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弁護士日記

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「判例からみた労働能力喪失率の認定」が出た

2017年04月28日

 本年4月10日付けの弁護士日記でも紹介させていただいたが、新日本法規出版から、「判例からみた労働能力喪失率の認定」が本日出た。私自身の本としては、13冊目の単行本である。本日の発売を記念に、新日本法規出版の担当課長が当事務所に来られ、私は、献本分として10冊いただいた。
 この本は、定価が4,600円(税込み4,968円)であり、決して安い本とは言えない。しかし、最近、実際に裁判所で出た判例を元に重い障害等級から軽い障害等級まで、いろいろな事例について紹介している。そのため、自分に関心がある具体的な事例について、判決になった場合にどのような点が考慮されているかを知ることができ、また、判決のおおよその方向性を予想することができる。
 この本の使い方であるが、もちろん最初の頁から、最後の頁まで通読することによって、最近の判例の傾向を掴むことができる。もし、そのような時間的な余裕がない方は、自分に対して認定された障害等級をベースに考えた場合、仮に訴訟を提起した場合に、どのような点が争点となるか、また、争点となった場合に、自分の弱点ないし補強を要する点はどこなのか、の点が分かるようになるはずである。
 我々弁護士の立場に立った場合、事故被害者(または加害者側の損保会社)から法律相談を受けた案件について、今後、どのような点に注意して訴訟を進行させる必要があるかの点を認識することが可能となる。
 私の弁護士日記の直前号でも触れたが、何が真の争点になり得るのかの点が余り分かっていない弁護士が多すぎる。肝心な点がよく分かっていないため、たとえ主張や反論をしても全く無駄と思われる点について、準備書面でいろいろと繰り返し主張する弁護士が余りにも多い(ただし、これはあくまで私の主観にすぎないことに留意されたい。)。
 そのことは、事件を依頼している当事者には全く分からない。交通事故に詳しいプロの人が事故の当事者になったような場合は別であるが、交通事故に関する知識がない者が、弁護士から送られてきた書面を見ても、その内容について的確に判断することはほぼ不可能に近い。そのため、客観的に見れば首をかしげたくなるような主張や反論が準備書面に堂々と記載されてしまう。
 おそらく裁判官からすれば、「そんなことを言ってもらっても、法的には余り意味がないね。」という感想が生ずるのではないかと推測するが、万が一、裁判官がそのような率直で正直な発言を法廷で述べたときは、言われた弁護士の方から、「根拠なき侮辱を受けた。法廷で謝って欲しい」という反論が出る危険があり、裁判官としては、国家賠償事件の訴訟リスクを考えると、口が裂けても言えないのではなかろうか?
 そのため、裁判官としては、うかつなことは法廷では一切発言しないよう細心の注意を払うことになり、結果として、無駄とも思える無意味な訴訟活動が放置される結果となり、無意味な裁判が長々と続くことになるのである。もちろん、全部の弁護士がそのような不勉強者ということでは決してなく、中には、よく勉強され、傾聴に値する主張や反論をされる立派な弁護士も、少数ではあるが現実におられるのは事実である。
 私が今回、この本を著した理由の一つは、多くの若手弁護士に勉強してもらうことによって、無駄のない効率的かつ公正な裁判の実現に、少しでも寄与するためである。その辺りの事情のご理解をお願いしたい。

