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弁護士日記

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朝日新聞社説を批判する

2010年11月24日

 本日(11月24日)の朝日新聞社説は、実におかしな内容であり、批判を加えざるを得ない。社説は、司法修習生に対する給費制を復活させたことに対し、おかしな非難を加える。朝日新聞社説のおかしな意見は、別に今に始まったものではなく、過去から継続している流れの中での非難である。
 この社説の内容は、国庫から司法修習生に対し、給与や手当を出すことが不当だという点に尽きる。給与や手当を支給することを止めて、国選弁護士の報酬を増加させよとか法律扶助の予算を充実させよと主張するのである。
 国選弁護士の報酬を増加させることや法律扶助の予算を充実させること自体は、誤りではなく、私の立場に立っても賛成である。 
 問題は、司法修習生に対する給与や手当の支給を停止して、貸与制(ローン)にすることが妥当かという点である。この点は、貸与制にすることは妥当ではなく、従来どおりに給与などを支給することが正しい。
 なぜなら、新司法試験は、法科大学院を修了していることが受験の条件となっているため、受験資格を得るまでに、非常に学費がかかるという現実がある。大学の法学部4年+法科大学院の2年=6年分の学費を用意できる家庭でないと、法科大学院を修了することができないのである。
 これでは、経済力による格差によって、職業選択の自由に制限を及ぼす結果を招く。実に、不平等な結果を生むのである。その後、首尾よく新司法試験に合格しても、さらに司法修習を経て、試験に合格する必要がある。その司法修習を受ける1年間の生活費を国がまかなうというのが、給費制である。
 法曹界で活躍する希望を持つ者に対しては、今後も給費制を維持して、勉学に専念させる必要があると考える。それが結局は、国民の利益にもなると考える。

日時:17:20|この記事のページ

賠償金額が2.3倍になった

2010年11月05日

 今回の裁判は、東海地方の中でも、温暖で風光明媚なことで知られる地方に住んでおられる方の人身事故に関するものである。井上さん(仮名)は、平成19年の春に、知人が運転する車に同乗していて、追突事故に遭った。そのため、左膝に大怪我を負った。病院で診察を受けた結果、「左膝前十字靭帯断裂」という傷病名が付いた。
 その後、ちょうど1年を経過した平成20年の春になって、損保会社は、井上さんに対する休業補償を一方的に打ち切るという通告をした。左膝が使えないために、造園業の仕事もできなくなり、収入はほとんどない状態で、休業補償の打切り通知は、井上さんにとっては、まさに死活問題となった。
 困り果てた井上さんは、知人の紹介で、たまたま当地を巡回法律相談中だった、愛知県弁護士会所属の某弁護士に交渉を依頼した。ところが、井上さんの話では、その弁護士は、「保険会社が支払わないと言っているのだから仕方がないね。」の一点張りだったという。そして、井上さんの妻とその弁護士が、たまたま電話で話をしている最中に、意見が衝突して険悪な雰囲気になり、結局、その弁護士は「僕は降りるよ」と言って、辞任に至ったという。
 そこで、弁護士不在となった井上さんは、同年夏に、当事務所に相談に来られたのであった。一般に過去に弁護士が辞任したことのある依頼者に対し、普通の弁護士は、なにがしかの警戒感を持つものである。
 しかし、私が、井上さんから直接お話を伺った結果、井上さんには、全く非がないことが分かった。そこで、法律相談の結果、まず、自賠責保険に対し、被害者請求を行い、後遺障害等級認定を受ける。後遺障害等級認定が受けられたら、次に、裁判を起こすという方針を立てた(当事務所は、相手方が、当方の要求額を丸呑みする場合を除き、示談で解決することは、通常ない。)。
 自賠責保険に対し、被害者請求を行った結果、10級11号の認定を受けることができた。その後、自賠責保険から、後遺障害の損害賠償額として461万円の振込があったので、弁護士報酬1割を控除した、残額414万円余りを井上さんに送金したのが、平成21年初頭のことであった。
 平成21年春を迎え、いよいよ提訴の本格的準備に入った。しかし、その前に、一度加害者が認める損害賠償額を念のために聞いておこうということになった。そして、加害者の代理人である某弁護士から、同年4月に賠償額の提示があった。提示された金額は、1300万円を少し切る金額であった。仮に、示談で解決する場合は、この金額に若干上乗せした金額で示談を行うことになることは、いわば業界の常識である。
 私は、提示された金額を見て、「これでは今後交渉しても余り増額を見込めず、問題にならない額だ。」と判断し、同年7月に名古屋地方裁判所に提訴したのであった。訴額つまり請求額は、3200万円を少し超える金額だった。
 裁判は、平成21年の7月に始まり、平成22年の5月に、結審つまり終了した。裁判は、弁護士だけが法廷に顔を出して、双方の主張を書いた書面をやり取りする形で進行した。井上さんが法廷に出られたのは、1回だけであり、原告本人尋問を受けるために名古屋地裁まで来ていただいたのであった。
 判決は、平成22年10月に言い渡され、その結果、2500万円余りが認められた。そして、双方とも控訴しなかったので、一審判決が確定した。損保会社が支払う金額は、事故日から年5パーセントの利息を付するほか、判決によって、印紙代も相当割合分を原告に返さないといけないため、現実の送金額としては3000万円を少し超える金額となる。近日中に、損保会社から入金があるはずである。入金があり次第、当職の報酬1割を控除した2700万円余りを井上さんに送金する手はずとなっている。 
 今回、加害者側の弁護士が、当初提示した賠償金額は、上記の1300万円であったが、裁判を行った結果、結果的に、賠償金額が3000万円にまで増額したことになる。増額率としては、約2.3倍ということになる。 

日時:15:51|この記事のページ

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