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弁護士日記

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損害賠償請求額に疑問あり

2012年07月05日

 新聞報道等でも明らかとなっている事件のうち、最近私が興味をひかれた事件がある。
 それは、2010年に岐阜市内で解体中の工場の外壁が崩壊し、たまたま付近を通行していた女子高校生に壁が落下してその女子高校生が死亡したという事件である。
 私が注目したのは、被害者が、裁判を通じて加害者側の業者に対して求めた損害賠償額が、損害賠償実務の常識から判断すると相当に高額となっていた点である。
 新聞報道によれば、被害者は、加害者に対し、1億6300万円を請求したとされている。もちろん、被害者が民事裁判において、加害者にいくら請求しようと適法であってその請求額に法的な限界はない。
 しかし、そうはいっても、請求額が増えれば増えるほど、裁判所に納めなくてはならない印紙代が嵩む。例えば、請求額が7800万円の場合、印紙代は25万4000円である。これが1億円となると印紙代は32万円必要となる。本件の場合、1億6300万円を請求しているから、印紙代は50万9000円必要となる。
 また、弁護士費用のうち、着手金は、おおむね請求額に比例して増加する。ただし、着手金についても、法律や弁護士会の規約で金額が定まっているわけではなく、原則として、依頼者と弁護士が合意できれば、その金額が着手金となる。
 したがって、今回、裁判を提起して1億6300万円を請求するに当たり、着手金を50万円と約束しても、100万円と決めても、あるいは300万円と合意しても完全に適法である。
 ただし、その金額が余りにも高額であって民法90条の規定する公序良俗違反となると、それは暴利行為とされ、そのような約束は無効となる。なお、暴利行為となるか否かは最終的には裁判所が判断する。
 さて、今回、裁判所は、損害賠償額としていくらほど認めてくれるであろうか?
 私の査定によれば、合計で7800万円前後の金額になるのではないかと予想する。
 金額の内訳は、逸失利益が約4400万円、慰謝料が(本人分と両親分を合わせて)2900万円~3000万円程度、弁護士費用が約400万円の、合計7700万円~7800万円である(なお、今回の被害者に過失はないと推測されるので、過失相殺は行っていない。)。
 この私の予想が当たるかどうかは、将来出される判決をみないと何ともいえない。しかし、何か特別の事情がない限り、予想できる最高金額は8000万円である。したがって、1億円を超える賠償を命じる判決が出る可能性はほとんどないといってよい。
 そうすると、なぜ、今回、1億6300万円もの高額を請求したのか、疑問が大きいといわざるを得ない。                          

日時:15:15|この記事のページ

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