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交通事故の法律Q&A

交通事故の法律Q&A

Q20治療費に関する問題(その1)

設問交通事故による傷病の治療を受ける場合、どのような点に気をつけなければなりませんか?

Answer

医療機関で怪我の治療を受ける場合、主に、次のような点が問題となります。①治療費、②将来治療費、③付添看護費、④介護費、⑤入院雑費、⑥交通費の6点です。

解 説

(1) 事故後に生ずる法律関係
 (a) 事故被害者と医療機関との関係
 ある日突然、交通事故の被害者となった場合、同人としては、医療機関に行って怪我の治療を受ける必要が生じます。その場合、事故被害者と医療機関との間で診療契約が締結されることになります(なお、診療契約の性格は、民法656条の準委任契約と解する立場が有力です。)。
 診療契約は、双務契約つまり契約当事者双方が、お互いに対価的債務を相手方に対して負担する契約です。患者である事故被害者は、医療機関に対し医療費を支払う義務が生じます(医療機関に対し医療費を支払う法的義務を負うのは、事故加害者ではなく、患者である事故被害者です。)。一方、医療機関は、患者に対し診療義務を負うことになります。
 (b) 保険の利用
 ここで、事故被害者が最初に直面する問題は、怪我を治療するための治療費を誰が負担してくれるのか、ということです。
(ⅰ) 任意保険がある場合
 この場合、事故を起こした加害者が契約している任意保険会社(自動車保険会社)があれば、患者の自己負担分(窓口負担分)を立て替え払いしてくれると考えられます(任意保険会社は、医療機関との合意に基づき、医療機関から請求を受けた治療費について、医療機関に対し直接支払います。これが、いわゆる一括払いといわれるものです。対人賠償保険。)。
(ⅱ) 任意保険がない場合
 加害者が、任意保険会社と自動車保険契約を締結していない場合は、自賠責保険しか補償手段がありません。
 その場合、第1に、医療機関が、自由診療を行う過程で、事故被害者(患者)から医療費に関する請求受領の委任を受け、自賠責保険に対し被害者請求を行うという方法が多くみられます(いわゆる医療費の代理請求)。
 第2に、被害者が、自分の健康保険を使って医療機関で治療を受け(その際、健康保険組合に対し、「第三者行為傷病届」を出しておきます。)、その窓口で患者負担分の治療費を支払った上で領収書を貰い、後日、それを自賠責保険に提出して、自分が立て替え払いした治療費を回収するという方法もあります(被害者請求。)。
 第3に、加害者が被害者の治療費を立替払いした後、領収書を添えて自分の自賠責保険に請求し、治療費を回収するという方法もあります(加害者請求。)。
(2) 治療費
 (a) 基本
 被害者が事故によって怪我をした場合、その怪我を治すために支出した治療費(医薬品代、手術代など)や入院費は、必要かつ相当な範囲で、実費全額が損害と認められます(ここで、「損害として認められる」とは、裁判で争われた場合に、裁判所が、加害者に対し、支払義務がある正当な治療費としてその支払を命ずるという意味です。)。なお、治療費が損害として認められるのは、原則として症状固定時までの分です。
 (b) 例外
 これに対し、いわゆる過剰診療(診療行為の必要性・相当性が否定される場合)や高額診療(診療報酬額が通常の水準よりも著しく高額の場合)の場合は、損害としては認められないことがあります。
 (c) 接骨院等の治療費
 接骨院、整体、マッサージ等における治療費について、これが正当な治療費として認められるためには、原則的に主治医の指示が必要となります(医師の指示がない場合は、損害として認められることは困難です。)。
 また、被害者が、損保会社の事故担当者の事前の承認を得て、接骨院や整体に通院していたとしても、後日、裁判になってから、加害者側の弁護士(実体は、損保会社から指名を受けて加害者の代理人に就任した弁護士です。)から、損害として認めることは困難である旨の対応を受けることが、かなりの確率で起こります。
 したがって、被害者としては、損保会社の担当者の言葉による了解だけで安心するのではなく、主治医に対し、診断書やカルテに「必要な治療行為として認められる。」旨の記載をしてもらう必要があります。
 (d) 治療の有効性
 事故被害者が医療機関において受ける治療については、必ずしも治療上効果が明らかに認められるものばかりとはいえず、結果的に無効とされたものもあり得ます。しかし、そのような場合であっても、事故と治療行為との間の因果関係が直ちに否定されるわけではありません。
 医療機関の責任と判断において、当該治療を必要と考えて行っており、その費用を患者である被害者が負担している以上、結果的に無効とされても安易に減額することはできないとする考え方が有力といえます(福岡高判平19・2・13交民40・1・1)。
 (e) 二次的被害者
 事故被害者とは、事故によって直接傷病を負った者を指すのが普通ですが、例外的に、事故による直接の被害者でなくても、事故によって二次的被害が生じたと認められる者が含まれる場合もあります(二次的被害者・間接被害者)。

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