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弁護士日記

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世界の厄介者「中国」とどう向き合うか

2013年11月26日

 中国は、本年11月23日に、中国版の防空識別圏を設定したことを国外に発表した。防空識別圏とは、余り聞きなれない用語であるが、新聞報道等をみる限り、国の領空の外側に設定された空域であり、他国からの領空侵犯を未然に防止することが主たる目的とされているようである。領空は、領海の上部を意味するから、例えば、領海が12海里とされている場合、1海里は1,852メートルであるから、12海里は22キロ余りの距離となる。我が国の領空は、多くの外国と同様、水平距離で22キロ余りであるが、航空機が接近した場合に、その空域を通過するには、戦闘機であれば1分もかからない。領空外から、1分以内に我が国の領空・領土に侵入できてしまうのである。
 それでは、国防上の観点から極めて危険であるため、領空の外側に防空識別圏を設定し、その空域に入って来ようとする外国機を発見したときは、自衛隊機がスクランブルをかけて迎撃し、警戒態勢に入るのである。しかし、一口に飛行機といっても、武器を搭載しない航空会社の民間旅客機も含まれることから、飛行計画を事前に相手国の航空当局に提出することで、旅客機の円滑な運行を維持し、また、無用のトラブルの発生を防止することが図られている。
 今回、中国が、防空識別圏を設定したことによって、我が国の空港を発着する日本航空や全日空も、さっそく中国政府の航空当局に飛行計画を提出する動きをみせている。
今回の最大の問題は、中国の防空識別圏が、歴史的にも法律的にも我が国の固有の領土である尖閣諸島の上もカバーしている点にある。
 尖閣諸島は、我が国の固有の領土であることから、そもそも尖閣諸島の上空に、何らの領有権を有しない中国が、防空識別圏を設定することは許されないのである。分かり易い例をあげれば、仮に我が国が、中国の首都である北京の上空まで、我が国の防空識別圏を延長したとしたら、おそらく中国は、我が国に対し国交断絶を宣告し、宣戦布告をしてくるであろう。中国としては、北京は中国の領土であるから、その領土の真上の領空を侵犯する形で防空識別圏を設定することなど認められないと考えるからである。
 しかし、よく考えると、事の本質は、今回の中国の行動の場合と全く変わらない。尖閣諸島は、我が国の領空であるから、当然、領空侵犯は許されない。ところが、中国は、その尖閣諸島も中国の領土であるという完全に間違った主張に基づき、上空に防空識別圏を設定して、一体何が悪いのかという態度をとっているのである。
 そうすると、まさに「鉾と盾」の関係となる。矛盾が生じるのである。双方の立場が相容れるということは、100パーセントあり得ない。仮に、中国機が、我が国の防空識別圏に侵入してきた場合、自衛隊機はこれを警戒し、中国機が尖閣諸島の周囲22キロメートル余りの領空に侵入しないよう中国機に対して警告を発する。ここで、中国機が、自主的に飛行ルートを変更し、我が国の領空から遠ざかってゆけば良いが、仮に、尖閣諸島の真上にまで侵入しようとする姿勢を維持し続けた場合はどうなるか?
 自衛隊機が、中国機に対しいくら警告を発しても、全く中国機がこれに応じようとしない場合に、どういう事態が起こるだろうか?中国の言い分は、自分の領土の上空を飛行して何か文句があるか、という姿勢であるから、警告に素直に応じることはないはずである。
 このような事態が発生した場合には、自衛隊機から発せられた空対空ミサイルが中国機に命中して中国機は破壊され、撃墜されることになる。そこで、中国は、「待ってました」とばかり、我が国に宣戦布告を行い、沖縄列島を中心として戦争が始まるということである。中国の狙いは、戦争を行って沖縄諸島を占領し、講和条約の結果、沖縄諸島を全部中国領に組み入れさせるということである。
 中国は、その昔から三国志などで有名なとおり、権謀術数に長けた国である。我が国のようなお人よしの国柄ではない(騙される方が悪いという国柄である。)。このような事態が生じたときに、一体、我が国の左翼政党の政治家はどう対処するのであろうか?まさか、ミサイルを発射した自衛隊に対し、「なぜ話合いで解決できなかったのか?」と非難を浴びせるつもりなのであろうか?馬鹿馬鹿しい限りである。
 我が国の平和は、日本国憲法で守られているのではない。一定の防衛力と米国との軍事同盟があるから守られているのである。世界史的な観点からみれば、ごく当たり前の常識が、左翼政党の連中やいわゆる文化人には分かっていないのである。
 以上、日本は、近い将来に、中国から仕掛けられた戦争を戦うことになる可能性がかなり高いと、私は予想する。もちろん、私としても、そのような予想は当たって欲しくない。しかし、自然災害と同様、人災は、こちらが望まなくてもやって来るのである。
 なお、中国との間で戦争が始まった場合、中国に在住する日本人は、観光旅行客を含め、中国から自由に出国できなくなるおそれがある。国家の体制として、中国共産党は、中国の司法権よりも上に位置するとされている以上、中国共産党が、国外に出ることを禁止すれば、日本人は直ちに出られなくなる。一種の人質とするわけである。中国に行きたい日本人は、そのことにも十分留意して、覚悟して中国に渡る必要があろう。以上

