最近のテレビ、新聞報道をみると、加計学園問題を取り上げたものが多い。その主な論調は、「疑惑は解明されず」というものである。
しかし、私の眼からみると、実につまらないことに、全報道機関の眼がいってしまっているというほかない。特に、国会の閉会中審査に至っては、そもそも行う必要があったのかどうか疑問である。特に、選挙で選ばれた国会議員の連中は、このような無駄なことに、国費と時間を浪費している暇などないはずである。
この問題については、いろいろな人が、その立場に応じて種々の主張を行っていることから、ここでは詳細は全て省略し、物事の本質に絞って私の見解を示す。
第1点。そもそも、四国の愛媛県今治市に獣医学部をもつ大学を設置することは、無駄なことか?私はそうは思わない。
例えば、ヒアリ騒動にみるように、今後、国際間の物流がますます増大する一方の今日、その分野の専門家を今から養成する必要がある。そのような専門家を育てる学部として、獣医学部、農学部、理学部生物学科、生物資源学部などの諸学部が頭に浮かぶ。四国には、獣医学部が一校もないのが現状であり、愛媛県今治市に獣医学部を有する大学を新設することは、大いに歓迎すべきことであって、忌避すべきことではない。したがって、現状は、「良い方向」に向かっているのである。
第2点。文部科学省の前の事務次官である前川氏が、今回、告発まがいの行動に出たのはなぜか?前川氏は、「安倍首相によって、あるべき行政が歪められたことが許せない」と主張する。
しかし、これは表面上の形式的な理由ではないかと私は睨む。今回の騒動は、霞が関の官僚機構の内部における、一種の権力闘争と考えてよかろう。
大学の設置認可の権限を持つ文部科学省としては、今回、内閣府という他省庁の意向が働いて獣医学部の新設が認可されてしまった、つまり聖域を侵害されたことが絶対に許せないということではないのか。換言すると、「神聖にして侵すべからず」の文部科学省の権力が、他の省庁によって蹂躙された、つまり、権益を害されたということが気にいらなかったのではないかと推察する。しかし、一国民からみた場合、文部科学省の前の次官の個人的思惑など、どうでもよいことである。
第3点。上記のとおり獣医学部の新設に当たって、仮に安倍首相の影響力が働いたとしても、そのこと自体には、違法の問題はないと考える。大学の新設に至る経緯において、行政法に反する違法性が認められない限り、今回の事態に大きな問題はないのである。
仮に今回のようなことはあってはならないという間違った立場をとった場合、今後、国民は、自分が応援している政治家に陳情することさえ許されなくなるおそれがある。
例えば、豪雨によって堤防が決壊し、地域の住民の生命が失われたため、地域の住民の代表者が、その地域選出の国会議員に対し、「堤防の補強工事を国交省に掛け合って優先的にやっていただけませんか」と頼むことも、事実上できなくなるのではないか。
しかし、そのような馬鹿げた結果を是認する政治家は、与野党を問わずいないのではなかろうか。
なぜ、今回、マスコミなどがこれだけ騒いでいるのかといえば、答は簡単であり、「テレビの視聴率が上がる=民放が儲かる」、あるいは「新聞の読者が増える=新聞社が儲かる」、または「安倍政権に反対する国民が増える=野党である自分たちが選挙に勝って多数派となり、国家権力を握ることができる。権力の蜜を吸うことができる」、それだけのことなのである。
加計学園問題をめぐる騒動には、早々にピリオドを打つべきである。特に、馬鹿騒ぎをしている野党議員に対し、「他にやることがないのか?」といいたい。
本年7月22日の夜のNHKの番組で、「AIに聞いてみた・どうすんのよ日本」という番組があった。司会は、NHKの実力派アナウンサーの一人と目される有働アナと、タレントのマツコ・デラックスであった。
この番組では、人工知能に蓄積された膨大なデータを処理して、いろいろな事象相互間の関連付けなどの結果をあぶりだしていた。例えば、病院の数(正確には病床数)と、その病院がある地域の人々の健康状態についての分析結果が出ていた。それによれば、人口一人当たりの病院の数(ベッド数)が少ないと、地域の人々の健康状況が改善されるという結果が出ていた。
