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弁護士日記

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中国人船長の釈放は、間違いである

2010年09月24日

 中国による我が国領海への侵犯行為に対し、我が国は、中国人船長を逮捕し、取調べを行ってきた。このような法律に則った適法な行為に対し、中国政府は、不当で執拗な抗議を繰り返し、ついには、中国政府の温家宝までが、船長の即時無条件釈放を求めて、対抗措置をとると言及した。そして、昨日(9月23日)までの動きによれば、我が国のハイテク産業に不可欠なレアアースを禁輸するという措置に出た。
 私の考え方によれば、尖閣諸島は我が国固有の領土であり、この点をめぐる紛争は存在しない。したがって、日本の領海を侵犯した犯罪者に対しては、日本の刑法・刑事訴訟法を適用して、事件を適正に処理すれば足りた。
 ところが、毎日新聞によれば、那覇地検は、船長を釈放するという決定をしたという。その理由は、新聞報道によれば「我が国国民への影響や、今後の日中関係を考慮した」という話である。しかし、何という無定見であろうか。まさに日本の国益を損ねる愚かな行為をしてしまった。法的な決定権は、処分権限を持つ那覇地検にあることは間違いないが、これほどの大きな政治問題となっている今回の事件を、那覇地検が単独で決定したとは到底考えられない。おそらく、日本政府の高官が協議をして、その結論を法務省に示し、法務省から、最高検察庁、福岡高等検察庁、そして末端の那覇地検という順序で方針が伝達され、現実化されたものであろう。
 違法行為を行った船長を釈放するということは、まさに中国政府による不当きわまる圧力に我が国が屈したということである。このような間違った先例を作ってしまったことは、今後の我が国の国益を非常に損ねるものである。なぜなら、今後、尖閣諸島問題以外の中国と日本の利害が鋭く対立する問題が生じるたびに、中国政府は、同じよう圧力をかけてくることはほぼ間違いないからである。
ちょうど、脅しをかけてきた暴力団に対し、金を払って、その動きを止めるというやり方と同じである。暴力団は、金を出す相手には、とことん食いついてくる。日本政府は、将来、もっと大きな代償を支払わされることになるのではないかと心配である。
 本来であれば、我が国は、中国との国交断絶まで視野に入れて、刑事裁判を我が国の法律に従って厳正に実施すべきであった。そこまでやる覚悟を日本が示せば、中国政府としても、無体な要求を日本に付きつけることは無駄であることが分かり、もう少し常識的な態度をとる方向に変わったであろう。
 私は、表面的な日中平和など不要と考えている。日本は、自国の国益を第1に掲げ、相手国とは徹底的に議論して、日本は外国の不当な要求には決して屈しない国であることを、中国に教えてやる必要がある。前回も述べたが、中国という世界の常識が通用しないおかしな国と今後も対等に付き合ってゆくには、まず強力な防衛力が是非とも必要である。強力な防衛力を構築するには、最新の備装品をまかなうのに十分な経済力が必要である。経済力を高めるには、財政を立て直し、国の借金を減らす必要がある。国の借金を減らすには、無駄な予算や無駄な国会議員・地方議員を減らす必要がある。国会議員も地方議員も、定数が余りにも多すぎる。国会議員や地方議員には、全く政策の勉強もせず、国会や地方議会での採決マシーンになりきっている無用の人間(陣笠議員)が多すぎる。したがって、人数は、現在の半分で十分である。特に、地方議員は、自分たちが、汗をかいて行政を執行し、または頭をひねって条例を策定することはほとんどなく、首長が出した予算・施策・条例の内容を点検するのが大半の仕事なのであるから、定数は半分でも十分なのである。具体的には、定員の上限を定めた地方自治法を改正し、上限人数を大幅に減らすべきである。
 話が完全に横にそれたが、今回の那覇地検(大元は日本政府)のとった措置は極めて疑問である。このようなおかしな処分を決めた一因は、もしかすると、大阪地検の検事の起こしたフロッピー書換え事件にあるのかもしれない。信用の落ちた検察庁の人気を回復させるために、中国人船長を釈放すれば、国民に恩を売ることができ、検察庁に対する風当たりが少しは弱まると読んだのかもしれない。しかし、今回の措置は愚策というほかない。完全な間違いである。