日時:15:29|この記事のページ

和解金額が1311万円増額した

2017年04月26日

 一作年の秋に田中さん(仮名です。)から、交通事故相談を受けた。田中さんの話では、「横断歩道を歩いているときに、運送会社のトラックにはねられ、その後、いくつかの病院で治療を受けて、症状が固定した。高次脳機能障害という結果だった。保険会社から示談の話があったが、金額に不満があり、交通事故紛争処理センターに和解斡旋の申立をした。しかし、紛争処理センターの裁定案に不満があるので、裁判で解決したい。」との内容であった。今回、田中さんに示された交通事故紛争処理センターの裁定案は、「既払い金を除き、4939万円を支払う」という内容であった。
 私は、田中さんの話を聞いて、争点は、労働能力の喪失率の数字であると考えた。また、交通事故紛争処理センターは、建前は中立ということになっているため、そこで示された裁定案を大幅に超える結果を獲得することは一般論としては容易ではないと感じた。交通事故紛争処理センターは、和解斡旋の申立をすると、センターの弁護士(1名)が双方から事情を聴きとって和解案を提示してくれる。和解案に不満があるときは、審査に回り、審査結果は裁定という形で示される。審査の結果について、被害者側に不満があるときは、被害者はこれに従う義務はない。
 私の経験では、交通事故紛争処理センターで示される提案は、損保会社寄りのものが多く、被害者側には有利ではないとの印象が強い。そのため、私個人は、10数年以上前から、交通事故紛争処理センターは一切利用していない。
 提訴は、平成28年の2月であった。ところが、損保会社側の弁護士は、訴訟を迅速に進めようという気がない。交通事故訴訟というものは、非常に難しい論点が数多くあるものから、通常レベルの論点が一つか二つあるだけの比較的簡単なものまである。今回の論点は、被害者である田中さんの労働能力喪失率の程度の如何、それだけであった。
 ところが、損保会社の弁護士は、一体何を考えていたのかは知らないが、既に支出済みの治療費を認めない、つまり相当因果関係がないなどと主張し始めた。治療費は、既に損保会社の事実上の承認の下で、医療機関に対し支払われているのであるから、いまさら「事故との間に相当因果関係がない。認めない。」などと主張しても、裁判所がそのような不合理な主張を認めるはずはないのである。しかも、提訴後の準備書面にはそのような認否があったのであるが、提訴時からかなりの時間が経過してから、再び時間をかけて反論したいというのである。
 しかし、そのような時間の無駄使いともいえる訴訟活動をやっていたのでは、どれだけ時間があっても足らなくなる。残業、残業の連続となって、やがては自分の健康も損ないかねない。このような姿は、「時代遅れ」という以外にない。
 ちなみに、私の事務所では、事務員に原則残業はない(1年間累積で10時間以内)。私も、遅くとも午後6時までには仕事を切り上げている。私は残業が嫌いである。残業しなくて済むように、ものすごい集中力を発揮して、短時間で仕事を完成させるようにしているのである。 
 私は、一般論として迅速な訴訟進行を好む。迅速に事件を処理することが第一と考えているからである。したがって、最初から争点にもならないようなつまらない論点に無駄な時間をかけるようなことは極力やらないようにしている。つまらない論点に無駄な時間をかけて、結局、後になってから「やはり無駄であった」ことが証明された場合、過ぎ去った貴重な時間は決して戻っては来ないのである。私としては、今後も、「迅速かつ効率的な訴訟進行を心掛ける」をモットーとしてゆく所存である。
 話がやや逸れたが、本年4月になってから、前月に裁判所が示した和解案を双方が承諾し、結果的に、6250万円ということで事件は解決した。この金額は、交通事故紛争処理センターの裁定案である4939万円を1311万円上回った。それなりの結果が出たので、私も田中さんから報酬金をいただくことになるが、田中さんは、自動車保険の「弁護士特約」に入っておられたため、報酬金のうち、300万円までは弁護士特約で補てんされるはずである。

