中国による我が国領海への侵犯行為に対し、我が国は、中国人船長を逮捕し、取調べを行ってきた。このような法律に則った適法な行為に対し、中国政府は、不当で執拗な抗議を繰り返し、ついには、中国政府の温家宝までが、船長の即時無条件釈放を求めて、対抗措置をとると言及した。そして、昨日(9月23日)までの動きによれば、我が国のハイテク産業に不可欠なレアアースを禁輸するという措置に出た。
私の考え方によれば、尖閣諸島は我が国固有の領土であり、この点をめぐる紛争は存在しない。したがって、日本の領海を侵犯した犯罪者に対しては、日本の刑法・刑事訴訟法を適用して、事件を適正に処理すれば足りた。
ところが、毎日新聞によれば、那覇地検は、船長を釈放するという決定をしたという。その理由は、新聞報道によれば「我が国国民への影響や、今後の日中関係を考慮した」という話である。しかし、何という無定見であろうか。まさに日本の国益を損ねる愚かな行為をしてしまった。法的な決定権は、処分権限を持つ那覇地検にあることは間違いないが、これほどの大きな政治問題となっている今回の事件を、那覇地検が単独で決定したとは到底考えられない。おそらく、日本政府の高官が協議をして、その結論を法務省に示し、法務省から、最高検察庁、福岡高等検察庁、そして末端の那覇地検という順序で方針が伝達され、現実化されたものであろう。
違法行為を行った船長を釈放するということは、まさに中国政府による不当きわまる圧力に我が国が屈したということである。このような間違った先例を作ってしまったことは、今後の我が国の国益を非常に損ねるものである。なぜなら、今後、尖閣諸島問題以外の中国と日本の利害が鋭く対立する問題が生じるたびに、中国政府は、同じよう圧力をかけてくることはほぼ間違いないからである。
ちょうど、脅しをかけてきた暴力団に対し、金を払って、その動きを止めるというやり方と同じである。暴力団は、金を出す相手には、とことん食いついてくる。日本政府は、将来、もっと大きな代償を支払わされることになるのではないかと心配である。
本来であれば、我が国は、中国との国交断絶まで視野に入れて、刑事裁判を我が国の法律に従って厳正に実施すべきであった。そこまでやる覚悟を日本が示せば、中国政府としても、無体な要求を日本に付きつけることは無駄であることが分かり、もう少し常識的な態度をとる方向に変わったであろう。
私は、表面的な日中平和など不要と考えている。日本は、自国の国益を第1に掲げ、相手国とは徹底的に議論して、日本は外国の不当な要求には決して屈しない国であることを、中国に教えてやる必要がある。前回も述べたが、中国という世界の常識が通用しないおかしな国と今後も対等に付き合ってゆくには、まず強力な防衛力が是非とも必要である。強力な防衛力を構築するには、最新の備装品をまかなうのに十分な経済力が必要である。経済力を高めるには、財政を立て直し、国の借金を減らす必要がある。国の借金を減らすには、無駄な予算や無駄な国会議員・地方議員を減らす必要がある。国会議員も地方議員も、定数が余りにも多すぎる。国会議員や地方議員には、全く政策の勉強もせず、国会や地方議会での採決マシーンになりきっている無用の人間(陣笠議員)が多すぎる。したがって、人数は、現在の半分で十分である。特に、地方議員は、自分たちが、汗をかいて行政を執行し、または頭をひねって条例を策定することはほとんどなく、首長が出した予算・施策・条例の内容を点検するのが大半の仕事なのであるから、定数は半分でも十分なのである。具体的には、定員の上限を定めた地方自治法を改正し、上限人数を大幅に減らすべきである。
話が完全に横にそれたが、今回の那覇地検(大元は日本政府)のとった措置は極めて疑問である。このようなおかしな処分を決めた一因は、もしかすると、大阪地検の検事の起こしたフロッピー書換え事件にあるのかもしれない。信用の落ちた検察庁の人気を回復させるために、中国人船長を釈放すれば、国民に恩を売ることができ、検察庁に対する風当たりが少しは弱まると読んだのかもしれない。しかし、今回の措置は愚策というほかない。完全な間違いである。
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