この結果は、世間の常識とは相反する結果である。一般の常識によれば、病院などの医療機関が多く存在すればするほど、地域住民の健康状況が良いと思われがちである。しかし、事実は違うという結果が出た。その理由まで、AIは提示してくれないので、因果関係を考えるのは、司会者とゲストの学者たちの役割となった。
このテーマについて自分でも考えてみたところ、地域に大きな病院が少ない地方では、住民が自分で健康を管理して、そもそも病気にならないように心掛けなければならず、そのために行っている運動や諸活動が、結果として、住民自身の健康の維持にプラスに働いているのではないかと思われる。
ほかにも、いろいろと興味深いデータが示され、あるデータと関連するデータの相関関係についていろいろと頭を使うことを余儀なくされる面白い番組であった。司会者のマツコ・デラックスは、いわば視聴者を代表する形で、有働アナと意見交換をしつつ、番組をうまく進行させていった。さすがプロの芸人だと思った。
ここで、私は思った。「国家の基本政策を決定するに当たっては、客観的で公平なデータを重視して行うべきである」と。現在でも、国は、人口予測やGDPの増減動向などについては大規模な調査を行って、その上で政策を決定している。しかし、今後は、今まで以上に、人口知能を活用して、あるべき方向を模索する必要があるのではなかろうか。例えば、我が国が直面する大問題の一つは、今後ますます進展する少子高齢化の影響から生ずる弊害を、どのようにして最小限にとどめることができるかということであろう。
ここで、諸問題を解決するために活用すべき資源として、次のようなものがある。
第1に、我が国最大の「シンクタンク集団」といいうる霞が関の官僚機構の活用がある。政治家には、これらの官僚機構を活用する能力が求められる。
第2に、上記したAI(人口知能)の活用である。将棋や囲碁の世界でも、一昔前には全く想定できなかった事態が起こっている。最高レベルのプロ棋士がAIに負けるという事態の出現である。AIに委ねることができる分野は、積極的にAIに任せておくべきであり、人間は、AIが示したデータを活用するという分野に集中すべきであろう。
他方、近代国家に出現した民主的議会を構成する議員については、どう考えるべきか。
私は、今後、国会議員の数は半減させるべきであると考える。一体、国会議員は、何のために存在するのであろうか?模範解答は、おそらく、国民主権の建前をとる日本においては、国民を代表する機関が必要であり、その機関である国会を構成する人的要素が国会議員であり、不可欠の存在である、というものであろう。
確かにそうであるが、だからといって、国会議員の数が、現在のような多くの人数である必要はない。AI技術を活用できる現代社会においては、議会でいろいろと議論するよりも、遥かに少ない時間で、あるべき政策の方向性が示される(3人寄れば文殊の知恵という時代ではなくなったのである。)。
よって、少数精鋭を目指すべきであり、衆議院議員として全部で200名程度、また、参議院議員として、地方代表の性格をより全面に打ち出し、各県4名で足りるのではないか(47×4名=188人)。よって、衆参両院合計で、388人程度とすべきである。
国会議員の大半は、自分が選挙に勝って国会議員であり続けることに最大の関心があり、国家国民のことなど、議員の内心(本心)においては、ほとんど考えていないと思われるからである。
国会(又は委員会)で、つまらぬ話題に対し馬鹿笑いをしたり、大臣の答弁に対し汚いヤジを飛ばすことしか能がなかったり、また、夏には海外視察と称して、呉越同舟さながらに与野党議員が仲良く観光旅行をすることを楽しみにしているような無能議員に対し、食い扶持を与えるために用意された議席など、直ちに削減すべきである。
世論調査によれば、安倍内閣の支持率が急落している。原因として、加計学園問題や森友問題における説明の不十分さが国民の不評を呼んでいるようにみえる。
もちろん、内閣支持率は、時の政権の側からみれば、高ければ高い方が良いに決まっている。国民の支持があるということを背景に、いろいろな政策を強力に推進することができるからである。また、内閣支持率が高ければ高いほど、仮に総選挙になっても与党が勝利する可能性が高くなるため、野党による政権攻撃を、余裕をもってかわすことができる。
では、今回、安倍内閣の支持率が低下したことで、何かが変わるであろうか?
