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交通事故の法律Q&A

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Q4共同不法行為

設問先日、私が歩道を散歩していたところ、車道を走行していた甲車と乙車がたまたま衝突して、一緒になって歩道に乗り上げてきました。そのため、私は双方の車に衝突され、その場に転倒して負傷しました。私は、誰に対し損害賠償責任を追及することができますか?

Answer

甲車の運転者である甲および乙車の運転者である乙に対し、全部の損害について賠償請求することができます。なぜなら、甲の行為と乙の行為は、共同不法行為に該当すると解されるためです。

解 説

(1) 共同不法行為の成立  
 本問の場合、甲および乙は、いずれも自分の車を走行させるに当たり、車道を走行する義務を負いますが(逆にいえば、歩道に車を乗り上げることは原則的に許されませんが)、双方ともこれに違反して歩道に車を乗り上げ、歩行者(ここでは丙とします。)に損害を発生させています。したがって、甲乙各自に、民法709条の不法行為が成立することになります。
 このように、複数の者にそれぞれ民法709条の不法行為が成立する場合において(最判昭43・4・23民集22・964)、各人(ここでは、甲および乙を指します。)の行為が、客観的に関連共同して歩行者丙に損害を与えたと認められるとき、甲および乙に、民法719条1項の共同不法行為が成立すると解されます(このような考え方を客観的関連共同説といいます。)。(注)

民719条第1項 「数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。」

  (注) 客観的関連共同説は、主観的関連共同説とは異なって、甲および乙の行為が客観的に関連していれば足り、例えば、共謀などの主観的要素は、共同不法行為成立のためには必要でないとする。
(2) 全部賠償義務
 甲および乙の行為が共同不法行為とされた場合、例えば、甲車は歩行者丙の腕に衝突し、乙車は同じく丙の足に衝突した場合であっても、甲乙双方とも、歩行者丙の腕および足の傷害(および相当因果関係を有するすべての損害)について、全部の責任を負うことになります(民719条1項)。
(3) 共同不法行為の効果
 (a) 不真正連帯債務
 上記のとおり、甲および乙が共同不法行為責任を負う場合、各自は、被害者である歩行者丙の被った損害の全部について賠償責任を負います(民719条1項)。
 例えば、被害者である歩行者丙が100万円の損害を受けたときは、甲および乙は、いずれも100万円を丙に対して賠償する義務を負うという意味です(ただし、歩行者丙が、例えば甲から100万円全額の賠償金の支払を受けたときは、別途乙に対し賠償金を請求することはできません。)。
このような責任を不真正連帯債務といいます。不真正連帯債務とは、共同不法行為者の全員が賠償金の全額支払義務を負うが、そのうちの誰かが損害賠償金を支払えば、支払った限度で他の者も支払義務を免れる、という関係をいいます。
 (b) 共同不法行為者間の法律関係
 (ⅰ) 一部の支払があった場合
 本問において、例えば、歩行者丙の受けた損害が全部で100万円であったが、うち30万円を甲が丙に対して支払った場合、乙の賠償義務は減額されるのか、という問題があります。甲乙の債務は不真正連帯債務ですから、現実の弁済(賠償金の支払)は他の連帯債務者にも影響を及ぼします。つまり、100万円から30万円を差し引いた残額70万円についてのみ、乙も支払義務を負うことになります。
 (ⅱ) 一部の支払免除があった場合
 上記の場合、甲だけが歩行者丙から30万円の支払免除を受けた場合、果たして乙の債務も70万円に減額されるのか、という問題があります。
このような場合について、最高裁は、「債務は別々に存在するから、その一人の債務について和解等がされても、現実の弁済がないかぎり、他の債務については影響がないと解する」としました(最判昭45・4・21判時595・54)。つまり、乙の債務は減額されないということになります。
 (ⅲ) 全部の支払いがあった場合
 例えば、甲が歩行者丙に100万円全額を支払った場合は、現実の弁済がされたことになるわけですから、その効果は乙にも及び、乙も債務をすべて免れることになります。
 (c) 共同不法行為者間の求償
 上記(ⅲ)の場合に、甲は、乙に対し求償することができるか、という問題があります。これについては、公平上の見地から求償権を認める立場が通説・判例となっています。その場合、いくらを求償することができるのか、という問題が生じます。この点については、双方の過失割合に応じて求償を認めるという考え方が一般的です。
 例えば、甲と乙の過失割合が7対3の場合、100万円のうち3割は乙の負担ということになり、甲は乙に対し30万円を求償できると解されます。

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