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交通事故の法律Q&A

交通事故の法律Q&A

56弁護士資格を有しない者への事件委任

設問 私の親は交通事故で半年前に死亡しました。ところが、加害者には全く誠意がなく、損害賠償の示談交渉に応じようともしません。私は困って知人に相談したところ、知人は交通事故賠償の問題に詳しいというので、その知人に依頼して、加害者との示談交渉を始めたいと考えています。知人は、事件が無事解決したら、示談金の3分の1を報酬として貰いたいと言っています。知人に示談交渉を依頼した場合、何か問題が生じますか? 

Answer

 今回の知人のような人々を事件屋といいます。弁護士資格を有しない事件屋に交通事故損害賠償問題の示談交渉を依頼するようなことは、後で大きな禍根を残す結果となることが多いので、極力避けるべきです。

解 説

(1) 弁護士法72条について
 (a) 趣旨
 弁護士法72条は、弁護士資格を有しない者が、一般の法律事件について法律事務を取り扱うことを禁止しています(なお、条文上、「その他一般の法律事件」でいう「一般の法律事件」と訴訟事件、非訟事件などとは並列的列挙の関係にあり、訴訟事件、非訟事件などは、「一般の法律事件」には含まれていないと解釈するのが普通の立場です。一方、「その他の法律事務」でいう「法律事務」には、鑑定、代理、仲裁などが含まれていると解することになります。)。
 (b) 適用要件
 弁護士法72条違反が成立するには、次の4つの要件を満たす必要があります。今回の事例の場合は、そのすべてを満たしていると解されます(なお、罰則は、弁護士法77条3号によって、2年以下の懲役または300万円以下の罰金とされています。)。
 ① 違反者が、弁護士または弁護士法人でないこと。
 ② 違反者が、法律事件に関する法律事務を取り扱うこと(又は、その取扱いを周旋すること)。
 ③ 違反者に、報酬を得る目的があること。(注1)
 ④ 違反行為が、業として行われること。(注2)
  (注1) ここでいう報酬とは、現金に限らない。物品や供応を受けることも含まれる。また、金額の多寡を問わない。報酬を得る目的があれば足りるから、現に報酬を受け取ったことまでは必要とされていない。
  (注2) 業として行われるとは、反復継続する意思をもって法律事務の取扱いをすることである。
(2) 最高裁判例
 最近、弁護士資格のない者が、ビルの所有者から、多数の賃借人をビルから立ち退かせる交渉の依頼を受け、交渉を行った結果、多数の賃借人との間で賃貸借契約の合意解除契約を締結して明渡しを受けた上で、報酬を受領したという刑事事件がありました(最判平22・7・20判時2093・161)。
この事件について、最高裁は、「被告人らは、多数の賃借人が存在する本件ビルを解体するため全賃借人の立ち退きの実現を図るという業務を、報酬と立ち退き料等の経費を割合を明示することなく一括して受領し受託したものであるところ、このような業務は、賃貸借契約期間中で、現にそれぞれの業務を行っており、立ち退く意向を有していなかった賃借人らに対し、専ら賃貸人側の都合で、同契約の合意解除と明渡しの実現を図るべく交渉するというものであって、立ち退き合意の成否、立ち退きの時期、立ち退き料の額をめぐって交渉において解決しなければならない法的紛議が生ずることがほぼ不可避である案件に係るものであったことは明らかであり、弁護士法72条にいう『その他一般の法律事件』に関するものであったというべきである。」としました。

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