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弁護士日記

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3800万円で和解した

2014年09月22日

 今から3年半前の夕方、ある地方都市の駅前で事故が起こった。楽器の演奏を教えてから名古屋に帰宅しようと駅前を歩行中の老女(山田さん。ただし仮名です。)に対し、不注意な中学生がぶつかってきた。そのため、山田さんはその場で転倒して、後頭部を骨折し、市内の病院に救急搬送されたが、不幸にも1週間後に亡くなったという事故であった。
 事故から間もない平成23年4月、山田さんの御遺族から相談があった。この事故は、路上で中学生がぶつかってきて、転倒した老女が亡くなったという事件であるため、警察としても、余り重大視せず、簡単に捜査を終えてしまうという懸念があった。このような事故の場合、証拠が多くあればあるほど、後の訴訟などが有利に進められることが私には分かっていた。そのため、私は、すぐに、管轄の警察署長あてに厳正な捜査をお願いする内容証明郵便を送った。
 さて、捜査も一段落した翌平成24年7月、私は、加害者の親が加入している損保会社に対し、示談解決を促す書面を送った。請求額は、3231万円であった。通常、損保会社は、被害者の代理人弁護士からの請求額に満額で応じることはない。
 予想どおり、加害者の親が依頼した弁護士から通知が来た(もちろん、損保会社が弁護士費用を全額負担するのであるから、損保会社が選んだ弁護士である。)。その弁護士の言い分とは、被害者の山田さんにも前をよく見ていなかったという不注意があったといえるから、その分の賠償金の減額を求めるというものであった。もう一つは、山田さんは、生前、ITP(特発性血小板減少性紫斑病)に罹っていたのであるから、その病気が死亡に影響を及ぼしているはずであり、その分についても賠償金の減額を求めるというものであった。
 これに対し、私なりにいろいろと文献を調査し、知り合いの医師の専門的意見を求めたりしたが、ITPが死因に直接影響を与えている可能性は低いと判断した。そこで、昨年の5月に某地裁に提訴し、裁判が始まった。裁判中、加害者側つまり被告の代理人弁護士は、いろいろと主張したが、これに対し、私も猛然と反論し、また、原告の主張の正当性を主張した。原告準備書面は、わずか1年半で、19通以上に及んだ。
 やがて、過失については、裁判官の口から「過失の主張は難しいと思います」という心証が開示され、また、ITPについても、被告の弁護士は、鑑定を採用するよう裁判所に申し立てたが、結局は途中で諦めざるを得ない状況に追い込まれた。その結果、被告側の弁護士も、私が和解額として提示した3800万円を被告が受け入れるという形で、最近になって訴訟が終わったのである。
 もし、平成24年7月に、損保会社が、私の要求額をそのまま受け入れていたら、損保会社が支払う賠償金は、3231万円で済んでいた。ところが、現実には、損保会社は、弁護士に事件を一任し、結果的に3800万円という大幅増額された賠償金を支払うはめになってしまったのである。一体、何のために弁護士を頼んだのかという結果となってしまったのである。
 そのような結果を招いた原因を私なりに探ると、加害者側の弁護士の見立てが甘かったということに尽きる。その弁護士には、正確な見立てをするための基礎知識が不足していたということではないだろうか。

日時:10:49|この記事のページ

自賠責保険後遺障害等級が、12級5号から併合9級に重く変更された

2014年09月19日

 交通事故の被害者の田中さん(仮名です。)は、平成24年4月にバイクに乗っていて事故に遭い、当事務所に相談に来られた。事情をお聞きしたところ、訴訟を提起して判決で解決した方がよいと感じた。しかし、ご本人は、訴訟ではなく示談で解決したいというご希望だった。そこで、私は、昨年12月に日弁連交通事故相談センター愛知県支部に示談あっ旋を申し立てた。ところが、本年1月に出されたあっ旋案が、非常に首をかしげる内容であったため、いったんは取下げ、再度、本年3月に同じく申立てをした。
 その結果、本年4月に示談あっ旋担当者から、あっ旋案が提示された。このあっ旋案は、近時の判例・実務に照らして相当なものと思われたので、田中さん側としては、これを受け入れるつもりでいた。
 ところが、本年4月24日になって、弁護士会の担当者から、「損保会社の担当者の方から連絡があり、今回のあっ旋案を拒否するという連絡がありました。」とのことだった。私は、せっかく示談あっ旋という場で、経験豊富な担当弁護士からあっ旋案が出されたのに、損保会社(担当者)がこれを拒否するとは、一体どういう了見か?と感じた。なぜなら、示談あっ旋担当弁護士が示した金額は、おおむね訴訟になった場合に、裁判所が示す金額に近いといえるからである。損保会社の担当者は、そういう初歩的なことも余り分かっていなかったようである。そして、示談あっ旋は、不調という結果で終わった。
 残された紛争解決方法は、最初から私が想定していた訴訟となった。私は、過去に訴訟を提起した事件については、いずれの事件であっても、徹底的に内容を調査し、かつ、徹底した主張を記載した書面を裁判所に提出することにしている(プロボクシングに例えれば、手数が非常に多い選手に相当する。)。
 今回、田中さんについて自賠責保険が認定した後遺障害等級には、もともと疑義があった。疑義があったが、示談あっ旋ではそのことはあえて主張せず、その代わり早期解決を求めたわけである。しかし、訴訟を提起すると決めた以上、後遺障害等級についての疑義を解決しておく必要がある。そこで、自賠責保険に対し、本年6月に異議を申し立てた。
 その結果が最近出た。新たに後遺障害が認められ、従来は12級5号だったのが、併合9級に重く変更された。併合9級の結果が出た以上、訴訟においては、これを基礎として損害賠償の請求を行う。今後、賠償額がいくらになるかは、判決をみるまでは正確なことはいえないが、その金額は、おそらく、上記、日弁連交通事故相談センターで示談あっ旋担当弁護士から示された金額の2倍程度になるのではないか、と予想する。
 今思うと、損保会社の担当者は、実にまずい選択をしたものである。反面、田中さんにとっては、損保会社の担当者が、あっ旋案を拒否してくれたおかげで、賠償金のいっそうの増額が見込めることになったのである。

日時:13:03|この記事のページ

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