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弁護士日記

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事実確認の重要性

2016年04月28日

 一般論としていえば、弁護士が、依頼者から事件の処理を依頼され、それを適正に処理しようとした場合に、次の点が一番重要となる。
 それは、事実関係の確認という作業の大切さである。依頼者が抱える問題について、依頼者は、問題の詳細をよく記憶し、また、事実関係の意味も理解していることが多い。ところが、弁護士は、あくまで第三者であり、過去に発生した事実関係がどのようなものであったかを、最初から当然良く知っているわけではない。
 依頼者から、よく話を聞いて事実関係を確認し、また、仮に依頼者の説明に疑問な点があった場合は、依頼者に対して質問を行って、説明に間違いがないか否かを検証することも必要となる。弁護士が出来ることは、依頼者が説明する事実関係を前提にして、それを法律に当てはめた場合、どのような結論に至るか、という見立てだけである。
 したがって、仮に、弁護士が、依頼者の説明が不十分であるにもかかわらず、それを見逃して間違った事実を真実であると誤認したり、あるいは、一般常識から考えるとこうなるはずだ、依頼者にいちいち聞く必要はないと勝手に判断して、その誤った思い込みを前提に、法的にはこのような結論が出るはずであると結論付けることは、非常に危険である。
 そのため、当事務所では、ポイントとなる事実は、面倒であっても、いちいち依頼者に確認することにしている。依頼者の中には、回答することを面倒に感じ、「そのようなことは、弁護士の方で、一般常識を基に判断してもらえばよいのではないか?」と疑問を呈する方もおられる。その気持ちは分からないでもない。しかし、絶対につまらぬミスを起こさないための予防措置としてご理解いただくほかない。当事務所は、「石橋を叩いて渡る」という方針をとっているため、致し方ないということである。全ては、依頼者の正当な利益を守るために行っているのである。
 仮に、弁護士が、依頼者に対する事実確認を省略して、一般常識に従って事実関係を捉え、その事実関係を裁判で主張してしまった後に、依頼者から、その事実関係は間違いです、という指摘があった場合は、事実確認を怠った弁護士の責任となるのである(弁護過誤)。そのようなことは、あってはならない。

日時:13:03|この記事のページ

交通事故相談を受ける際のポイント

2016年04月25日

 当事務所では、法律相談を有料で行っているが、特定の場合(例えば、既に後遺障害が認定されているような場合)は無料で相談を受けることができる。
 相談者が法律相談を受けようとする場合、どのような点に気を付ける必要があるであろうか?
 第1に、通常、相談時間は限られているため、事前に、相談のための資料を送っていただくと、能率的な相談が可能となる。例えば、後遺障害の等級を認定した自賠責保険の書面とか、交通事故が発生した状況を示した図面とか、現場の写真等があれば、時間が短縮できる。
 第2に、何を弁護士に聞きたいのかの点をメモに書いておいていただき、そのメモを相談日よりも前に弁護士事務所に送っておいていただくと、あらかじめ、弁護士の方で相談のポイントを調査しておくことができるので、助かる。
 第3に、いろいろな相談者の方がおられるが、中には、答えることが非常に難しい質問をする方がいる。例えば、「過失割合はどれくらいになりますか?」という質問である。これが、青信号の歩行者対赤信号の車というような場合は、答は簡単に出る。しかし、事故状況が複雑であり、双方の主張に食い違いがあるときは、非常に大雑把な答えしかできない。過失割合については、正確にこれを出そうとすると、裁判を行い、証拠調べを経ないと何とも言えないことが少なくないのである。
 第4に、相談者の質問については、一般論として、弁護士は、極力、正確に答える義務がある。したがって、例えば、事故前年に確定申告をしておらず、収入があったことを証明することができないような被害者の方から、「休業損害はもらえますか?」と聞かれても、「はい」とは言えない。「原則的に難しいです」と答えるほかない。また、障害等級についても、もちろん、依頼者の期待に応えて、なるべく重い等級がとれるように努力はするが、最初から困難と見込まれる障害等級の場合は、正直に「困難と思います」と答えるようにしている。
 もちろん、そのような正直な答えをしていては、依頼者は、失望し、よその法律事務所に行ってしまい、結局、相談だけで終わってしまう可能性が高くなるが、それは致し方ないと考えている。できるはずもないことが最初から分かっていながら、事件の委任を受けたいために、「当事務所にお任せください。」「期待にお応えできるよう頑張ります。」などという、詐欺まがいのセールストークは一切しないよう心掛けているからである。
 安請負をして、後で困るのは、当の弁護士であり、また、より不利益を受けるのは被害者である。そのようなことは、あってはいけないのである。

日時:15:31|この記事のページ

農地法読本[三訂版]が出ます

2016年04月12日

 農地法の解説書で、今や定番となっているのが、拙著「農地法読本」である。農地法読本は、初版が2011年10月4日に、改訂版が2014年12月31日に、それぞれ出た。今回は、三訂版となる。三訂版では、行政不服審査法や、農地中間管理法について新たに書き下ろした。三訂版は、今年の5月中旬に出ることになっている。
 農地法読本は、既に購入されたことがある読者にはお分かりであろうが、頁数は300頁程度である。内容は、農地法を中心にして、これに関連する民法及び行政法の必須知識が要領よく解説されている。
 したがって、この本を読めば、農地法に関するいろいろな法律問題について解決の糸口を見つけることができるわけである。また、この本は、できる限り分かりやすく解説をすることを第1の目標としている。ただし、法律の解説書にあっては、なぜそのようにいえるのかという根拠条文を明示することが非常に重要である。そのため、根拠となる法律、政令、省令については、いちいち条文を示すようにしている。逆にいうと、法律書であるにもかかわらず、根拠となる条文がいちいち明記してない本は、落第の評価を付けざるを得ない。
 話はやや飛ぶが、裁判所が出す「判決」についても同様のことがいえる。良い判決とは、なぜ裁判官がそのように判断したのか、判断過程がきちんと書いてある判決である。また、ある結論を出すに際し、どのような証拠をもって事実を認定したのかについて、明快に書かれているものは、名判決ということになる(最高裁の判決は、名判決が多い。)。
 他方、判決の中には、どうしてそのような結論が出るのか全く分からないダメな判決もある。証拠の取捨選択に偏りがあり、また、法解釈も独りよがりであって妥当性を欠き、重要な証拠の見落としがあるなど、どうしようもない「落第判決」に、ごく稀ではあるが、当たることがある。
 今から20年以上も前のことであったが、T地裁のM支部で、変な判決を受けたことがある。この事件は、交通事故に関する事件であったが、判決文は、極めて簡略な内容のものであって、ほとんど理由が書いてなく、「手抜き判決」というべきものであった。この判決を書いた裁判官が今何をしているかは知らないが、このような低レベルの裁判官も現にいるのである。
 最近もG地裁で判決を受けたが、この判決は、証拠の評価、証拠の取捨選択、法令の解釈適用、結論等のどれをとっても、疑問だらけの杜撰なものであった(なお、判決文の中に何か所か誤字があった。このようなことは珍しい。)。この判決に対し、当然であるが、即座に控訴した。今後、N高裁が、この判決に対し、どのような判断を行うか注目している。

日時:10:25|この記事のページ

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