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弁護士日記

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橋下徹著「最後に思わずYESと言わせる最強の交渉術」を読んで

2008年03月13日

 この本は、今年の大阪府知事選挙で当選した橋下徹弁護士が2003年に書いた本である。橋下氏と言えば、いろいろなテレビ番組に出演して、舌鋒鋭く自分の意見を吐く姿勢が印象的であった。この本は、橋下氏が、相手方と示談交渉する際の技術(及び心構え)を語ったものである。いわば、橋下氏の手の内を明かしたものと言えよう。この本を読むと、橋下氏のディベート能力は、弁護士時代の厳しい示談交渉経験が基になって培われたものであることがよく分かる。
 橋下氏は、この本の中で、交渉において相手を説得する手段として、3つの方法があると言う。相手に対する「合法的脅し、利益供与、お願い」の3つである。そのうち、利益供与には2種類あり、一つは文字通りの利益であり、もう一つは「実際には存在しない利益」のことであると説く。後者は、目の前に存在する紛争を解決しないことによって将来生じ得る不利益を示談によって回避することから生まれる「実在しない利益」であると指摘する。
 一例として、示談交渉が決裂することによって将来裁判が始まれば、時間的・経済的・精神的負担が相手に生じ、今ここで示談解決した場合よりも悪い結果を招いてしまうと相手に思わせ、現在進行中の示談交渉を自分に有利にまとめるという方法がある。
 この本は、示談交渉をいかに有利にまとめるか、というポリシーで一貫している。必ずしも正当な手法にとどまらず、詭弁や責任逃れのテクニックなどもあえて披露されている。その意味で、学者が書いた品行方正な書物などとは違う。また、示談交渉が決裂したら裁判に持ち込んで解決すればよいという考え方はそもそも想定されていない。
 その上で、世の中の紛争を見た場合、例えば、国家と国家の紛争は外交交渉によって解決せざるを得ない。国際司法裁判所という制度もあるが、この裁判は、あくまで紛争当事国が国際司法裁判所での判決に従うと合意しないと手続が始まらないことになっている。なぜなら、各国家には、それぞれ国家主権があるからである。したがって、外交問題については、まさに交渉力がモノを言う世界であると言っても過言でない。
 ところが、外交問題については、今までの日本は余りにも無策すぎた。日本流の「問題先送り(曖昧決着)外交」とか「とにかく謝罪する外交」という無難な方法をとることによって、他国に間違ったメッセージを伝え、結果として国益を害してきた。特に、日本近隣の国家は、一筋縄ではいかない国家ばかりである。私としては、我が国の外務大臣は、橋下氏のような「悪役の要素」も兼ね具えたタフな人物であって欲しいと考える。戦争以外のあらゆる技術を駆使して日本の国益を守ってもらいたいと考えている。

日時:16:41|この記事のページ

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