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弁護士日記

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参議院議員選挙について

2010年06月25日

 3年に1度の参議院議員選挙が、昨日(6月24日)公示された。
 改選議席は121である。今度の参議院議員選挙の一番の注目点は、果たして与党が参議院の過半数を維持するか、あるいは過半数割れになるのかということであろう。
 私としては、与党である民主党およびその協力勢力が過半数を維持することが望ましいと考える。その理由は、仮に、過半数割れになれば、衆議院は与党が完全多数を保持しているにもかかわらず、参議院は与野党の勢力が逆転して、国政の運営が困難になるからである。今の日本の政治状況に照らせば、そのような状態が現実化することは好ましくない。日本の景気を良くするためにも、政権が安定することが一番重要である。
 また、消費税については、いろいろと議論があるが、国の莫大な債務が年々積みあがっていることを考え併せると、そろそろ消費税率を高くすることについても議論を避けるわけにはいかないと考える。国民としては、このままの5パーセントの税率で、年金、介護などの社会福祉サービスが今後も受けられると思ってはいけない。行政サービスの費用がかかる以上、その費用は国民が税金という形で負担するほかない。
 ただ、その前に税金の無駄使いを省くことは、最優先課題である。特に、国会議員や地方議員の歳費(手当)は、異常に高すぎる。歳費(手当)も、その地位にふさわしい金額まで減額する必要がある。例えば、名古屋市議会議員は、政務調査費を入れれば、毎年2200万円という、一部上場企業の役員並みの高額の手当をもらって当たり前というおかしな感覚でいる。次に、国会議員も地方議員も定数をまず半減する必要がある。
 参議院議員について言えば、総定数が242人というのは理解できない。どうして、242人も必要なのか。もっと厳選する必要があるのではないか。定数をいきなり半分にするのが困難であるなら、せめて150人程度にまで総定員を減らすべきである。参議院議員は、原則、各都道府県ごとに定数2名とし、人口の多い自治体については、憲法で保障された一票の価値の平等を考慮して、定数を加算する方法が早急に実行されるべきである。
 新聞に掲載されている各政党の候補者の顔ぶれや経歴を見ても、これらの人々が立法府に入って、立法作業を行う資格があるのか疑問を感じる。中には、本当に参議院議員にふさわしい人物もいるとは思うが、多くの人物には疑問符が付くと言って過言でない。失礼な言い方になるかもしれないが、人物、見識、能力、経験から考えて国会議員のレベルに達していないと感じる人物に対し、国政を委ねる気持ちは起こらないのである。まして、高額な歳費を6年間にわたって国が保障することには賛成できない。

日時:17:43|この記事のページ

過払金返還事件の最近の特徴について

2010年06月04日

 最近、よく耳にしたり目にしたりするのが、過払金の返還ができることを宣伝する広告である。広告を出しているのは、弁護士、司法書士および行政書士である。
 昔は、弁護士等が新聞やテレビに広告を出すというようなことは全く考えられなかった。弁護士について言えば、弁護士会の決まりで、弁護士は広告をすること自体が規制されていたために、広告を出すことができなかったのである(違反すると処分を受けた)。
 ところが、最近になって広告に関する規制が大幅に緩和されたために、このような広告が出せるようになったのである。弁護士を含めた民間人における自由競争を是とする者からすれば、このような現象は、大いに結構な事態ということになろう。しかし、何事も行き過ぎは良くない。
 弁護士や医師は、商売人ではなく、その仕事は本来的に公共性を帯びている。金が儲かりさえすればそれで良いという職業では決してない。弁護士や医師は、その専門的知識を活用して、国民の生活がより良いものになるために存在する職業である(そもそも金儲けをするために、資格を取ってなる職業ではない)。
 以上の見地に立って考えた場合、昨今の新聞やテレビによる広告に何か問題点はあるだろうか?過払金返還請求事件に関して言えば、相談者(依頼者)を取り巻く法的状況を十分に考慮した上で、どのような法的処理が採られるべきかをよく考える必要がある。
 例えば、弁護士が、失業のために現在収入がない相談者から相談を受けたとする。相談者の話によれば、「5社から借入をしており、現在の債務が300万円」だったとする。そして、取引履歴を業者から取り寄せて、債務の内容を確認したところ、甲社については過払金50万円が返ってくる見込みがあり、乙社は債務がほぼゼロ円になることが判明し、それ以外の3社については、利息制限法で引き直して計算しても、200万円の債務が残るということになった場合、相談を受けた弁護士はどう判断すべきか?
 最大のポイントは、200万円を今後返済することができるかどうかである。200万円を3年以内の分割払いで支払うことが確実にできれば、分割払いの示談を3社と締結すればよい。しかし、現実問題として、失業中の者が200万円を3年間で弁済できるとは、全然考えられない。このような場合は、相談者の希望も聞いた上で、普通は自己破産を選択することになる(自己破産をすれば、債務は最終的にゼロ円になる。)。なお、自己破産のための弁護士代は、甲社から返還された50万円の中から、十分にまかなうことができる。
 ところが、一番の問題は、新聞やテレビで大量に宣伝をしている弁護士等が、そこまでよく考えた上で、事件処理を丁寧にしてくれるか?という疑問である。ここで、一番やってはいけないのは、甲社だけから50万円を返還させ、弁護士が所定の報酬を貰って、残金を相談者に返金し、また、乙社とは債権債務がない旨の和解を行って決着させ、残りの3社については、何もしない(あるいは示談条件が折り合わないということで、事件処理を終了すること。)である。金儲け主義の事務所に依頼した場合、このような一番やってはいけない処理をされてしまう危険がある(その弁護士は、過払金の報酬を貰って一件落着とする。そして、次の新たな依頼者を獲得することに全力を注ぐ。)。一方、相談者は、結果的に200万円の債務が自分に残ってしまう。しかし、依然として返済困難のために、別の弁護士に相談するはめになる。そうすると、今度は、自己破産の費用(30万円程度)を別の弁護士に支払う必要が出てくる。
 このように過払金返還事件一つとっても、どのような法的処理をするのが相談者にとって一番利益になるかを良く考えることが基本となる。その点、司法書士は、簡易裁判所の訴訟代理権しかないから、過払金の返金請求額が140万円を超える場合は、筋をとおして訴訟で返還を求めることは不可能である(この場合、地方裁判所の裁判となるが、この場合は、本人が原告という立場で法廷に出て、司法書士は傍聴席から小声で本人に指示をすることがあると言われている。これは、違法とまでは言えないが、実に見苦しい光景であることは間違いない。)。また、行政書士は、報酬を得る目的で他人の法律事件の代理人になること自体が禁止されているから、金額の多寡を問わず、過払金返還の代理人となることはできない。もしこれに反した場合は、行政書士は、2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられる(弁護士法77条3号参照)。
 このように考えると、一般の市民としては、新聞やテレビを使った宣伝広告を派手にやっている弁護士等に相談をする際は、上記の点をよく確かめるくらいの慎重さが必要となる。私としては、金儲け主義にもつながりかねない現在の風潮には危惧感を覚える。

日時:16:44|この記事のページ

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