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弁護士日記

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賠償金額が、一五倍以上になった

2008年12月17日

 今年の12 月に入って、名古屋地裁に提訴した交通事故裁判の判決が出た。その交通事故とは、平成16年の秋に発生したものであったが、被害者の遠藤良子(ただし、仮名)さんは、頭部に大怪我を負って、高次脳機能障害と判断されたのであった。その後、遠藤さんは、脳機能回復のための治療を受けたが、余り改善はみられず、翌平成17年の秋に症状が固定し、自賠責保険によって併合4級の認定を受けた。
 同じ年の年末に、加害者側の損保会社の担当者から、「免責証書」が被害者の遠藤さんあてに郵送されてきた。当時、遠藤さんは、家族の人の助力を受けて生活していたが、
免責証書の法律的効力について正確に理解していなかった(理解できていなかった)。上記担当者からの「お金を振込みます」という言葉を単純に受け取り、単に、賠償金が振り込まれるだけのこと、という程度の理解しかなかった。そこで、署名捺印して損保会社に返送した。
 その後、平成18年の春になって、損保会社の担当者から遠藤さんあてに、「損害賠償額計算書」が郵送されてきた。それによれば、後遺障害分を含めて最終支払額として、200万円余りの金額が提示されていた。この金額に疑問をもった遠藤さんの家族は、第三者に参考意見を求めたところ、金額が低すぎるという回答を得た。
 結局、遠藤さんは、弁護士である私に訴訟を依頼され、1年半余りの裁判を経て、冒頭で述べた判決が出たのであった。
 判決主文の金額は、3082万円余りの支払を被告に命じるものであった。提訴前に損保会社の担当者が提示した金額が200万円余りであったから、実に15倍以上の金額となった。この判決は、将来の見守り介護費を認めた点が、注目すべき点である。高次脳機能障害の被害を受けられた方々の中には、一見すると、普通の方々とそんなに変わらないように見えることがある。
 しかし、実際には、記憶力や判断力などに大きなダメージがあるため、一定のレベル以上の障害を負っている場合は、少なくとも家族等による見守り介護が必要となる。ところが、従来、その点が余り重視されなかったきらいがある。今後は、今よりも積極的に将来介護費を認めていくべきであると考える。
 今回の判決について、加害者側は、とうてい承服し難いとして、名古屋高裁に控訴してくる可能性がきわめて高い。しかし、被害者側の代理人としては、あくまで被害者の正当な権利利益を守るだけである。私としては、今後もしっかりと訴訟活動を行う方針に、いささかの変更もない。

日時:22:41|この記事のページ

賠償金額が、二倍以上になった

2008年12月02日

 本年11月21日に、ある交通事故裁判の判決が名古屋地裁で出た。その交通事故とは、愛知県内のある街で、バイクに乗って道路を走行していた大山美智子さん(ただし、仮名)が、後ろから接近してきた自動車に追突されたという事故であった。大山さんは、バイクごと道路に転倒し、そのため、右肩等に怪我をした。その後、大山さんは、右肩の怪我を治療するために、愛知県内の病院で手術を受け、リハビリも続けたのであるが、右肩の状態が、元通りの状態に戻ることはなく、関節の可動域制限が残ってしまった。
 その後、大山さんは、損保会社の担当者と示談交渉をしたが、自分に過失がない交通事故であるにもかかわらず、担当者の対応は冷たいものであった。そこで、弁護士に相談した結果、裁判で加害者の責任を明らかにすることになった。
 交通事故裁判において、損保会社の弁護士は、病院の医師が測定した関節可動域の数値に疑問があるとして争ってきた。しかし、証拠として出された診断書の数値に、特に疑問とする点は見当たらなかった。すると、今度は、大山さんの尋問の際に、担当医師が測定した数値が正しいものだったかどうかという点について、しつこく質問してきた。
 原告代理人である私も、最初は、黙って損保会社の弁護士の尋問を聞いていたが、余りにも尋問の内容がひどいので、ついに、大きな声で、「異議あり。関節可動域を測定するのは、原告ではなく、医師です。したがって、可動域の数値に疑問があるのであれば、その医師を尋問すべきです。」と述べた。
 法廷で黙ってやりとりを聞いていた裁判官も、私の異議を正当なものと認め、損保会社の弁護士の不適切な尋問は終わった。そして、裁判官の口から、「では、結審して、次回に判決を言い渡します。」という決定が出た。その結果、損保会社が提示した賠償金額の、おおよそ2.4倍に当たる2249万円の賠償金支払を命じる判決が出た。
 本件に限らず、損保会社の弁護士の中には、社会的常識をやや欠いていると思われる人物が少なからず存在する。これらの弁護士は、もっぱら損保会社の経済的利益だけを実現するために行動する「産業用ロボット」のような存在であると、私の目には写る。
 ここで、私は、「損保会社の弁護士」という表現を使ったが、法律的には、交通事故の加害者自身が委任した弁護士である。しかし、交通事故裁判の場合、加害者自身は、自分で賠償金を支払うことはないため、裁判の動向にはほとんど関心がない。そのため、これらの弁護士は、損保会社の意向に忠実に行動しているという現実がある。
 私は、損保会社の弁護士が行う不適切な活動を監視し、適切に主張・反論することによって、被害者の正当な利益を守ることができるよう行動したいと考える。

日時:16:53|この記事のページ

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