日時:13:03|この記事のページ

北朝鮮の金正恩による暴発危機にどう対処するか

2017年04月19日

 最近は、テレビをつけると、北朝鮮の核開発の話題一色である。つい1か月前は、大阪の森友学園をめぐる問題の話題ばかりであった。
 いかに、マスコミという存在が、視聴率ばかりを気にしているかの表れといえよう。北朝鮮による核開発の問題は、何も今年の4月に入って突然発生したものではなく、既に何年も前から問題視されていた事柄である。
 私は、本年の3月の時点で、国会やマスコミを中心に森友学園の籠池理事長の証言についていろいろと詮索していることには、ほとんど重要性を見いだしていなかった。極論すれば北朝鮮の核開発問題に比べれば「どうでもよいこと」なのである。
 さて、北朝鮮の核開発問題に対する、モーニングショウなどにおけるコメンテーターの発言を聞いていると、首をかしげたくなるものが多い。特に、左翼系のコメンテーターの発言は、「アメリカによる北朝鮮への攻撃は、全面的な戦争を招く危険があるから止めるべきであって、問題は話合いで解決すべきである」という論調が多い。
 これは実に不見識な発言であって、とうてい容認できない。話合いによる問題の解決が成功するためには、当事者の主張に歩み寄りの余地があることが大前提である。ところが、北朝鮮は、核開発、特に大陸間弾道ミサイルの開発は絶対に止めないと明言している。かたや、アメリカは、アメリカ本土に到達する核ミサイルの開発は絶対に認めないとしている。
 このように双方の主張は水と油の関係であって、決して妥協点を見いだすことはできない。かつて、6か国協議という仕組みがあって、話合いによって北朝鮮の核開発を阻止しようという目論見があった。しかし、私は、その当時から、6か国協議など全く役には立たない、そんなことを継続していたら、むしろ、北朝鮮に対し、核開発の時間を提供してしまうことになって、百害あって一利なしとみていた。
 しかし、日本の外務官僚たちは、6か国協議を推進する立場をとっていた。なぜ、外務官僚たちがそのような馬鹿げた方策をとっていたのかは知らないが、おそらく話合いで問題を解決できれば外務省(外務官僚)の大金星になるという程度の意識ではなかったのか、と推測する。自分たちの得点稼ぎのために、6か国協議の継続に執心していたようである。
 さて、今後、北朝鮮の独裁者である金正恩は、どのような行動に出るだろうか?私の予想によれば、①核開発は絶対に止めない、②アメリカ本土に到達する大陸間弾道ミサイルを早急に完成させる、③大陸間弾道ミサイルが完成したら、アメリカ本土に向けて発射する(ただし、アメリカ本土に落下しないように工夫する)、④韓国に対し休戦協定を破棄して戦争を開始する、⑤戦争に勝利して朝鮮半島全体を支配下に収める、⑥朝鮮半島全域に金王朝(北朝鮮)の強権支配を及ぼし、永遠に金王朝が継続するよう統治組織を万全のものとする。
 以上である。問題は、このような金正恩の野望に対し、いつアメリカが本気を出すかである。
 ここで太平洋戦争を思い出す必要がある。戦前の我が日本は、アメリカの禁輸政策がこのまま強化されれば、国として生存することが困難になると判断して、連合艦隊を派遣して、ハワイの真珠湾を攻撃した。日本軍の意図は、先制攻撃をすることによってアメリカ軍の戦力を削ぎ、あわよくば講和に持ち込んで、話を付けようとしたようである。
 しかし、ミッドウエー海戦で連合艦隊が壊滅的な被害を受けた以後、日本は徐々に押し込まれて、原爆投下によって終戦を迎えた。真珠湾攻撃という選択は間違いであったことには今日ほぼ異論がない。
 では、どうすればよかったのか?満州からさっさと兵を引いて、防衛ラインを、当時併合していた韓国と中国の国境にまで南下させればよかったのである。そうすれば、当時、アメリカとの和平交渉も進展していた可能性がある。日米で戦争をやらなくとも済んだ可能性があったのである。
 話を戻す。アメリカにとって、北朝鮮への攻撃開始を決意させる行為とは、北朝鮮がアメリカ本土に到達する可能性を持った大陸間弾道ミサイルの実験を実施したときである。金正恩が、いつそれを実行するかは分からないが、金正恩は必ずそれを実行するはずである。そうすると、我が国としては、アメリカと北朝鮮との戦争開始を防ぐことは不可能という結論になる。
 我が国としては、そうなることを前提に、我が国の尊い人命と美しい国土を守るために、防衛力の格段の強化を図る必要があると確信する。具体的には、防衛予算は、少なくとも現在の2倍程度の金額に増額するべきである。

