親者」と呼びます。)の慰謝料請求権を認めています。これを近親者の固有の慰謝料請求権といいます。

  民法711条 「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。」

 ここで、上記条文に含まれていない者について、果たして固有の慰謝料請求権を認めることができるか、という問題を生じます。この点について、最高裁判例は、これを肯定しています(最判昭49・12・17民集28・10・2040)。
 すなわち、「右規定はこれを限定的に解すべきものでなく、文言上同条に該当しない者であっても、被害者との間に同条所定の者と実質的に同視しうべき身分関係が存し、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者は、同条の類推適用により、加害者に対し直接に固有の慰謝料を請求しうるものと解するのが、相当である」と判示しています。

(2) 重い後遺障害が残った事故の場合
 事故被害者が死亡するには至っていないが、極めて重い後遺障害を負ったような場合に、同人が後遺障害の慰謝料請求権を有することは当然ですが、同人の近親者についても固有の慰謝料請求権を肯定し得るか、という問題があります。
 これについても最高裁の判例があり、被害者が死亡したときにも比肩し得べき精神的苦痛を受けたときは、近親者は、民法709条および710条に基づいて、自分の権利として慰謝料の請求をすることができるとしています(最判昭33・8・5民集12・12・1901)。

  民法710条 「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。」

(3) 慰謝料の増額事由
 慰謝料の増額事由として、通常、飲酒運転、無免許運転、ひき逃げ、著しい速度違反、信号無視、著しく不誠実な態度などがあげられます。
 例えば、過失の重大性・悪質性などを理由に、慰謝料額を基準額から4割増額した判決があります(大阪地判平21・1・30交民42・1・101)。
 その他、加害者が、訴訟において客観的にみて過大と評価される過失相殺の主張を行ったことが、正当な権利主張を逸脱するものとして慰謝料の増額事由とされた判決があります(名古屋地判平21・9・11・交民42・5・1194、同判時2065・101)。

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