何も変わらないと私は予想する。
その理由は簡単な話であり、安倍政権に代わる有力な政治勢力が全く見当たらないためである。野党のうち、第1党である民進党は、現在は、一体何を国政で実現したいのか全く不明の政党へと転落してしまった。一体、個人の人権を尊重するという基本を守る意思があるのか?また、議会制民主主義を守る気があるのかどうか?これらの点が怪しいのである。
なぜ、そのような疑念が生ずるのかといえば、国政選挙レベルで、共産党と選挙協力をするという馬鹿げた選択をしたためである。私の持論によれば、共産党と民主主義とは相容れない。民進党は、そのような政党と手を組んだことによって、今後、余り遠くないうちに、崩壊ないし消滅の途を辿ることがほぼ確実になったと予想する。
野党第2党の共産党であるが、私の政治理念とは全く相反する政党であり、絶対に支持できない。だいたい、世界の国のうち、「共産党」という党名が付いた政党が政権を取っている国のうち、現実に西欧型の自由民主主義を認めている国は一つもない。例えば、共産党が政権をとっている中国において、民主的な公職選挙が行われているだろうか?行われていないのである。全人代(ぜん じん だい)に参加できる代議員を国民が公正な選挙を通じて選出するという話は聞いたことがないのである。
また、私の記憶によれば、いわゆる先進国と呼ばれる国のうち、「共産党」という政党を公的に認めている国は、ほとんどなかったはずである(先進国では、非合法政党としての地位しかないということである。)。
その他の野党について言えば、維新の会を除き、国会議員の数も数えるほどしかなく、「蟻ん子」のような勢力しか持たない(よって、ほとんど無視しても差し支えない政党である。)。
なお、テレビ報道や新聞報道を見ると、安倍首相が都議会議員選挙の応援演説をした際に、「安倍帰れ。帰れ」と大声で叫んだ一部の聴衆に対し、安倍首相が「あんな人たちに負けるわけにはいかないんです」と話したことを非難する論調が多い。
しかし、公職選挙の場において、応援演説をしている弁士に対し、「帰れ。帰れ」などと叫んで選挙の応援演説を妨害する行為は、選挙の自由又は言論の自由を妨害しようとする悪質な行動というべきであり、決して認めるわけにはいかない。このような一部の勢力の行為は悪行であることは、当たり前のことである。
よって、安倍首相が、このような選挙妨害行為を行っている一部の勢力に対し、「あんな人たち」と呼んだことには全く問題はない。安倍首相の発言は、実に正当な発言であり、これを非難する方がおかしい。
なお、誤解のないように一言付け加えると、今回の選挙の前の都議会自民党議員の面々は、自分たちの権勢に、やがて陰りが来るなどとは思いもよらなかった、鼻持ちならない人々であり、私としても、このような低レベルの自民党議員の連中を応援する気は100パーセントなかった(現時点でも、応援する気は全くない。)。「おごる平氏は、久しからず」ということである。
本年6月12日付けの弁護士日記でもお知らせしたが、本年8月2日・3日の2日間の日程で、日本経営協会中部本部主催の農地法セミナーが名古屋市内で開催される。例年、このセミナーに参加されるのは、ほとんどが地方自治体の農業委員会の職員の方々である。
昨年の同セミナーの受講者数は、28名であった。今年の申込者の状況は、本年6月30日現時点で23名であるとの連絡が、担当者からあった。このペースでいけば、8月のセミナー当日までに、30名の大台に乗っている可能性もある。
別に受講者が増えても、講師料が増えるわけではないが、なるべく多くの方々に参加していただければ幸いである。申込み先は、日本経営協会中部本部の竹本氏である(052-957-4172)。
なお、昨日、東京都議会議員選挙があった。自民党は、改選前の半分以下の当選者数となった。まさに歴史的な惨敗を喫した。この結果を意外と感じる人もいるかもしれない。しかし、私は、既に、このような選挙結果になるであろうと、かなり前の時点で予想しており、今回は予想が的中したということになる。
選挙結果の予想の内容は、私の弁護士日記の本年3月21付けのものを見ていただきたい。その時点で、私は、「選挙の結果、自民党の勢力は、現在の議員数と比べて半減することはほぼ間違いないと私は予想する」と明記している。
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