日時:15:56|この記事のページ

中日ドラゴンズ低迷の原因を探る

2017年04月13日

 私は昔からプロ野球の中日ドラゴンズのファンである。ところが、最近の中日は粘りがなく、競り合いに弱い。昔は、平均してAクラスにいたのであるが、最近はBクラスが似合っている。原因はなぜか?私なりに以下のとおり分析してみた。
 ろくな選手がいないなど原因は多岐にわたるが、ここでは2点に絞る。
 [原因その1] 選手の世代交代がうまくいっていないこと。
 中日というチームは、どういうわけか知らないがベテランを重用してきた。特に落合監督の時代はそうであった。確かにベテラン選手に任せておけば、そこそこの数字を出す。したがって、監督としても安心できる。反面、若手選手が一軍の試合に出られないため、芽がでない。せっかくの才能を開花させることなく、プロ野球界を去る。
 ベテランを必要以上に使うという悪い傾向は今でも改まっていない。特に、谷繁監督の時代は、自分が捕手をやりつつ監督も兼業するという、実に馬鹿げた方法をとっていた。捕手が監督を兼業して多く勝てるはずがない。プロ野球はそんなに甘くないと思うが、現実には全くおかしな体制をとっていたのである。
 また、現在の森監督であるが、落合監督の手法をまねているのかどうかは知らないが、冴えが感じられない。大体、「高齢者」の部類に属する荒木や、岩瀬投手を一軍に登録している点は説明が付かない。私が監督だったら、一軍登録選手は、20歳代が中心となる。30歳代後半まで現役にこだわっている選手がいたら、その選手には戦力外通告をして野球を辞めてもらう。あくまで若手中心で行くのである。私は、何事につけ現状に安住し現時点よりも能力が向上する見込みのない「ベテラン」は全然好きでない。
 [原因その2] 選手を甘やかしていること。
 中日ドラゴンズの野球中継をテレビで見たり、あるいはラジオで聴いたりした際に気が付く点とは、アナウンサーも解説者も、選手に非常に優しいということである。「他人に対して優しい」という態度は、一般的には好ましい態度である。しかし、プロ野球は、「勝ってなんぼ」の世界である。この点は弁護士も同じであろう。いくら弁護士の人間性が優れていても、あるいは人格が高潔であっても、裁判に連戦連敗しているような弁護士では使い物にならない。むしろ、多少人が悪くても、裁判に勝ってくれる弁護士の方が優秀という評価を受ける。プロ野球選手も同じである。
 したがって、野球解説者は、選手が馬鹿なプレーをしたときは、「何をやっているのだ。しっかり練習しろ」と指摘し、また、監督の采配に疑問があるときは「今の采配はどうかと思います」などと疑問を呈する必要がある。ところが、中日ドラゴンズの試合に限っていえば、中日OBの解説者が、選手のプレーや監督の采配を非難する場面は全くない。アナウンサーも同じである。ひたすら「よいしょ」に専念している。また、選手も「ぬるま湯」につかっている。厳しさが足りないのである。放漫経営によって巨額の赤字を出している民間企業と同じ体質を感じる。しかし、これではダメである。
 なぜ、解説者やアナウンサーがそのようなおかしな傾向に染まっているのか、原因は定かでない。しかし、私の推測によれば、球団の親会社である中日新聞の意向が働いているのではないかと思う。選手のプレーや監督の采配については、マイクの前では絶対に非難めいた言葉を発しないように、お達しが出ているのではなかろうか?
 私としては、例えば、元ヤクルトの野村監督や阪神の江本投手のように、野球解説者になってから、普通は言いにくいことをズバズバと言う解説者の方が好きである。
 以上、今シーズンは、中日ドラゴンズには、むしろ連戦連敗のプロ野球新記録を作ってもらいたいと願っている。一度、底なしのどん底に落ちて、その結果、周囲から徹底した批判を受けてから、初めて中日ドラゴンズの真の再生があると考えるからである。

