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弁護士日記

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タイのバンコクに行ってきた

2018年02月22日

 今月の17日(土)から昨日の21日(水)まで、家内と二人でタイのバンコクに観光旅行をしてきた。日本とタイの時差は僅か2時間である。17日の土曜日の昼前に中部国際空港を飛び立った日本航空機は、一路タイのバンコクを目指して飛んで行った。窓から見た風景はいつものとおりであり、雲が眼下にいくつも見えた。
 タイは、二度目である。最初に行ったのは、今からちょうど27年も前のことであり、平成3年の1月のことであった。当時、私はA総合法律事務所のイソ弁としてM弁護士の下で修業を重ねていた。今でこそA総合法律事務所は、数十人規模の弁護士を擁する愛知県下でも有数の大規模事務所であるが、私がいた平成3年当時は、弁護士といえば経営者であるM弁護士と私の二人だけの小さな普通の事務所であった。
 今回、私は懐かしい気持ちを持ちながらバンコクの国際空港に降り立った。しかし、夕方であるが暑くて気温は30度近くにまでいっていたのではなかろうか。「暑くて大変だ」と思っていたところ、その後、本当に大変なことになってしまった。
 バンコクの二日目は、有名な世界遺産のアユタヤに行った。日本から添乗員は付いてきていないため、現地のガイドのみとなる。今回は、我々二人のために一人のタイ人女性のガイドが付いた。まるで専属ガイドのようである。
 アユタヤでは、今は廃墟化している寺院の跡を観て回ったが、とにかく暑い。正午頃の温度は30度を優に超えて、33度くらいあったと聞いた。太陽がガンガン照って暑いが、ガイドさんの説明を聞きながら、また、写真も撮りながら歩いた。もちろん、熱中症対策として、ペットボトルのミネラル水を飲みながら歩いたが、寒い日本から来た体が全く馴れておらず、疲れがたまってきた。
 寺院の跡を観た後、ゾウに乗ることになっており、順番を待つ間、ゾウのいる施設の前の売店で、ハチミツ入りのドリンクを飲んだ。これがいけなかった。細かく砕いた氷が溶けて、その氷に含まれていたバイ菌も一緒に飲んでしまったようである。
 そのため、バンコクの三日目の朝は、腹痛がして、下痢になってしまった。いままで海外の各地に何度も旅行しているが、腹痛を起こしたのは、今回が初めてではなかったかと思う。そのため、三日目の観光はバンコク市内の有名な寺院を回る予定であったが、途中で本来の観光予定を変更して、早めにホテルに戻った。
 バンコクの四日目は、観光を完全にキャンセルして、一日中、ホテルの部屋で休養をとっていた。大事をとったおかげで、夜には体調もほぼ回復したため、その日の深夜には再びバンコクの国際空港に赴き、午前0時過ぎに日本航空で、中部国際空港に向かった。
 バンコクの物価についてはよく分からないが、バンコク市内のスーパーで売っているタイ国のシンハビールは、約30バーツ、約100円である。しかし、同じビールをレストランで注文すると、約120バーツ(360円)から150バーツ(450円)の高価な値段となる。ミネラル水もスーパーの価格とホテルの価格では5倍の開きがあることが分かった。
 今回の旅行で得た教訓は、「いつまでも元気だと勘違いしてはいけない」ということである。若い頃であれば、体に大した負担にならない暑さであっても、年齢を重ねると大きなダメージとなるということである。今後は、年齢をよく自覚して無理のない行動を心掛けたいと思う。

日時:15:52|この記事のページ

最新交通事故判例紹介(その8)  人身傷害補償保険の給付と加害者に対する損害賠償請求権との関係について判断した事例

2018年02月09日

 交通事故によって被害者に人身損害が発生したが、被害者にもかなりの割合の過失があることがある。その場合、被害者の過失分については、賠償金を受け取ることができない。例えば、市街地にある国道を横断中の歩行者Aは、自分の対面信号の表示が赤信号であるにもかかわらず、これを無視して走って横断を試みたが、運悪くBの運転する車にはねられたとする。その場合、Aの過失割合を70パーセントとする。Aは7割悪いということである。仮に、Aの損害賠償金が1000万円とした場合、Aにも落度があるため、賠償金は7割減額され、300万円の補償しかもらえなくなる。
 このような事例を扱った判決がある。大阪地裁平成27年4月16日判決(交通民集48巻2号504頁)。この事故の場合、被害者の男性は、人身傷害補償保険会社から、474万円を受け取った。その後、加害者であるBを訴えたところ、大阪地裁は、全体の賠償金額を942万円と認定した。そして、原告であるAの過失割合は7割であると認定した上、原告の受け取った474万円は、942万円の7割に相当する659万円余りを超過しないとして、原告Aの受け取った474万円は、全て被害者の過失割合分に充当されると判決した。
 そして、原告Aの被告Bに対する過失相殺後の損害賠償請求権は、942万円×0.3=282万6000円であると認め、被告のBに対し、同額の支払を命じた。
 このように、人身傷害補償保険に加入して補償を受けることによって、自分の側にかなりの過失がある場合であっても、裁判所で認定された本来の賠償金額(942万円)に近い補償を受けることが可能となる。
 この事件の原告Aの場合は、474万円と282万円余りの合計756万円余りを受け取ることができた。仮に人身傷害補償保険に未加入の場合、Aは282万円余りの賠償金で我慢するほかなかった。

