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交通事故の法律Q&A

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Q47自賠法施行令と支払基準

設問自賠責保険で受けられる補償金額について、何か基準が設けられていますか?

Answer

自賠法13条は、責任保険の金額について規定していますが、具体的には政令(自賠法施行令)で定めるものとされています。また、同法16条の3は、支払基準について定めています。

解 説

(1) 自賠法13条
自賠法13条1項は、「責任保険の保険金額は、政令で定める。」と規定します。したがって、具体的な保険金額は、政令つまり自賠法施行令で定められることが分かります。
ここで注意すべき点として、三つのものがあります。
第1点は、自賠法施行令で定められた金額は、上限額を意味するにすぎず、必ずしもその金額が満額支払われるものではない、ということです。
第2点は、ここでいう保険金額とは、一被害者の一事故当たりの金額を意味しますから、自賠責保険が締結された自動車が、人身事故を起こして自賠責保険から保険金が支払われた後に、同車が再び別の人身事故を起こした場合には、再度、保険金が支払われる、ということです。
第3点は、ある事故に複数の自動車が関与した場合、それぞれの自動車に自賠責保険が締結されていれば、複数の自動車の自賠責保険を使うことができる、ということです。例えば、3台の自動車が絡む事故で負傷した被害者は、傷害による損害については、360万円の範囲で損害の塡補を受けることが可能です(120万円×3台=360万円)。

(2) 自賠法施行令
(a) 保険金の上限額
自賠法13条を受けて、政令である自賠法施行令は、2条1項および別表第1・別表第2において、保険金の上限額を定めています。
(b) 併合等級
怪我の治療後、労働能力にマイナスの影響を与える心身の状態が残ることがあります。これを後遺障害といいます。
この後遺障害が複数存在する場合、原則として、最も重い後遺障害等級の保険金が支払われることになります(自賠令2条1項3号ホ)。ただし、次のような例外があります。これらを併合等級といいます。
① 5級以上の等級に該当する後遺障害が複数存在する場合は、最も重い障害等級を3級繰り上げ、繰り上げられた等級の保険金額が支払われます(同号ロ)。
② 8級以上の等級に該当する後遺障害が複数存在する場合は、最も重い障害等級を2級繰り上げ、繰り上げられた等級の保険金額が支払われます(同号ハ)。
③ 13級以上の等級に該当する後遺障害が複数存在する場合は、最も重い障害等級を1級繰り上げ、繰り上げられた等級の保険金額が支払われます(同号ニ)。
ただし、上記③の場合、繰り上げられた等級の保険金額が、複数存在する後遺障害の等級に応じた保険金額を合計した金額を超えるときは、合計した金額が上限額となります(同)。例えば、後遺障害等級として、13級(139万円)と10級(461万円)が存在する場合の保険金額は、9級の616万円ではなく、600万円となります。

(3) 支払基準
自賠法16条の3は、保険会社は、保険金等を支払う際には、国土交通大臣および内閣総理大臣が定める支払基準に従って、これを支払わなければならないと定めます。
支払基準の具体的内容は、平成13年金融庁・国土交通省告示第1号に定められています。
支払基準は、第1「総則」、第2「傷害による損害」、第3「後遺障害による損害」、第4「死亡による損害」、第5「死亡に至るまでの傷害による損害」、第6「減額」という構成になっています。
本書では、比較的問題となることが多い点に絞って解説をします。
(a) 治療費
治療費については、あらゆる損害項目について、「必要かつ妥当な実費」を原則的に認めるとしています。
(b) 休業損害
休業損害が認められるのは、休業による収入の減少があったときです。または、有給休暇を使用したときです。この場合、1日当たり原則として5,700円が認められます。休業損害の対象となる日数は、実休業日数を基準とし、治療期間の範囲内で認められます。
(c) 傷害慰謝料
傷害慰謝料は、1日当たり4,200円です。
傷害慰謝料の対象となる日数は、治療期間の範囲内で認められます。
(d) 後遺障害による損害
後遺障害の等級の認定は、原則として、労働者災害補償保険における障害の等級認定の基準(「労災保険障害等級認定基準」労働省昭和50年9月30日基発565号)に準じて行うものとされています。
また、逸失利益および慰謝料についても基準が定められています。
そのうち、逸失利益については、年間収入に、支払基準別表1記載の労働能力喪失率と就労可能年数のライプニッツ係数を乗じて算出した額とされています
(e) 死亡による損害
死亡による損害は、葬儀費、逸失利益、死亡した本人の慰謝料および遺族の慰謝料の4つとされています。
また、逸失利益についても基準が定められています。
(f) 死亡に至るまでの傷害による損害
積極損害、休業損害および慰謝料とし、傷害による損害の基準を準用するとしています。
(g) 減額
被害者に過失がある場合、保険金等が減額されることがあります。被害者に7割以上の過失がある場合、傷害事故については一律2割の減額がされます。後遺障害または死亡事故の場合、被害者の過失が7割以上8割未満の場合は2割の減額、同じく8割以上9割未満の場合は3割の減額、同じく9割以上10割未満の場合は5割の減額がされます。

(4) 支払基準と法的拘束力
支払基準について、最高裁判例は、その法的拘束力を否定しています。
すなわち、「法16条の3第1項の規定内容からすると、同項が、保険会社に、支払基準に従って保険金等を支払うことを義務付けた規定であることは明らかであって、支払基準が保険会社以外の者も拘束する旨を規定したものと解することはできない。支払基準は、保険会社が訴訟外で保険金等を支払う場合に従うべき基準にすぎないものというべきである。そうすると、保険会社が訴訟外で保険金等を支払う場合の支払額と訴訟で支払を命じられる額が異なることがあるが、保険会社が訴訟外で保険金等を支払う場合には、公平かつ迅速な保険金等の支払の確保という見地から、保険会社に対して支払基準に従って支払うことを義務付けることに合理性があるのに対し、訴訟においては、当事者の主張立証に基づく個別的な事案ごとの結果の妥当性が尊重されるべきであるから、上記のように額に違いがあるとしても、そのことが不合理であるとはいえない。」としました(最判平18・3・30民集60・3・1242)。
要するに、裁判所は、支払基準にとらわれることなく、適正な損害賠償額を算定することができる、ということです。

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