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弁護士日記

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自賠責保険後遺障害等級が、12級5号から併合9級に重く変更された

2014年09月19日

 交通事故の被害者の田中さん(仮名です。)は、平成24年4月にバイクに乗っていて事故に遭い、当事務所に相談に来られた。事情をお聞きしたところ、訴訟を提起して判決で解決した方がよいと感じた。しかし、ご本人は、訴訟ではなく示談で解決したいというご希望だった。そこで、私は、昨年12月に日弁連交通事故相談センター愛知県支部に示談あっ旋を申し立てた。ところが、本年1月に出されたあっ旋案が、非常に首をかしげる内容であったため、いったんは取下げ、再度、本年3月に同じく申立てをした。
 その結果、本年4月に示談あっ旋担当者から、あっ旋案が提示された。このあっ旋案は、近時の判例・実務に照らして相当なものと思われたので、田中さん側としては、これを受け入れるつもりでいた。
 ところが、本年4月24日になって、弁護士会の担当者から、「損保会社の担当者の方から連絡があり、今回のあっ旋案を拒否するという連絡がありました。」とのことだった。私は、せっかく示談あっ旋という場で、経験豊富な担当弁護士からあっ旋案が出されたのに、損保会社(担当者)がこれを拒否するとは、一体どういう了見か?と感じた。なぜなら、示談あっ旋担当弁護士が示した金額は、おおむね訴訟になった場合に、裁判所が示す金額に近いといえるからである。損保会社の担当者は、そういう初歩的なことも余り分かっていなかったようである。そして、示談あっ旋は、不調という結果で終わった。
 残された紛争解決方法は、最初から私が想定していた訴訟となった。私は、過去に訴訟を提起した事件については、いずれの事件であっても、徹底的に内容を調査し、かつ、徹底した主張を記載した書面を裁判所に提出することにしている(プロボクシングに例えれば、手数が非常に多い選手に相当する。)。
 今回、田中さんについて自賠責保険が認定した後遺障害等級には、もともと疑義があった。疑義があったが、示談あっ旋ではそのことはあえて主張せず、その代わり早期解決を求めたわけである。しかし、訴訟を提起すると決めた以上、後遺障害等級についての疑義を解決しておく必要がある。そこで、自賠責保険に対し、本年6月に異議を申し立てた。
 その結果が最近出た。新たに後遺障害が認められ、従来は12級5号だったのが、併合9級に重く変更された。併合9級の結果が出た以上、訴訟においては、これを基礎として損害賠償の請求を行う。今後、賠償額がいくらになるかは、判決をみるまでは正確なことはいえないが、その金額は、おそらく、上記、日弁連交通事故相談センターで示談あっ旋担当弁護士から示された金額の2倍程度になるのではないか、と予想する。
 今思うと、損保会社の担当者は、実にまずい選択をしたものである。反面、田中さんにとっては、損保会社の担当者が、あっ旋案を拒否してくれたおかげで、賠償金のいっそうの増額が見込めることになったのである。

日時:13:03|この記事のページ

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