日時:16:37|この記事のページ

佐藤優著「人に強くなる極意」(青春新書)を読んで

2013年11月11日

 今回取り上げる本は、佐藤優著「人に強くなる極意」である。著者の佐藤優氏は、あらためて紹介するまでもないが、かつて外務省で情報分析官として活躍したが、鈴木宗男事件にからんで検察に逮捕され有罪が確定した人物である。鈴木宗男事件が勃発した当時、マスコミに流れるニュースは、鈴木宗男という人物はとんでもない輩であるという内容のものばかりであった。私も当時は、「こんな悪い奴は重罰に科するべきである」と信じていた。佐藤優氏についても、公務員としてあるまじき所業を行った悪い奴と思い込んでいた。
 ところが、その後いろいろな事実が出てきて、また、佐藤優氏の著作をいろいろと読んだ結果、「この事件は、一体何を狙って捜査がされたのか?」「検察の真の狙いは何だったのか?」という疑問が生じた。私は、この事件は、外務省の省益(またその背後に存在する巨大な権力)に反する行動を取った政治家とその同調者をつぶすことに真の目的があったのではないか、と感じている。つまり、ロシアと我が国の外交関係が好転することによって不利益を受ける者の意向が働いたのではないか?
 この本の著者である佐藤優氏は、かつて外務省において対ロシアの情報分析を長年にわたって担当していただけあって、非常に読みが深い。物事の本質を見抜く力が抜きんでている。例えば、TPPについて、佐藤優氏は、アメリカを中心としたブロック経済の復活であると喝破している。TPPといえば、普通は、自由貿易主義を守るためのものという捉え方が多い。これに反し、佐藤優氏は、中国の台頭を抑えるために日米軍事同盟、米豪軍事同盟及び米ニュージーランド軍事同盟をベースにした経済軍事同盟であると分析している(70頁・200頁参照)。したがって、我が国が、TPPから外れることはあり得ないと結論付ける。
 私個人としては、TPPについては、望むと望まぬにかかわらず、我が国が参加することは不可避であると考えている。我が国の安全保障は、我が国単独での防衛力だけで我が国の安全を守ることは極めて困難であると考えられる以上、他国との軍事同盟によって防衛力を補強する必要性がある。しかし、TPP抜きの軍事同盟では、将来的に瓦解する可能性すらある。
 その場合、同盟を結ぶ相手は、アメリカ以外にはない。太平洋戦争末期に、我が国に原子爆弾を落として、ホロコースト(大量虐殺)を実行した、極めてけしからぬ国ではあるが、アメリカ以外の選択肢はないのである。我が国の周辺国を見渡しても、歴史を歪曲して我が国に対し恨みや言いがかりを連発し続ける韓国、金王朝による凶暴な独裁国家である北朝鮮、共産党の独裁政権が続き民衆の不満が積もりに積もっている中国、又は、我が国の北方領土を長年にわたって不法占拠しているロシアのいずれも同盟国足り得ないことは、いうまでもない事実である。
 話がややそれたが、この本には「外務省は侮り人間の巣窟」という箇所がある。私も外務省に対しては、以前からこれに近い印象を受けていた。外務省は、日本の国益を守ることに熱心な役所ではなく、省益を擁護することと保身の塊ともいえる役所である。外務省が、本当に我が国の国益を最優先する政策を継続していたら、韓国が、我が国固有の領土である竹島を不法占拠するような事態を回避する方法を発見していたはずである。また、日米安全保障条約における地位協定上の不平等性についても、より改善ができていたはずである。さらに、尖閣諸島の問題についても、中国に自分勝手な嘘を言わせないような状況を作ることができていたはずである。
 この本は、平易に書かれているので読みやすい。一読をお勧めする次第である。
                         

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