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弁護士日記

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法律扶助について

2015年02月13日

 交通事故で被害を受けたが、手元にお金がなくて弁護士費用が支払えないという方のためには、法律扶助という制度を利用して弁護士に事件を依頼することができる。
 法律扶助には、代理援助、書類作成援助、法律相談援助という3つの種類がある。言葉が聞きなれないものであるため、分かりやすく説明すると、次のようになる。
 「代理援助」とは、弁護士に依頼して代理人として裁判を行ってもらったり、示談交渉を行ってもらう場合をいう。次に、「書類作成援助」とは、裁判所などに書類を提出する必要があるが、自分では作成できないので弁護士に依頼して書類を作成してもらうような場合をいう。内容証明の作成を依頼するときもこれに当たる。3番目の「法律相談援助」とは、無料で法律相談に乗ってもらう場合をいう。
 例えば、交通事故に遭って、加害者側が治療費を負担して怪我は治ったが後遺症が残り、正式に後遺障害等級も付いたので損保会社の方から賠償金の提示があったが、金額的に不満が残るため弁護士に相談したい場合はどうか?
 この場合、通常、法律相談から始まる。普通は、法律相談料は、自己負担である。しかし、法律扶助を受けることができれば、3回までは自己負担なしで相談に乗ってもらえる。
 ただし、収入が少ない人でないと法律扶助の対象とはならない。その基準であるが、原則的に、単身者の場合は、手取り月収が18万2000円以下でなければならない。2人家族の場合は25万1000円、3人家族の場合は27万2000円である(なお、ボーナスを含めて計算する。)。ほかに家賃を払っている場合は、その金額を加算できる。
 法律相談の結果、損保会社の提示した金額は低すぎるとして裁判を起こすことになった場合は、どうか?この場合は、法テラスに対し、代理援助を受けたい旨の書面を出し、法テラスの審査を受ける必要がある。審査に通れば、法テラスの方で、弁護士費用を立て替えてくれる。
 例えば、損保会社の提示額は200万円であったが、金額が少なすぎるとして、300万円の損害賠償を求めて裁判を行うときは、法テラスの方で、弁護士の着手金が18万3600円と決められている。仮に500万円を求める場合は21万6000円である。1000万円を求める場合は23万7600円である。
 ここで注意すべき点は、法テラスは、弁護士費用を一時的に立て替えてくれるだけだということである。つまり、法テラスが立て替えた弁護士費用は、依頼者が、原則3年以内に、毎月、分割で一定額を返還する必要があるのである。これを「償還」という。例えば、上記で18万3600円を立て替えてもらったときは、原則的に、毎月5100円を分割して返還しなければならない。
 また、依頼者は、報酬金を弁護士に支払う義務もあり、相手方が支払った金額が3000万円以下の場合、その金額の10パーセントと定められている。例えば、裁判を起こして300万円を相手方が支払った場合、10パーセントに当たる30万円を報酬金として弁護士に支払う義務がある。
 さらに、その時点で、償還金が残っていた場合は、「一括償還」といって、加害者から受け取った賠償金の中から、残っている償還金を全部支払う必要がある。例えば、上記の場合に、裁判が終わって加害者(損保会社)が300万円を支払ったが、償還金が例えば10万円残っていたときは、300万円-30万円-10万円=260万円となる。つまり、依頼者が現実に受け取る金額は260万円となる。
 法テラスを利用しようとする場合、いろいろと面倒な点もあるが、当面の資力がない方々にとっては、弁護士を代理人として自分の権利の実現を図ることができる良い制度である。もっと利用されてもよいのではないかと思う。   

日時:15:26|この記事のページ

損保と闘う(14)

2015年02月10日

 交通事故の被害者からの相談を受けた場合、弁護士として考えるべき第1の点とは、紛争をどのような手段で解決するかという点である。示談で済ますのか、あるいは訴訟で徹底的に争うのか、という点をよく考える必要がある。
 示談で済ます方が好ましい場合とは、被害者の怪我や後遺症の程度が軽い場合、あるいは被害者の方が早期解決を望んでいるような場合である。
 そのような場合には、示談で紛争を解決する方が一般的にみてよいと思われる。
 その理由であるが、被害者の怪我や後遺症の程度が軽い場合は、賠償金額自体が余り高額にならないことが多い。その場合に、あえて訴訟を起こすと、いわゆる「費用倒れ」ということになりかねない。
 裁判が終わって加害者が加入していた損保会社から損害賠償金を受け取ることができたことはよいが、その賠償金から弁護士費用を控除すると、手元に、期待したような金額が残らなかったということになるおそれがあるからである。
 ただし、被害者の方が、任意保険に入っており、「弁護士費用特約」を付けている場合は別である。その場合は、弁護士費用は自分が入っている保険会社の方が全額負担してくれる。被害者としては、弁護士費用は自己負担額が0円となるのであるから、加害者の損保会社が支払った損害賠償金は、全部自分のものとすることができる。
 示談で紛争を解決する方が好ましいと考えられる第2の場合とは、被害者の方が早期解決を望んでいる場合である。早期解決を望む場合とは、例えば、被害者の方が高齢者であって寿命が残り少ない方とか、何らかの病(持病)を抱えていて解決を急ぐ必要がある方の場合である。また、仮に若い方であっても、事情があって現在の居住地から、近日中に、遠方の土地に移転を予定しているような方もこれに含められる。
 かつて、交通事故訴訟事件ではなかったが、ある依頼者が肺がんにかかっておられ、どうしても解決を急ぐ必要がある事件があった。この事件では、判決を待っていたのでは間に合わないということで示談で済ませたのであった。もちろん、その依頼者の持病のことは一切秘密にして交渉した。
 その結果、裁判上の和解によって、一定の和解金を得ることができた。その方は、和解が成立してから、1年もたたないうちにこの世を去られたのであった。私としては、その方が元気なうちに事件を解決することができて本当に良かったと安堵したものである。

日時:13:11|この記事のページ

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