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交通事故の法律Q&A

交通事故の法律Q&A

Q58訴訟と訴訟以外の方法による紛争解決との比較

設問私は、交通事故によって、体に重い後遺障害が残ってしまいました。このたび、加害者に対する損害賠償金を請求するに際し、訴訟によるべきか、あるいは訴訟以外の方法によるべきか迷っています。何かよいアドバイスがあれば、教えてください。

Answer

交通事故の損害賠償問題には、訴訟で解決する方が被害者にとって有利と考えられるものもあれば、反対に示談で解決する方が得策と考えられるものもあります。仮に重い後遺障害が残っているのであれば、訴訟での解決が妥当と考えられます。

解 説

(1) 交通事故損害賠償問題の多様性
 一口に交通事故損害賠償問題といっても、いろいろなものがあります。
 重い後遺障害(後遺症)が残った人身事故から、軽微な物損事故まで様々なものがあり、紛争解決のためにどのような手段を取るのが良いかという点は、現実に手段を選択する前に熟慮しておく必要があります。
 以下、訴訟で解決した方がよいと考えられる場合と、訴訟以外の方法で解決した方が好ましいと考えられる場合について、それぞれ説明を加えます。
(2) 訴訟で解決した方が良い場合
 交通事故による損害賠償問題を、訴訟という方法によって解決した方よ良いと思われる場合とは、次のような事案の場合です。
 (a) 多額の損害賠償金が予想される場合
 損害賠償金が多額にのぼると予想される場合は、訴訟を選択すべきです。なぜなら、訴訟を提起して判決を受けた場合、純粋の損害賠償金のほかに、弁護士費用の支払いも命じられる場合がほとんどであることから、弁護士費用の相当分をまかなうことができる、と考えられるためです。
 例えば、純粋の損害賠償金が3,000万円であるとした場合、弁護士費用として、裁判所によって違いはありますが、通常、300万円から280万円程度の支払いが命じられます(その結果、判決主文によって、被告つまり加害者に対し支払が命じられる金額は、合計3,300万円ないし3,280万円となります。)。
 そうすると、被害者としては、自分が依頼する弁護士の弁護士代として、300万円から280万円程度の金額を実質的に負担する必要がなくなり、経済的負担が相当程度軽減されます。
 また、判決の場合は、事故日から、実際に加害者(損保会社)によって損害賠償金の支払が行われる日まで、年5パーセントの割合による遅延損害金の加算も認められています。
 したがって、仮に上記の例で、判決主文額が3,300万円であり、事故発生日から、損害賠償金が被害者に現実に支払われた日まで、ちょうど4年間経過していた場合、加害者が支払わなければならない損害賠償金は、3,300万円×[1+(0.05×4年)]=3,960万円となります(手取り額)。

純粋損害額3,000万円+弁護士費用300万円+遅延損害金660万円=3,960万円

(b) 被害者に過失がない場合
 交通事故の被害者に過失が全くない場合も、訴訟になじむといえます。
 被害者に過失がない場合は、被害者が受けた損害賠償額の分だけは、必ず損害の填補を求めることができます。
 したがって、弁護士費用の出費を考慮しても、訴訟によって、正当な損害賠償額を明らかにしてもらう価値はあるといえます。
(c) 加害者からの損害賠償金提示額が不当に少ない場合
 事故被害者の傷病治療が終了して症状固定に至れば、示談をする機が熟したといえます。その時期になると、加害者つまり損保会社から、被害者に対し、損害賠償金計算書の提示が行われることが予想されます。その場合、損保会社は、いわゆる損保基準で賠償額を計算して提示するのが普通です。しかし、損保基準で計算された損害賠償額計算書の内容は、通常、被害者にとっては、不利な内容のものが多いといえます。
 そこで、被害者としては、日弁連交通事故相談センターでの示談あっ旋を利用して、話合いによって紛争を解決することが好ましいと一般にいえます。
 しかし、示談あっ旋担当弁護士が提示したあっ旋案には、拘束力は認められていません。そのため、被害者側の方で、あっ旋案を妥当なものと評価して、これを受諾する意思があったとしても、損保会社側が、あっ旋案を拒否すれば、示談は成立しないまま、手続は打ち切りとなります。
 その場合、新たに交通事故紛争処理センターに申立てを行うという方法もありますが、むしろ、端的に訴訟で解決する方が妥当な結論を得られる可能性が高いといえます。
(3) 訴訟以外の方法で解決した方が良い場合
 上記以外の場合は、いきなり訴訟という手段を選択するのは、必ずしも賢明とはいえません。示談という方法をよく検討する価値があります。
 特に、損害賠償金額が比較的低額にしかならないと予想される場合は、あえて弁護士を依頼して訴訟を提起しても、いわゆる「費用倒れ」ということにもなりかねません。したがって、そのような場合は、訴訟は避けた方が無難ということになります。
 ただし、被害者が、自動車保険を締結する際、いわゆる弁護士費用特約保険に加入しているときは別です。この場合は、通常300万円までの弁護士費用をまかなうことが可能となって、被害者の経済的負担は大きく軽減されますから、訴訟で争うことに余り支障はないといえましょう。

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