日時:16:30|この記事のページ

最新交通事故判例紹介(その7)  損害賠償請求権の消滅時効の起算点を、被害者が医師から症状固定の診断を受けた時とした事例

2018年02月01日

 交通事故によって被害者に治療費などの損害が発生した場合、被害者は、加害者に対し、一体いつまで賠償請求権を行使することができるのであろうか。常識で考えても、いつまでも無期限で可能ということにはならない。
 この点について、現行民法724条は、「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。」と定めている。
 この条文を簡単に言えば、例えば被害者Aが、加害者Bによる不法行為によって事故に遭い、いろいろな被害を受けたことを知った日から3年が経過すると、損害賠償金は消滅時効によって消えてしまう、つまり3年が経過すると、加害者Bに対し賠償請求をすることができなくなってしまう、ということが分かる。
 しかし、ここで疑問となる点として、仮に治療期間が長引いてしまい、治療中に、事故発生日から3年を過ぎてしまった場合に、そのことだけで賠償請求権が消えてしまうのか、という疑問である。このような場合、仮に消えてしまうということになると、その結論は誰が考えてもおかしいということになる。
 この点について、最高裁の平成14年1月29日判決は、加害者に対し賠償請求が事実上可能な状況にあることが必要であるとする。次に、賠償請求が可能な程度に損害及び加害者を知った時から3年という意味であるとする。つまり、「損害を知った時」とは、損害の発生を現実に知った時を指す、というのが最高裁の立場である。
 この最高裁の考え方によれば、被害者Aが、加害者Bに損害賠償を請求しようとした場合、こと後遺症に関係する賠償金(後遺症慰謝料、逸失利益など)については、そもそも症状が固定するまでは消滅時効は進行しない。
 この点について、高松高裁平成27年7月23日判決は、「交通事故により傷害を受けて後遺障害の存する被害者が加害者に対して損害賠償請求をする場合において、[中略]被害者が損害の発生を現実に認識した時と評価することができるのは、基本的には、被害者が医師から交通事故による傷害の症状が固定した旨の診断を受けた時と解するのが相当である。」とした。
 実務的には、医師が作成した後遺障害診断書の症状固定日の日時が重要となる。ただし、ここで気を付けなければならない点がある。それは、仮に被害者Aが、自分には後遺症が残っているはずだと考えて、自賠責保険に対し、後遺障害についても被害者請求をしたところ、自賠責保険(損保料率機構。いわゆる調査事務所)が、被害者Aには自賠責保険でいう後遺障害が残存していない、つまり「非該当」であるという判定を行った場合である。
 この場合、仮に被害者Aが、「そんなはずはない」、「後遺症による賠償も可能だ」と思って、事故日から3年経過後に、弁護士に依頼して加害者Bを被告として後遺症による賠償を含む損害賠償請求訴訟を提起したとしても、裁判所が、自賠責保険と同様に後遺障害が残っていないという判決をした場合、結局、後遺症が認められなかったことになるから、消滅時効の起算点は症状固定日からという原則の適用はなくなる。
 この場合は、事故後に、治療費、通院費、休業損害などが次々と発生し、損害として確定した時点から、それぞれ3年が経過すると消滅時効にかかると考えられる。なお、反対説として、一連の損害が全体として確定した日(最終日)を、これらすべての損害合計額の起算日とすべきであるという立場もあろう。
 したがって、被害者側としては、消滅時効の問題が発生しないようにするためには、ともかく事故から3年以内に訴訟を提起しておくことが肝要ということになる。
 なお、改正民法724条の2は、特に生命・身体の侵害による賠償請求権について、現行民法724条の「知った時から3年間」を「知ったときから5年間」に延長している。

日時:14:47|この記事のページ

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