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弁護士日記

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損保と闘う(3)(盗撮行為があった)

2009年03月13日

 私は、比較的多く交通事故裁判の事件を扱っているが、最近、愛知県内の裁判所において損保と和解して解決した事件があった。同様の交通事故の賠償問題で悩んでおられる被害者の方々のために、参考までにあらましを紹介したい。この裁判で争われた事件とは、愛知県内に住む主婦が、自転車に乗って走行中に、向こうから来た車と衝突して左手に怪我をしたという事故であった。主な争点は、主婦の逸失利益の金額であった。その主婦は、自賠責保険によって10級の後遺障害等級認定を受けた。
 損保は、実は、裁判になる前に、弁護士を通じて賠償額の提示をしていた。既払金を除いて、558万円余りを支払う用意があると提示したのである。しかし、被害者である主婦は、その金額が妥当なものか否かについて疑問を持ち、弁護士会などで相談を受けた結果、低額すぎるのではないかというアドバイスを受けた。
 そこで、その主婦からの依頼に基づいて私が裁判を提起したのであった。原告である主婦は、当初、2028万円余りの支払を求めたが、後日、請求を拡張して2144万円余りの損害賠償金の支払を求めた。
 果たして、裁判になった損保は、被害者の逸失利益や休業損害の金額について争ってきた。特にけしからぬ点は、提訴前に自ら損保側の弁護士が提示してきた金額を否定して、より低額の賠償額を主張してきた点であった。
 確かに、弁護士でない損保会社の一担当者が提示した金額を、裁判になってから損保会社が選任した弁護士が否定するということは日常茶飯事のことであって、驚くに足らない。しかし、今回は、示談を担当した弁護士と裁判を担当した弁護士が同一人物であったため、被害者である原告側としては、そのやり方に強い疑問を感じたのであった。
 しかも、損保は、裁判中であるにもかかわらず、密かに、原告を盗撮していた。原告が自転車に乗って走行する姿などの盗撮写真まで証拠として提出してきたのである。これに対し、原告は、盗撮行為に強く反発したことは当然であった。原告側は盗撮行為を糾弾する準備書面を提出してその不当性を訴えた。しかし、損保側の弁護士からは、それに対する内容のある反論が出ないまま、裁判所から和解の勧告が行われるに至った。
 裁判官が示した和解案は、純粋の賠償金額がおおよそ1829万円で、これに確定遅延損害金として46万円余り、また、弁護士費用として90万円及び事故日からの遅延損害金として188万円を加算して合計で2153万円余りの賠償金を原告に支払えという内容であった。
 原告は、その内容を検討した結果、これを受諾することを決めた。その際、原告がその準備書面で損保側の盗撮行為を批判したのに対し、損保側の弁護士が、準備書面において「被告訴訟代理人のこの判断が原告訴訟代理人に不興を与えたのであれば、その点は深謝する。」と反省の弁を述べた点も和解解決を後押しした重要な要素であった。いわば、法律家としての良識が示されたものと理解したのであった。
 このように、示談段階での提示賠償額558万円が、2153万円で解決したのであって、賠償額は、裁判を行ったことによって、約3.9倍に増加した。私としては、今後も被害者の正当な利益を擁護するために微力を尽くしたいと思う。

日時:17:40|この記事のページ

「農地法概説」好評発売中

2009年03月02日

 今回は、拙著「農地法概説」について紹介させていただく。以前にも触れたが、このたび「農地法概説」が本年2月5日に東京の信山社から発売された。農地法概説は、文字どおり、農地法の解説書である。
 この本の内容は、大きく4つの部分から構成されている。第1章は、農地法に関する総論的な問題を取り上げている。具体的には、農地の定義、農業生産法人、農業委員会などの問題点を解説している。この中で、農業生産法人とは、法人の中で、唯一耕作目的で農地の所有権を取得したり、賃借権の設定などを受けることが認められている法人である。農業生産法人の要件は相当に厳格に定められており、普通の一般企業が農業ビジネスに参入することは必ずしも容易ではない。
 そして、法律の内容を補うべき政令や省令あるいは行政解釈は、非常に細かい規制を張り巡らしている。果たしてここまで規制する必要があるのか首をかしげたくなるような解釈も示されている(このように、霞が関の官僚たちが頭の中だけで考えたとしか思えない画一的規制が、全国津々浦々にまで及んでいる状況は、地方分権の観点からは大いに疑問である。)。
 第2章は、農地法3条許可に関する解説である。ここでは、3条許可申請の手続一般のほか、3条許可を巡る民法上の問題点についても、判例をできるだけ多く紹介することによって、問題解決の糸口を見つけることができるよう工夫している。また、農地法3条許可は、いうまでもなく行政処分に当たるから、行政処分を行う際に生ずる諸問題についても頁数を相当に割いて解説を行った。
 第3章は、農地法4条・5条の転用許可についての解説である。農地の「転用」とは、人為的に農地を農地以外のものにする行為を指す。したがって、例えば、洪水、地震などの非人為的要因によって農地が農地以外のものになっても、これは農地法でいう転用には当たらない。農地転用を認めるか否かに当たり、農地法4条・5条は、許可基準を定めている。許可基準には、立地基準と一般基準がある。そのいずれの基準をも満たして初めて転用許可処分を受けることができる。
 第4章は、農地の賃貸借について、簡潔に触れている。農地の賃貸借については、いったん正式に農地法3条許可を受けて賃貸借関係が成立すると、地主の方からの解除が容易ではなく、その点が問題である。そのため、最近では、農地の賃貸借をするに際し、農業経営基盤強化促進法が規定する利用権設定等促進事業という仕組みを通じて賃貸借が行われることが多い。
 農地法については、平成21年3月の国会に改正法案が提出されるとのことである。
 しかし、国民に対し、改正法案の概要は公表されているものの、詳しい内容までは明らかにされていない。農地法は、食糧自給の問題など、国民生活にも大きな影響が及ぶ法律であるだけに、改正法案に関するより詳しい内容の事前開示が求められる。

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