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弁護士日記

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行政書士による自賠責保険の申請手続等に際し、報酬等を支払う旨の契約が、弁護士法72条に違反して無効であるとされた事例

2015年06月19日

 大阪高裁平成26年6月12日判決は、交通事故の被害者が、行政書士に依頼して自賠責保険に対し申請を行ったが、その際に、行政書士が作成した書類の作成料、申請のための着手金、成功報酬などを依頼者が行政書士に対して支払う旨の契約は、弁護士法72条に違反するものであって、公序良俗に反し無効であると判示した(判例時報平成27年5月21日号61頁参照)。この判決内容は正当であって、評価に値する。
 この事件については、既に、神戸地裁尼崎支部が、平成25年11月29日に、被告とされた依頼者の主張を認め、原告である行政書士を敗訴させている。これを不服とした行政書士は、大阪高裁に控訴し、自分の主張の正当性を訴えたが、大阪高裁もまた、控訴人である行政書士を敗訴させた。
 弁護士である私に言わせれば、行政書士が、報酬を得る目的で、依頼者の相談に応じて法律事務を取り扱うことなど、法律上は許されないことは当たり前のことである。この行政書士は、そのような基本的なことも知らないまま、日々業務を行っていたのである。この行政書士の無知蒙昧ぶりだけが際立つ事件といえる。
 しかし、周囲を見渡すと、この行政書士と同様の違法行為を堂々と行っている行政書士が少なからず存在することもまた事実である。その意味で、この判決は、違法業務を行っている行政書士に対する警鐘となったのではなかろうか。
 ここで、以下、1~3まで判決の論理を示す。
判断事項1 控訴人(行政書士)と被控訴人(依頼者・事故被害者)との契約は、弁護士法72条に違反するものであって、公序良俗に反し、無効である。無効の契約に基づく報酬請求権は発生しない。
[解説]民法90条は、「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」と規定する。公の秩序又は善良の風俗を、一言で表すと、「公序良俗」となる。弁護士法72条は、弁護士でない者が、報酬を得る目的で法律事務を取り扱うことを罰則付きで禁止している。行政書士は、弁護士ではないから、これに違反する契約を他人との間で締結した場合、当該契約は無効となるのである。したがって、他人(依頼者)が、行政書士から、報酬等の支払いを請求されても、これに応じる必要はない。
判断事項2 行政書士は、被害者と加害者との間で、将来法的紛議の発生することがほぼ不可避である状況を認識しながら、医師に対する上申書や保険会社あての保険金請求に関する書類を作成し、提出したのであるが、これらの書類には、被害者に有利な等級認定を得させるための事実や意見が記載されていた。このような書類は、一般の法律事件に関し法律事務を取り扱う過程で作成されたものというべきである。行政書士法1条の2第1項にいう「権利義務又は事実証明に関する書類」には該当しないから、弁護士法72条に反する違法行為となる。
[解説]行政書士は、「権利義務又は事実証明に関する書類」を作成することができる。しかし、自賠責保険に対し、被害者のために有利な障害等級を得る目的で作成された書面は、将来、加害者側の損保会社との間で、法的見解の不一致を原因として法的紛争が生ずることはほぼ間違いないのであるから、そのような書類を作成することは、行政書士の職務権限を逸脱するものであり、弁護士法72条に抵触して許されないとしたものである。
判断事項3 書類作成費用等に関する契約も無効である。なぜなら、本件事故に関する書類作成自体が法律事務に該当し、行政書士法1条の2の対象外になるからである。行政書士が行った業務は、全体として弁護士法72条違反の評価を受けるものであり、報酬請求権の発生を認めることはできない。
[解説]行政書士が、自賠責保険などに提出する目的で作成した書類について、依頼者は、書類作成費用を支払う必要はない、ということである。
 以上のような考え方が、裁判所の基本的な考え方といってよい。
 もし、自賠責保険金の請求をめぐって、現在、行政書士との間で紛議が発生している方がおられた場合は、裁判で白黒を付けることも視野に入れて適切に判断された方がよいと考える。
                     

