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弁護士日記

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公明党幹部は、次期戦闘機の第三国輸出を認めよ

2024年03月02日

 今週2月29日(木)の産経新聞の記事の中で、非常に気がかりなものがあった。それは、次期戦闘機の第三国輸出をめぐる与党協議についての報道であった。
 日本、英国およびイタリアは、次期戦闘機について共同で開発することを目指して既に動いている。そこで、問題となるのは、仮にその戦闘機が完成した場合に、どれをどこに売るかという問題である。世界の普通の常識に従えば、生産した戦闘機は、国内で使用することは当然としても、その戦闘機を輸出することが最初から予定される。なぜなら、物を生産する場合、大量に生産すればするほど生産にかかる単価が安くなるためである(これは物作りのABCであり誰でも知っていることである)。
 大量に生産するとは、要するに、国内の需要を満たすほか、第三国に輸出して、外貨を稼ぐということである。日本の場合、自衛隊が使用するために必要な数の戦闘機を生産してお終いとすれば、1機当たりの金額は非常に割高となる。しかし、第三国に輸出することができれば、他国に売れた分だけの儲けが発生し、その儲けを新たな戦闘機の製造に費やすことができる。そうすると、機体の値段も低下し、ますます売れることになる。日本のGDPをその分だけ押し上げることができる。
 ところが、上記新聞記事によれば、「自公両党の実務者は、次期戦闘機を念頭に第三国輸出を解禁する方向で協議していたが、公明幹部が難色を示し、議論が停滞した」と書かれている。第三国への輸出を拒否しているのは「公明幹部」とあるが、これが誰を指すのかは、おおよそ察しが付く。
 公明党の山口代表は、事あるたびに「平和憲法」「平和国家」という文言を口に出すことが多い。しかし、これらは、極めて曖昧な言葉である。第1、この日本語を英訳した場合、どのような英文になるのであろうか?翻訳した英文について、英米人にその意味が理解できるであろうか。疑問というほかない。そうすると、残念ながら山口氏の発言は、無責任な政治的発言に当たると考えることも可能である。
 山口氏は、国際平和というものが保たれる仕組みが余り分かっていないのではないか。どういうことかと言えば、世界の各国は、それぞれの国が軍隊(自衛隊ではない)及び軍事力(自衛力ではない)を堂々と備えて自国が他国から侵略を受けないように警戒している。さらに、価値観を共有できる友好国と軍事同盟を結んで、他国からの侵略に備えている(正確には、他国が侵略する意欲を持たないように仕向けている)。そのような態勢をとっているからこそ、その国の平和が維持されているわけである。
 上記の根本原則を認める限り、日本が自国の平和を維持するためには、他国との軍事同盟が不可欠なものとなる(集団的自衛権)。日本一国では、とうてい日本の安全を維持することはできないのである。
 そのことは、ウクライナ戦争の実態を直視すればすぐに分かることである(祖国防衛の国民的意識が高いウクライナですら、西側の民主主義国からの軍事的援助がないと、すぐに敗戦に追い込まれることになろう)。
 以上のことから、海外に向けて日本が「平和国家」であることを100万回唱えようとも、全く無意味であり、他国からの侵略を防止する上では、何ら役に立たないということが分かる。
 そういう正しい認識に立って考えた場合、次期戦闘機の開発に当たっては、日本単独での開発には莫大な国家予算が必要となることからその選択肢は最初からあり得ず(数年前に、民間旅客機の独自開発が失敗に終わった実例を想起せよ)、次善の策として、価値観を共有する自由主義国家(英国、イタリア)と共同開発する以外にないのである。
 その際、英国とイタリアが日本に対し第三国への輸出を認めるよう要請している事実があるのであれば、大局的見地(国益第1主義)に立って、日本国としてもそれを認めるというのが責任ある政治家の姿であろう。
 仮に日本は、未来永劫、戦闘機の第三国への輸出を認めないという頑なな姿勢を維持した場合、現時点で、必要とあらば核兵器の使用も躊躇しないと公言しているロシアや、核戦力の増強に余念がない中国などの専制主義国家が生産した戦闘機を輸入して使用しようとするアジアの国々も出てこよう。本当は、日本から最新鋭の戦闘機を買いたいのであるが、日本が売ってくれないため、やむなく独裁国が生産した戦闘機を購入するほかないという悪しき事態を招く危険がある。果たして、そのような状況が日本の安全および国際平和につながるのか大いに疑問である。
 公明党幹部は、時代遅れの唯我独尊的な立場を放棄し、正面から国益および現実を重視した政策に変更する必要がある。仮にそれができないのであれば、そのような旧態依然の思想に染まった政党は衰退するほかないであろう。
(2024年3月7日追記)
 立憲民主党の泉代表は、3月6日のラジオ番組で、戦闘機の第三国への輸出に反対するとの立場を明らかにしたと聞く。このニュースを聞いて、「やはりそうか」と思った。泉氏の姿勢は救い難いという以外にない。世界情勢についての勉強不足も甚だしい。泉氏は、これまで政治家として何を学んできたというのか?戦後78年を経て世界の状況が根底から大きく変化しているにもかかわらず、なお78年前の状況に逆戻りをして、それを前提として安全保障問題を考えているとしか思えない。これでは到底話にならない。このような国益を無視した低レベルの意見を掲げる政党は、さっさと消滅する以外にない。
 ネット記事によれば、野党の女性議員2名が、国会における予算案の議決の際に不規則発言をしたとして注意を受けたという。全く話にならない所業である。どうしてこのようなルールを弁えない子供のような未熟な人間が当選してしまうのか?やはり、このような人間が当選してしまうことを可能とする選挙制度に欠陥があるという以外にない。比例代表というおかしな制度を完全に廃止するほかない。私見によれば、気に入った候補者に投票が可能となる中選挙区制を復活させるべきである。中選挙区の場合、定員は、通常、3名~5名であるから、候補者選択の余地がある。現在の小選挙区制では、自分が住む地域の選挙区(岐阜1区)に立つ候補者(与党側から1名)が気に食わない場合、この人物へ投票することには抵抗感がある。そうすると、投票を棄権する以外にない。これは困る。

日時:14:45|この記事のページ

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