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弁護士日記

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判決で、土地所有権の時効取得が認められた

2012年07月23日

 昨年(2011年)9月、30数年来の友人である佐藤氏(ただし、仮名です。)から、土地境界線確定訴訟及び土地所有権確認訴訟の依頼を受けたが、このたび本年(2012年)6月になって、その事件の判決が岐阜地裁で出た。
 この事件は、佐藤氏とその両親が昔から居住していた岐阜県内の某市にある土地の境界線を巡る紛争であった。当初、一昨年(2010年)の春頃、佐藤氏からこの事件を私に委任したいので、何とか引き受けて欲しいという申出があった。しかし、私は多忙を理由に受任を断った。
 仕方がなく、佐藤氏は、自分で2010年の夏に裁判所に提訴した。いわゆる本人訴訟というものである。隣人を被告として、土地境界確定訴訟と時効取得を原因とする土地所有権確認訴訟を提起したのであった。
 その後、裁判提起からほぼ1年を経過した昨年(2011年)の9月になって、被告本人尋問が行われた。私も佐藤氏の本人訴訟の行方が気になっていたので、たまたま別の事件で岐阜地裁に行った際、佐藤氏の事件を傍聴した。尋問者は原告佐藤氏であった。
 被告本人尋問が終わってから、裁判官の方から「次回で結審します」との宣告があった。私は、その様子を見て、「これは大変だ」と感じた。その時点で佐藤氏の原告本人尋問も行われておらず、このままでは、佐藤氏が現に占有・使用している土地の時効取得が認められる可能性は極めて低いと感じたからである。
 仮にそうなったら、佐藤氏は車の出入りに苦労し、日常生活を送る上で非常な不便を来すことになってしまう。このままでは、私自身も悔いを残すことになると思った。
 そこで、昨年の10月になって、私は佐藤氏の代理人となり、弁論準備手続きを再開してもらった。
 以後、昨年の10月(弁論)、12月(弁論準備手続き)、今年の2月(原告本人尋問)、3月(弁論準備手続き)、4月(弁論・結審)と裁判は継続した。
 この4月までの間、私は、新証拠を次々と提出すると同時に、猛烈な勢いで書面を作成した。訴えの変更を3通、準備書面を5通、裁判所に出した。その他、上申書、証拠説明書などを出した。
 そして、6月29日に判決が下りた。
 判決は私の予想どおりであった。
 まず、筆界特定の結果については、裁判所はこれを境界線であると認定した。つまり、筆界特定の結果が是認されたのである。この点は佐藤氏個人にとっては意外だったようであるが、客観的に見れば仕方がないといえよう。
 次に、佐藤氏が20年以上の長期間にわたって占有していた隣地について取得時効が成立すると判断された。隣地と原告所有地を区分するのは比較的背の低い樹木であった。佐藤氏は、昔、植木市などで購入した苗木を境界線に沿って植えていたのである。判決は、その樹木が並んでいる線を境界線、より正確にいえば「所有権界」と認めてくれたのである。この点は、本件の本丸ともいうべき重要争点であって、勝訴できたのは本当に良かった。
 さらに、隣地に生育しているケヤキの大木について、判決は、原告所有地側に越境している部分については、幹、枝及び葉を切れと命じた。
 判決は既に確定しているので、ようやく原告の権利は守られることになった。とはいっても、長い間継続してきた現状を維持したにとどまる。しかし、佐藤氏が平穏な日々を回復したことは何よりであった。私も心から安堵した次第である。

日時:15:58|この記事のページ

損害賠償請求額に疑問あり

2012年07月05日

 新聞報道等でも明らかとなっている事件のうち、最近私が興味をひかれた事件がある。
 それは、2010年に岐阜市内で解体中の工場の外壁が崩壊し、たまたま付近を通行していた女子高校生に壁が落下してその女子高校生が死亡したという事件である。
 私が注目したのは、被害者が、裁判を通じて加害者側の業者に対して求めた損害賠償額が、損害賠償実務の常識から判断すると相当に高額となっていた点である。
 新聞報道によれば、被害者は、加害者に対し、1億6300万円を請求したとされている。もちろん、被害者が民事裁判において、加害者にいくら請求しようと適法であってその請求額に法的な限界はない。
 しかし、そうはいっても、請求額が増えれば増えるほど、裁判所に納めなくてはならない印紙代が嵩む。例えば、請求額が7800万円の場合、印紙代は25万4000円である。これが1億円となると印紙代は32万円必要となる。本件の場合、1億6300万円を請求しているから、印紙代は50万9000円必要となる。
 また、弁護士費用のうち、着手金は、おおむね請求額に比例して増加する。ただし、着手金についても、法律や弁護士会の規約で金額が定まっているわけではなく、原則として、依頼者と弁護士が合意できれば、その金額が着手金となる。
 したがって、今回、裁判を提起して1億6300万円を請求するに当たり、着手金を50万円と約束しても、100万円と決めても、あるいは300万円と合意しても完全に適法である。
 ただし、その金額が余りにも高額であって民法90条の規定する公序良俗違反となると、それは暴利行為とされ、そのような約束は無効となる。なお、暴利行為となるか否かは最終的には裁判所が判断する。
 さて、今回、裁判所は、損害賠償額としていくらほど認めてくれるであろうか?
 私の査定によれば、合計で7800万円前後の金額になるのではないかと予想する。
 金額の内訳は、逸失利益が約4400万円、慰謝料が(本人分と両親分を合わせて)2900万円~3000万円程度、弁護士費用が約400万円の、合計7700万円~7800万円である(なお、今回の被害者に過失はないと推測されるので、過失相殺は行っていない。)。
 この私の予想が当たるかどうかは、将来出される判決をみないと何ともいえない。しかし、何か特別の事情がない限り、予想できる最高金額は8000万円である。したがって、1億円を超える賠償を命じる判決が出る可能性はほとんどないといってよい。
 そうすると、なぜ、今回、1億6300万円もの高額を請求したのか、疑問が大きいといわざるを得ない。                          

日時:15:15|この記事のページ

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