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弁護士日記

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「農地法講義」がいよいよ発売される

2013年09月20日

本年7月12日付けの弁護士日記でも紹介させていただいたが、本年9月に、私の最新作である「農地法講義」が、大成出版社から発売される(定価2,400円)。私の単独執筆の本としては、11冊目の本である。
 この本は、私が、日本経営協会で農地法の講義をする際に使用することを第一の目的としている。日本経営協会が主催する農地法セミナーについては、前にも述べたことがあるが、5月が博多、6月が大阪、8月が名古屋、そして10月が東京と、毎年4か所で開催される。
 1回当たりの講義時間数は、9時間である。二日間で9時間の講義を、私一人が担当する。したがって、体調管理には日頃から万全の注意を払うようにしている。
このような話を他人にすると、異口同音に「二日間で9時間とは大変ですね。」という答えが返ってくる。確かに、9時間続けて話をするのであるから、疲れることは否定できない。しかも、講師料は、非公表とさせていただくが、お世辞にも高いとは言えない。
 しかし、長年にわたってこのようなセミナーで講師を務めていると、自ずとペース配分の仕方が分かってくる。野球でいえば、9回を自分一人で完投する責任があるのであるから、最初から全力で行くことはできない。9時間にわたって話ができるよう、うまく工夫するようにしている。
 話を元に戻す。農地法講義は、このようなセミナーにおいて、私がテキスト代わりに利用するものである。したがって、何よりも、受講生にとって分かり易く、平易に記載されている必要がある。
 この点は、手前味噌であるが、大いに自信がある。農地法に関する重要論点については万遍なく触れてある。しかも、弁護士の経験を生かして、民法及び行政法についても必要な限度で解説を行っている。農地法の法解釈に興味のある方にはお勧めの本であることは間違いない。
                                  

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名古屋高裁の判決が確定した

2013年09月04日

 本年1月18日付けの弁護士日記でも紹介させていただいた事件の控訴審判決が確定した。この事件とは、大野さん(ただし、仮名である。)という方が、車を運転中に後方から追突されて、肩などを負傷したという事件に関するものであった。
 大野さんは、自賠責保険に対し、被害者請求を行って後遺障害の等級認定を求めたのであるが、自賠責保険は、「非該当」、つまり「後遺障害はない」と判断した。
 これを不服として、大野さんは、名古屋地方裁判所に提訴し、その結果、判決で後遺障害の等級が認定された。併合10級(労働能力喪失率27パーセント)という大野さんにとっては、おおむね満足のいく結果を得た。
 この判決に驚いた損保会社(実質的な被告である。)は、一審判決を不服として名古屋高裁に控訴してきた。名古屋高裁民事2部の裁判は2回あり、3回目の8月7日に判決が出た。結果は、大野さんにとって、相当に不満が残る内容であった。最高裁への上告申立ても検討したが、上告が受理される確率は、1パーセント程度しかなく、現実には無駄となる可能性が圧倒的に高い。そのため、当方は上告受理の申立てを断念した。その結果、8月下旬に至って判決が確定した。
 名古屋高裁民事2部は、一審判決と同様に、大野さんの後遺障害自体は認めてくれた。しかし、労働能力喪失率は、大野さんが67歳に到達するまでの全期間について、平均して10パーセントとされた。当職がみたところ、判決理由には次のような不可解な箇所があった。
 それは、名古屋高裁民事2部判決は、症状固定時には、後遺障害等級表の「10級に該当する程度(ただし、同表の10級と12級の境界値)になったものと認められる。」と判示しておきながら、大野さんの関節可動域制限が当初は12級にも該当しなかったことなどを根拠に、「労働能力の喪失割合は、症状固定の日から被控訴人が67歳になるまでの全期間を通じて10%(後遺障害等級表の12級の労働能力喪失率14%から4%を減じた数値)と認めるのが相当である。」としている点である。
 判決では、大野さんの労働能力喪失割合は10パーセントとされた。では、何のために、わざわざ、症状固定時には「10級に該当する程度」と指摘したのか、理由が分からなくなる。判決が、形式的には、10級と12級の境界値である11級と認められるが、しかし、実質的には、11級つまり20パーセントの労働能力喪失率を認めることはできないとする立場を採用したのであれば、むしろ、「後遺障害等級表の11級の労働能力喪失率20%から10%を減じた数値」とすべきではなかったのか?
 当職は、この判決を書いた3人の裁判官たちは、交通事故訴訟については、余り詳しくないのではないか、という印象を受けた。
 大野さんにとっては、今後、自分が契約している保険会社との間で、人身傷害補償保険の請求の可否などの問題も生じることから、名古屋高裁には、誰が読んでも同じ結論に到達する平易な判決をすることが、今後、望まれる。
 このように、かなりの不満が残る結果となったが、名古屋高裁民事2部が、10パーセントの労働能力喪失率を、大野さんが67歳に至る時点まで認めてくれた点は、不幸中の幸いであった。
 仮に、大野さんが、納得のいかぬまま、自賠責保険の「非該当」という不合理な結果を受け容れて、泣き寝入りしていたとしたら、正義に反するおかしな事態が現実化していたに違いない。その意味で、裁判を起こした甲斐はあったといってよい。
 なお、昨日、大野さんが、わざわざ当事務所まで来られ、深々とお礼を述べて帰られたことを付記する。

日時:13:03|この記事のページ

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