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交通事故の法律Q&A

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Q46自賠責保険の基本的な仕組み(その2)

設問交通事故に遭って怪我をした場合、自賠責保険を使って補償を受けられるという話をしばしば聞きますが、自賠責保険とは、どのような仕組みになっていますか?

Answer

自動車を運行の用に供しようとする場合、その自動車は自賠責保険(または自賠責共済)が締結されたものである必要があります。そして、その自動車の保有者および運転者が、人身事故の被害者に対し損害を賠償する責任を負う場合、自賠責保険を使って損害を賠償することができます。

解 説

(3) 損害賠償額の請求

自賠法16条1項 「第3条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。」
2項 「被保険者が被害者に損害の賠償をした場合において、保険会社が被保険者に対してその損害をてん補したときは、保険会社は、そのてん補した金額の限度において、被害者に対する前項の支払の義務を免かれる。」

 (a) 被害者請求
 自賠法16条は、被害者請求(直接請求)について定めます。被害者請求とは、事故の被害者が、加害者の自賠責保険に対し、自分が受けた損害について直接請求することができるというものです。
 そのような権利が被害者に認められている理由は、次のとおりです。本来、事故の損害は、加害者が負担すべきものですが、加害者に誠意がない場合、被害者は早期に損害賠償金の支払いを受けることができず、被害は回復されなくなります。そこで、被害者に、自賠責保険に対する請求権を認めることによって、被害者の救済を目的としたものと解されます。
 この点について、「自賠責の被害者請求は、被害者の救済のために設けられた制度であって、その行使が義務付けられているものではない」とした下級審判例があります(大阪地判平23・3・25交民44・2・419)。
 この権利の性格について、最高裁は、「被害者が保険会社に対して有する損害賠償請求権であって、保有者の保険金請求権の変形ないしはそれに準ずる権利ではない」としています(最判昭57.1.19民集36・1・1)。
 ここでの被害者請求とは、被害者が、加害自動車に付けられている自賠責保険に対し、損害賠償額の支払いを求めるものです。
 仮に前記の例で、被害者丙が治療費1万円を乙病院に支払った場合、自賠責保険に対し、1万円の損害賠償額の支払を求めることができます。
 具体的な請求方法や必要書類については、前記加害者請求で説明したことが、ほぼそのまま当てはまります。
 なお、後遺障害による損害賠償額の支払い請求についても、被害者請求をすることができます。
 (b) 被害者請求と加害者請求の相互関係
 同条2項は、加害者が、被害者に対し損害の賠償をした場合に、その損害を自賠責保険が塡補したときは、自賠責保険は、塡補した金額の限度で、被害者からの損害賠償額の支払請求義務を免れると規定しています。
 これは、上記の例でいえば、加害者甲が、被害者丙に1万円を支払った後、その1万円について、甲が自賠責保険に対し保険金の請求を行い、自賠責保険が1万円を甲に支払うと、塡補された1万円分については、自賠責保険は、損害賠償額を丙に対し支払う必要がなくなるということです。
(4) 免責
 自賠法14条は、免責について定めます。

  自賠法14条 「保険会社は、第82条の3に規定する場合を除き、保険契約者又は被保険者の悪意によって生じた損害についてのみ、てん補の責めを免れる。」

 (a) 免責要件
 同条は、自賠責保険が免責される場合を、保険契約者または被保険者の悪意によって生じた損害に限定しています(なお、自賠法82条の3に規定された場合とは、1台の自動車に複数の自賠責保険が締結されている場合を指します。
 例えば、自分が運転する車で通行人を轢き殺そうとした場合や、他人を同乗させたまま、みずから車を崖から転落させたような場合がこれに当たると解されます。これらの場合は、免責となります。
 また、これらの行為を行った者は、保険契約者または被保険者でなければなりませんから、これらの者以外の者の悪意は、免責事由に含まれません。
 (b) 被害者請求は可能
 被保険者である加害者が悪意とされても、被害者は、自賠責保険に対し直接請求権を行使することが可能です(自賠16条1項)。そして、自賠責保険がこれに応じて、損害賠償額の支払いをした場合、自賠責保険は、政府の保障事業に対し補償を求めることができます(自賠16条4項・72条2項)。
(5) 時効
 (a) 短期消滅時効
 自賠法19条は、被害者請求権の消滅時効について規定します。

  自賠法19条 「第16条第1項及び第17条第1項の規定による請求権は、3年を経過したときは、時効によって消滅する。」
 
 自賠法16条1項の被害者請求権は、被害者の早期救済を主たる目的とするものですから、被害者が権利を長期間行使しないままでいると、3年という短期間で権利が時効消滅すると定めたものです(なお、17条1項の請求権とは、「仮渡金」に関する請求権です。)。
 消滅時効の起算点は、通常の民法上の不法行為による損害賠償請求権と同様、損害および加害者を知った時と解されますから(民724条)、原則として、事故発生日から進行を開始することになります。
 ただし、後遺障害が認められる場合は、症状固定時から起算することになると解されます(東京地判平8.12.26交民29・6・1866)。
(b) 時効の中断
 進行中の時効を中断するには、端的にいえば被害者請求権を行使すればよいことになります。また、仮渡金の支払請求(または受領)も、時効中断の効力があると解されます(仮渡金は、損害賠償額の一部としての性質を有するからです。)。
その他、自賠責保険に対し、時効中断申請書を提出し、自賠責保険の承認を得ることによって時効を中断させる方法があります(民147条3号)。
 (c) 加害者請求権の消滅時効
 自賠法15条の加害者請求権が発生するのは、加害者が損害賠償金を支払った場合ですから、加害者請求権の消滅時効の起算点は、加害者が被害者に対し損害賠償金を支払った時点と解されます。

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