2025年9月19日付けの岐阜新聞によれば、岐阜県は、次世代型路面電車(LRT)を有力候補とする新交通システムの概要を昨日付けで公表した。構想によれば、江崎知事は、県都岐阜市を核とした岐阜圏域のまち作りに着手するとの話である。新聞記事によれば、いろいろなルートをLRTで結び、岐阜市を中心とする街の活性化を目指すようである。
岐阜県政は、長年にわたる古田知事の無為無策の消極的姿勢が続き、岐阜市の中心部は毎年さびれていく傾向を確実に示していた。特に「清流の国、岐阜県」というキャッチフレーズは意味不明であり、岐阜県の衰退を惹起するだけの悪い効果しかなかった。古田知事の記者会見の様子などを見ても、ぼそぼそと口を動かすだけの知事の振舞いには、明るい希望は微塵も感じられなかった。
しかし、ようやく2025年の2月に県知事が江崎氏に代わってから、これまで岐阜県を覆っていた黒い雲が過ぎ去り、ようやく明るい方向へ向かって改善する期待が生じてきたように感じられる。
さて、今回構想が示されたLRTについては、かねてから自分が頭の中で考えてきた新交通システムと類似性があり、大いに興味を覚えた。これに対し、岐阜市の柴橋市長は、巨額の費用が発生することを懸念してか、今のところ慎重な姿勢を示しているとの報道内容であった。もっともな懸念であろう。
では、どのようにすればよいのか。今回の案は、➀岐阜羽島駅から岐阜県庁を経由して岐阜駅前につながるコース、➁岐阜駅前から岐阜市中心部を通って岐阜公園周辺を回って出発地に戻るコース、➂長良川北側から岐阜大学周辺に至るコース、の3つから成り立つという。
以上を踏まえ、以下、私見を披露する。一番重要な点は、今回の事業は、県都岐阜市の活性化を目的とするという基本を忘れないということである。それ以上でもなければそれ以下でもない。それには、大都会である愛知県の名古屋市との結び付きを最重視する必要がある。通勤・通学のため、多くの岐阜市民は、日々公共交通機関を利用して名古屋市に行っている(正確には往復している)。目ぼしい産業が何もない岐阜県においては、県単独で、岐阜市を活性化させることは不可能である。
その意味からすれば、上記の➀と➂のコースは不要となる。➀については、乗降客がほとんどいない寂しい岐阜羽島駅と岐阜県庁を結ぶ意味は全くない。予算の無駄遣いで終わる可能性が極めて高い。最初からやるべきではない。➂についても、必要性が乏しく、決して実施すべきではない。
すると、残るのは➁となる。岐阜駅と岐阜市中心部、あるいは観光資源がある岐阜城付近をLRTで結ぶ。そして、沿線には、今後良質の住宅を大量に供給し、市内中心部に居住する人口を増やすことが重要となる。どういうことかと言えば、名古屋市への通勤・通学者をここに居住させるわけである。
一方、今や相当の部分が廃墟と化した柳ケ瀬商店街は、この際、思い切って整理・再開発を行い、跡地には緑豊かな公園を整備し、街の風格を高める工夫が求められる。もはや岐阜市の中心部に、夜の娯楽のみを追求した怪しげな店を復活させる必要はない。そのような時代ではないということである。
意欲がある江崎知事には、大いに期待したい。
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