058-338-3474

お問い合わせ電話番号
受付時間:午前10時~午後5時

電話でのお問い合わせ

弁護士日記

弁護士日記

昔、自己破産宣告を受けていても、現在過払金返還は可能

2008年05月10日

 皆さんの友人や知人の中で、今から5、6年以上も前に裁判所で自己破産手続きをした方はおられないであろうか。今から5、6年以上も前においては、現在のように自己破産手続きに伴って過払金の返還をサラ金業者に求めることは余り一般化していなかった。そのため、自己破産手続きの委任を受けた弁護士は、サラ金業者に対し、債務残高証明書を郵送することを求めるにとどまり、それ以上、詳細な取引履歴の開示までは必ずしも求めてこなかった(なお、現在では過払金の発生が見込まれるサラ金業者に対しては必ず全部の取引履歴を開示するように求めている。これは破産裁判所の指導方針が変化したためである。もちろん最近の最高裁が借手保護の立場を鮮明にした判決を多く打ち出したことによって、過払金返還請求が5、6年前とは比べ物にならないくらい簡単になったことも大きい。)。
 問題は、今から5、6年以上も前に自己破産宣告を受けた方々が、現時点で過払金返還請求をすることができるか否かである。5、6年以上も前に自己破産手続きをとった際に、表面上は債権者とされたサラ金業者であっても、仮に当時、全部の取引履歴を開示させておれば、実は債権者ではなく、逆に過払金返還債務を負う立場に陥っていたサラ金業者も少なくない(ただし、全取引期間が数年間にとどまる方は、過払金が発生することは通常あり得ない。少なくとも7年から8年以上継続して取引きしていたことが必要である。なお、過去に債務を完済した方は、ほぼ確実に過払金が発生する。)。
 現に、私の事務所では、今から4、5年も前に自己破産宣告を受けられた方々からの依頼に基づき、当時債権者名簿に掲載されたサラ金業者に対し、全取引履歴を開示するように求めて交渉を行っている。つい最近も、元自己破産者であったAさんの依頼を受けて、サラ金大手の某社と交渉した結果、本年6月下旬には520万円が返還されるとの示談が成立した。
 ただし、消滅時効について気を付ける必要がある。民法167条によって、債権は10年間行使しないと時効で消滅してしまう。仮に過払金返還請求権があっても、発生時から10年経過すると返還請求は認められなくなる。ここで、発生時とはいつか?という問題がある、細かく考えると相当難しい議論になるが、ここでは話を単純化して説明しておきたい。「最後の取引があった日」を発生時と考え、その時点から、10年以内に請求しなければならないという風に覚えておけばよい。
 もし、皆さんの中でこの問題について相談したいとのご希望があれば、是非法律相談を受けられるようお勧めする。

日時:15:00|この記事のページ

損保と闘う(1)

2008年05月01日

 普通の国民が、裁判所で訴訟当事者となる可能性は、一生のうちせいぜい1回か2回止まりではないだろうか。それどころか、自分が訴訟に巻き込まれることなど考えられないと思っている人も少なくないであろう。しかし、例外がある。それは「交通事故」である。日常生活において車を一切使用しないという人は現実にはほとんどいないであろう。仮にいたとしても、その人が歩行中やタクシーに乗車中に交通事故に巻き込まれて被害者の立場に置かれる可能性は残る。
 人身事故の被害者になった場合、第1の関心事は、加害者が任意保険(自動車保険)に入っていたか否かである。加害者が自動車保険(対人賠償保険)に入っていれば、ほとんどの場合、その保険で損害賠償金を支払ってもらうことによって、被害者は一定の保障を得ることができる。その際、大半の被害者は、損保会社の担当者と自分で示談交渉をして事件を解決している。事故を起こした加害者は、保険の中で示談代行という仕組みがあるため、原則的に自分で直接被害者と顔を合わせることもなければ、煩わしい示談交渉をすることもない。事故を起こした張本人でありながら、実際には損保会社の担当者が自分に代わって全部やってくれるため、当事者意識は希薄である。
 場合によっては、示談交渉がこじれて訴訟になることもある。その場合、被害者は、自分で適当な弁護士を探してその弁護士に訴訟手続きをしてもらうことになる。その場合、弁護士は、まず事故被害者から詳しく事情を聴く。事故態様から始まって、被害者の入通院状況、被害者に後遺障害が残っているか否かの確認、またこれがあれば障害等級が何級に該当するかの検討、被害者の事故当時の職業、現在の生活状況など裁判に必要と思われるあらゆる情報を収集する。そして、訴訟の準備にとりかかり、準備が完了次第、提訴に至る。事件によって準備期間は異なるが、私の場合は、最短で3か月程度、調査に手間暇がかかると6か月程度を要することもある。
 他方、事故加害者は、損保会社が指定した弁護士をそのまま代理人として選任するのが普通である。損保会社の代理人弁護士は、事故加害者から直接事情を聴くことはほとんどない。主に当該事故を担当した損保会社の人間から事件の内容を聴き取り、また訴訟関係資料を受け取る。したがって、事故加害者は、ほとんど出る幕はなく、やはり当事者意識は希薄と見て間違いない。弁護士費用は負担しないし、また、判決が出ても、現実に損害賠償金を支払うのは損保会社であるから、当然のことながら、訴訟の行方には余り関心がない。こういう状況下で交通事故裁判が進行するわけであるが、実際には法廷内外でどのようなことが行われるのか。次回以降、詳しく述べたい。

日時:13:10|この記事のページ

カテゴリー

月別バックナンバー

最近のエントリー


ページの先頭へ

Copyright (c) 宮﨑直己法律事務所.All Rights Reserved.