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交通事故の法律Q&A

交通事故の法律Q&A

Q15政府の保障事業

設問無保険車による交通事故で損害を受けた被害者の場合、何か保障を受けられる公的制度はありませんか?

Answer

自賠法72条によって、政府に対し保障金を請求することができます。

解 説

(1) 政府の保障事業
 (a) 政府の保障事業とは
 自賠法71条は、「政府は、この法律の規定により、自動車損害賠償保障事業を行う。」と定めます。これを政府の保障事業といいます。これを受けて、同法72条1項は、その要件を定めています。
 (b) 政府の保障事業が行われる場合
政府の保障事業が行われるためには、まず、自動車の運行によって生命または身体を害された者(人身事故の被害者)が存在することが必要です。
 そして、保障事業が行われる第1の場合とは、加害自動車の保有者が不明の場合です。例えば、ひき逃げ事故の場合、誰が加害自動車を運転していたのか不明ですから、被保険者である保有者は不詳となって、被害者は自賠責保険で損害を填補してもらうことはできません。
 第2の場合とは、人身事故を起こした者(加害者)は特定されているが、その者が自賠責保険(又は自賠責共済)の被保険者でない場合です。これには、さらに二つの場合があります。
第1に、事故を起こした自動車に自賠責保険が付いていなかった場合です。第2に、事故を起こした自動車に自賠責保険が付いているが、自動車を使用する権利を有する者が被保険者とならない場合です。例えば、泥棒運転による人身事故の場合がこれに当たります。これらの場合、被害者は、自賠責保険で損害の填補を受けることができません。
(2) 保障金請求権の法的性格
 前記の要件を満たした被害者は、政府に対し損害の填補を求めることができます。この制度によって被害者に認められた権利を保障金請求権といいますが、その法的性格は、損害賠償請求権ではなく、自賠法によって新たに創設された公法上の権利であるとする立場が有力です(東京地判平17・6・30交民38・3・876)。
(3) 保障金の請求手続き
 (a) 時効期間
 保障金請求権の請求先は、どこの自賠責保険会社(責任共済)であっても構いません(自賠77条)。
 また、保障金請求権は、事故発生時(ただし、後遺障害が認められた場合は症状固定時)から、3年で時効消滅します(同75条)。これに関連して、自賠法3条の保有者の責任の有無が争われた事件で、最高裁は、消滅時効の起算点は、同条による損害賠償請求権が存在しないことが確定した時である、という立場を示しました(最判平8・3・5判時1567・96)。
 (b) 期限の定めのない債務
 自賠法72条1項後段の規定による填補金(保障金)の支払義務は、期限の定めのない債務として発生し、民法412条3項により、政府が履行の請求を受けた時から履行遅滞に陥ると解されます(最判平17・6・2民集59・5・901)。
(4) 保障事業の内容
 政府の保障事業の内容は、基本的に自賠責保険と同様ですが、過失相殺については、被害者に重大な過失がある場合に限り必要な減額が行われるとされています(国土交通省自動車局保障制度参事官室・新版逐条解説自動車損害賠償保障法225頁)。また、他法令による給付が行われる場合は、それを先行して行わせる取扱いとなっています(自賠73条)。

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