日時:16:59|この記事のページ

中国政府は傲慢な態度を改めるべきである

2010年09月14日

 中国は、現在、日本政府に対し、我が国に対する主権侵犯ともいえる違法な要求を行っている。私は、中国政府に対し、そのような正当性を欠いた違法な要求を即時やめるよう求める。
 事の発端は、本年9月7日、午前10時15分頃、日本の固有の領土である尖閣諸島・久場島の北北西12キロ付近で違法操業を行っていた中国の漁船を、日本の海上保安庁の巡視船が発見したことにある。我が国の巡視船は、違法操業中の中国漁船に対し、日本の領海から出るように命令した。しかし、違法操業を行っていた中国漁船は、我が国の巡視船にぶつかった後に逃走を開始した。そこで、巡視船2隻がこれを追跡したところ、ようやく停船命令に応じたというものである。
 国家機関である海上保安庁に所属する巡視船が、日本の領海を侵犯する他国籍の船舶に対し、取締りを行うことは、我が国の国権の発動に当たる。ところが、国権の発動たる警察権の行使に対し、違法操業を行った中国の漁船が抵抗を示し、日本の巡視船の船体に傷を付けたのである。この点について、中国政府は、日本の巡視船が中国漁船に先に当たったと嘘の報道をしているが、証拠となるビデオを見れば、どちらの言い分が正しいかはすぐに分かることである。このような中国漁船の違法行為は、我が国の巡視船による取締を妨害する行為であって、公務執行妨害罪に該当する。
 その場合、我が国であろうと、世界の多くの国であろうと、違法操業を行っていた漁船の船員および船体を自国の港に曳航して取調べを行うことはごく当たり前の行為である。日本は、そのごく当たり前の行為を適法に行っているにすぎない。
 これに対し、中国政府は、漁船の乗組員全員の解放と漁船の返還を求めて、何回も日本の在中国大使である丹羽大使に対し不当な要求をした。そして、ついには、中国の国務委員である戴が、9月12日の休日深夜に丹羽大使を呼び出して重ねて要求をするという、外交儀礼から考えても到底許されない無礼を働いた。
 尖閣諸島は、我が国固有の領土であり、これらの島が過去に中国の領土になった歴史は一度もない。また、日本が敗戦した昭和20年当時においても、そのような要求が中国側から出された歴史的事実は一切ない。ところが、終戦後、相当の期間が経過してから、この付近の海底下に有用な石油資源が埋蔵されていることを知って、中国は、突如、尖閣諸島が欲しくなった。そして、尖閣諸島は中国の領土であるという全く根拠を欠くプロパガンダを開始し、我が国から尖閣諸島を奪おうとしているのである。
 そして、そのような事実の裏付けを欠く、いわば空想的主張を基に、我が国の正当な国権の発動に対し、因縁を付けているのが、今回の中国政府の傲慢な姿である。
 以上が今回の事件の流れである。それにしても、私がいつも感じるのは、「どうして日本政府はこんなに弱腰なのか?」という疑問である。それは、今回の事件が起こった当初、仙谷官房長官が、「冷静な対応が必要である」と記者会見で述べていたことからもうかがえる。一体、「冷静に」という言葉は、誰に対しての言葉であろうか。我が国の国民に対する言葉であると考えるのが、記者会見の文脈からは正解ということになろう。しかし、今回のことで日本の国民世論が過激化する可能性は極めて低かった。したがって、官房長官が、わざわざそのような言葉を発する必要はなかったのである。
 そうすると、「冷静に」という言葉は、政府自身に向けての言葉と捉えることが可能である。「冷静に」とは、要するに、「事を荒げることなく穏便に処理をしますよ」という意味である。日本政府は、そのようなメッセージを発してしまったのである。
 このように、言わなくてもいい事を言ったことによって、中国に対して、日本政府の弱腰ぶりを印象付けるメッセージを送ってしまった。これは、逆効果というほかない。そのつけとして、丹羽大使を深夜に呼び出すという極めて無礼な行動につながったのではないかと私は分析する(例えば、住民を恐喝しようとする暴力団に対し、「冷静に対処しよう」と呼びかけるおかしな警察はいない。この場合は、「法に基づいて毅然とした態度で対処する。」というのが正解だからである。)
 中国という国は、古代より自国民同士の内戦や蒙古などの外国の侵略によって、長年にわたって戦乱に明け暮れた国である。したがって、どうすれば相手に対し、自国の要求を飲ませることができるかというような戦略面には非常に長けた国である。
そのようなしたたかで、世界の常識が通用しない国に対して、我が国が今後も対等に張り合ってゆくために、一番重要なものは何か。私は、強力な軍事力であると確信する。
 中国は、共産党の一党独裁の国であって、日米や欧州の先進国で常識化していることが全く通用しない国である。例えば、中国政府に都合の悪い言論は、即座に取締の対象になる。つまり、言論の自由がない。マスメディアによる国家の批判もない。
 また、中国では、過去20年以上にわたり、国家予算に占める軍事費の伸びは、連続して二桁となっている。まさに、中国は、将来、アジアを支配するための強大な軍事力を整備しようと考えていることは、ほぼ明らかである。
 このような危険な野心を持つ中国に対し、日本にも強い軍事力があれば、中国の無体な要求を跳ね返すことが可能となる。仮にそれがなければ、中国の理不尽な要求に屈服するほかないのである。

日時:17:06|この記事のページ

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