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交通事故の法律Q&A

交通事故の法律Q&A

Q21治療費に関する問題(その2)

設問交通事故による傷病の治療を受ける場合、どのような点に気をつけなければなりませんか?

Answer

医療機関で怪我の治療を受ける場合、主に、次のような点が問題となります。①治療費、②将来治療費、③付添看護費、④介護費、⑤入院雑費、⑥交通費の6点です。

解 説

(3) 将来治療費
 (a) 症状固定
 一般に症状固定とは、事故の被害者について、治療をこれ以上継続しても症状の改善が期待できない状態に至ったことをいいます。症状固定の時期は、治療を担当した医師が行います。ただし、医師が、患者である被害者の意向を全く確認することなく、その一方的判断で行うことは妥当とはいえませんから、患者の意向も踏まえて合理的に行われる必要があります。
 (b) 症状固定後の治療費
 前記のとおり、症状固定後の治療費は、原則的に、損害である治療費には該当しません。したがって、仮に被害者が、症状固定後に治療費を支出したことがあっても、その費用は被害者の自己負担となります。
 ただし、そのような原則を、すべての事案について例外なく適用しますと、不合理な事態が生じることがあります。例えば、症状が固定したと認められる場合であっても、症状の増悪を防止するための費用、将来の必要な手術のための費用などは、やはり損害として認められるべきであると考えられます。
(4) 付添看護費
 (a) 付添看護費とは
 付添看護費が認められるのは、被害者が入院している場合(入院付添費)、同じく通院している場合(通院付添費)、および自宅で療養している場合(自宅付添費)においてです。

              入院付添費
    付添看護費     通院付添費
              自宅付添費

 付添看護費が、交通事故による損害と認められるためには、付添の必要性がなければなりません。必要性の有無については、被害者の受傷の部位・程度、被害者の年齢などを考慮して判断します。
例えば、幼児が被害者となったような場合は、親が子に付き添うことが相当と考えられます。また、被害者の傷病が重傷であって、身の回りの世話をする人が必要と考えられる場合も、同様に付添の必要性が肯定されます。
 (b) 付添の種類
 上記のとおり、付添看護には、入院付添、通院付添および自宅付添の3種類があります。
 第1に、入院付添費については、付添人が職業付添人の場合は原則として全額が、また、近親者付添人の場合は1日当たり5,500円~7,000円が認められます(日弁連交通事故相談センター・交通事故損害額算定基準 平成24年2月23訂版12頁。以下「青い本」といいます。)。付添人が病院まで赴く際の交通費は、付添費に含まれていると考えられます。
 第2に、通院付添費については、1日当たり3,000円~4,000円が認められます(同頁)。したがって、患者甲について、家族乙が付き添って丙病院へ通院した場合、患者甲について交通費が、家族乙について近親者通院付添費が、それぞれ認められることになります。
(5) 介護費
 介護費とは、重い後遺障害を負った被害者について、症状固定後の将来について必要となる付添看護費をいいます(将来介護費)。介護費については、原則として、平均余命までの全期間について認められます(ただし、ライプニッツ係数を用いて中間利息を控除します。)。
 介護を要する期間について、しばしば加害者側から、重い後遺障害を負った者が平均余命期間すべてについて生きる蓋然性は低いなどとする医学的意見書が出ることがあります(これは、平均余命期間を短縮させることによって損害賠償額を少しでも減らすことを目的としたものです。)。しかし、そのような意見書を参考にして、現に争われている被害者について具体的な余命期間を算定することは極めて難しいといえます。したがって、原則として、平均余命までの全期間にわたって介護費を認めることが妥当であると解されます(名古屋地判平23・2・18交民44・1・230)。
 ここで、重い後遺障害といいましたが、これは自賠責保険の後遺障害等級・労働能力喪失率表でいえば、1級(常時介護)または2級(随時介護)に当たる被害者を指します。しかし、これらの障害等級の認定を受けていることは、必ずしも介護費が認められるための必要条件ではありません。それ以下の障害等級が付いた場合であっても、事案によっては介護費が認められることがあります(随時介護費)。
 介護費は、将来実際に支出されると見込まれる費用額が、損害として認められます。近親者が付添いを行う場合、常時介護費としては、1日当たり8,000円~9,000円が認められます(青い本18頁)。
(6) 入院雑費
入院雑費とは、被害者が医療機関に入院中、日常的に支出を余儀なくされる日用品費、栄養補給費、通信費、娯楽費、新聞代などを指します。
入院雑費については、それが損害として認められるためには、領収書などを特に要しません。通常、1日当たり1,400円~1,600円が認められます(青い本27頁)。
(7) 交通費
 (a) 公共交通機関を利用した場合
 被害者本人が、傷病を治療するために医療機関に入院、通院、転院等をした際に支出した費用を、交通費といいます。交通費は、原則として公共交通機関を利用した際に必要となる金額の範囲で認められます。
 例えば、患者甲が、乙病院に通院する際に、バスを利用して行けば片道200円かかるが、タクシーを利用すれば片道1,000円かかるとした場合、損害として認められる交通費は、バス代200円(往復で400円)です。
ただし、被害者甲の傷病が重傷であって、車椅子や松葉杖を用いないと移動が困難な場合には、例外的にタクシー料金片道1,000円(往復2,000円)が交通費として認められます。
 (b) 自家用車を利用した場合
 被害者が、自分で自家用車を運転して通院した場合、実費相当額(ガソリン代、病院駐車場代、高速道路料金等)が交通費として認められます。
 家族が、被害者を自家用車に同乗させて病院まで送った場合は、家族について近親者通院付添費が認められます。
 (c) 付添人以外の者が支出した交通費
 被害者が入院中、友人等が被害者を見舞った際に友人等が支出した交通費は、事故と相当因果関係に立つ損害と認めることは困難です。したがって、友人等が支出した交通費を、損害として加害者に対して請求することはできないと解されます(大阪地判平23・7・20交民44・4・945)。 
 ただし、死亡した被害者の子が、被害者である親の葬儀、一周忌および三回忌にそれぞれ出席するために米国から帰国した際に生じた費用のうち、葬儀に参列するための帰国費用80万円のみを損害として認めた判例があります(東京地判平21・11・18交民42・6・1535)。

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