日時:10:40|この記事のページ

間もなく交通事故関係の専門書が出ます

2017年04月10日

 弁護士というと、昔から相談者から「専門は何ですか?」と問われることが多かった。これに対し、昔は、「民事事件一般です」とか「民事事件も刑事事件もやります」という大雑把な答えが多かったように記憶する。
 しかし、弁護士業全体の雰囲気として、かなり以前から、より専門化が進行し、今では、例えば同じ民事事件であっても、より細かく「建築関係」とか「交通事故」などのように専門化した答が出ることが多いようである。これは、インターネットを利用した法律事務所のホームページなどが当たり前の状況となってきたことと無関係ではない。昔と違って、一般の人々も法律の知識を学ぶ機会が増えてきたということである。一般人の知識が増えれば、当然のことであるが、ありきたりな話では満足できなくなる。より詳しい話を聞きたくなる。
 弁護士に依頼するにしても、間違いなく示談交渉とか訴訟をやってくれる専門知識を具えた弁護士に頼みたくなる。これは、例えば医者の世界でも同じであろう。単なる内科医ではなく、例えば、呼吸器内科とか消化器内科などのような、より専門的な分野に精通した経験豊富な医師に診てもらった方が、患者としても安心できる。間違っても、例えば眼科医に対し、大腸の検査を頼むような愚かな患者はいないのである。
 今回、私は、新日本法規出版から、「判例からみた 労働能力喪失率の認定」という本を出す。定価は4600円であり、税込み4968円である。一般の人身事故の場合、障害等級が重い怪我であればあるほど、労働喪失率が問題となる。なぜなら、損害賠償金のうち、逸失利益の金額が一番大きなものとなる可能性が高いからである。そして、逸失利益の額を決めるポイントは、「年収」と「労働能力喪失率」である。
 したがって、後遺症が問題となる人身事故においては、労働能力の喪失率がどれほど認められるかが大きな争点となるのである。本書は、この点に焦点を絞り、計100判例について、被害者側と加害者側の主張を整理し、かつ、裁判所の判決理由を示すことによって、裁判所はどのような点を考慮して労働能力喪失率を決定したのかという点を解明しようとしたものである。
 もちろん、僅か100程度の数の判例では正確な分析はできないかもしれないが、大方の傾向を読み取ることはできるのではないか。本は、本年5月の上旬には一般に向けて発売される。人身事故に遭われた方にはお勧めの本といえよう。

日時:13:54|この記事のページ

産経新聞の記事を見ての感想

2017年04月06日

 私は、日頃、産経新聞(朝刊)を購読している。以前は、朝日新聞であったが、社説などを読むにつけ、「なぜそのように言えるのか?一体、朝日新聞はどこの国の新聞なのか?」と多くの疑問を持つに至り、朝日の購読は数年前にきっぱりとやめた。
 さて、産経新聞の4月5日付けの記事によれば、第1面で「政治集団化する日弁連」との見出しが目に入ってきた。新聞記事で、日弁連の姿勢を批判的に報道する新聞社はほとんどなく、今回の記事は、それだけ印象が大きい。
 内容を読むと、平成28年10月に福井市内で開催された日弁連の人権擁護大会の様子が書かれていた。集団的自衛権の限定行使を容認する、いわゆる安保法制に対し、「憲法違反であって無効」、「安倍政権打倒」と唱える弁護士らが、次々とマイクを握って意見を述べたというのである。
 また、産経新聞によれば、地方の単位会(地方の弁護士会)においても、集団的自衛権の政府解釈や安保法案に対する反対意見が続出したというのである。
 このような日弁連の動きに対し、産経新聞は、このような動きは、民主党や共産党などの野党の主張と軌を一にしており、政治闘争にほかならないと批判する。また、翌4月6日付けの産経新聞を見ても、「現実離れの反安保決議」との見出しがあり、今回の記事はこれで完結するのではなく、まだまだ続編が出るようである。
 では、私の感想を開陳したい。日弁連は、弁護士を営もうとする者であれば、全員が必ず加入することを義務付けられた団体である。いわゆる強制加入団体である。強制加入団体である日弁連の会員(弁護士)の中には、様々な主張や意見が存在するはずである。安保関連法制に全面的に賛成する私のような弁護士も少なからずいるはずである。
 したがって、公的な性格を帯びた日弁連が、余り政治的主張に深入りすることは妥当性を欠くと考える。政治的な主張を繰り返すことによって、やがて、意図しないうちに政治的な権力闘争に巻き込まれる危険があるからである。権力闘争とは、分かりやすく言えば、「自分が生き残るためには、自分に反対する者には死んでもらう」ということである。
 世の中の多くの政治家を見れば分かるが、口で言っていることと内心は別物である。「国民のため」と言っておきながら、実は自分自身のため、あるいは自分が所属する組織の利益を図るため、ということが本音であることは、これまでの人間の歴史から分かっている。
 このように、政治の本質が権力闘争である以上、日弁連が過度に政治闘争に肩入れすればするほど、権力を持っている側(政権)から、とんでもない仕返しを食う危険性が増してくる。具体的には、弁護士自治を侵害するような由々しい事態を招きかねないということであり、仮にそのようなことになった場合に、一番迷惑をするのは、日々まじめに仕事をしている普通の弁護士である。そのようなことはあってはならない。

日時:11:48|この記事のページ

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