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医師と弁護士の比較(その2)

2015年06月16日

 前にも書いたが、自由業の代表的存在である医師と弁護士について再び書こうと思う。
 医師にせよ、弁護士にせよ、普通人にはない高度の知識を求められる職業であることは間違いない。しかも、国家試験に受かることは単なるスタートにすぎず、その後、自分でいろいろと勉強する必要がある点も共通している。さらに、専門的知識又は技能さえあれば、一生その知識等を生かすことができる。この点もよく似ている。困っている人々を救済するという点も共通している。
 ただ、大きな違いもある。
 弁護士の場合は、設備投資がほとんど要らない。仕事をする場所(事務所)と、机、電話、コピー機、専門書、事務員(1名)さえ揃えば、何とか仕事ができる。
 ところが、医師の場合は、勤務医は別として、開業医を目指す場合、設備投資にかなりの資金が必要となろう。医療器械ひとつとっても、何百万円から何千万円するのではなかろうか?仮にそのとおりであるとした場合、設備投資に費やしたお金を回収するためには、ある期間は借金返済のために一目散に働く必要がある。医は、仁術ではなく算術であるという状態が当分の間は続く。
 また、借金を返済した後は、せっかく築いた基盤を自分の代だけで終わらせるのはもったいないという心情になるのも、人間としてはやむを得ない。この辺りは、政治家と似ている。自分の選挙地盤を身内の者に継がせたいということである。そこまで考えるのは、余程、うまみがあるからなのであろう。
 8、9年前にも、某地方新聞に記事が出ていた。地元で長年にわたって開業していたベテラン医師が亡くなって相続が開始したが、相続人(妻)が税金を誤魔化そうと悪い心を起こし、金の延べ棒を敷地内に隠したところ、それを税務当局が見抜いて、金の延べ棒が大量に発見されたということであった。その結果、税金を誤魔化そうとした相続人(妻)は、追徴課税として何億円も納めたとのことであった。
 地盤を自分の親族に継がせた途端に、その病院は、いわゆる同族病院となる。同族病院にはいろいろな問題があるが、一番の問題は、医師としての適格性がない人物が、ただ病院を継ぐだけの理由で医師になってしまう危険性が高いということである。このような不適格な医師は、テレビドラマなどでもよくお目にかかる。だいたいが、高級外車やスポーツカーなどを乗り回しており、患者の命を救うことには余り関心がない。
 世間知らずで、性格も傲慢であり、内心では、患者などの弱者を馬鹿にしている者が多い。このような者には、できるだけ医師になってもらいたくないものである。そう思うのは、私だけであろうか。

日時:10:10|この記事のページ

農地法セミナーin大阪を終えて

2015年06月15日

 今週は、11日・12日と大阪で、農地法セミナーの講師を務めた。日本経営協会関西本部には、6~7年前から、春に農地法セミナーの講師として出張している。今回のセミナーに参加された人々は、関西地方を中心に、中国地方、四国地方および九州地方と、いわゆる西日本の自治体からの参加者がほとんどであった。
 テキストは、拙著「農地法読本[改訂版]」である。この本は、農地法の解説書として定評があり、自分でもよくまとまっている本であると自信をもっている。
 さて、今回の参加者は、全部で19名であった。私個人の印象であるが、以前の参加者よりも真面目に受講しようという姿勢の方々が増えているように思える。セミナーは、初日の11日を経て、二日目の12日午後4時に無事終了したが、おそらく全員の方々が、受講前と比較して新たな知識を習得されたのではないかと思う。
 8月上旬になると、名古屋で同様のセミナーが開催される(問い合わせ先は、日本経営協会中部本部052-957-4172 担当は野崎氏である。)。それまでは、ひとまず充電を行う予定である。

日時:14:44|この記事のページ

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