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弁護士日記

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凶悪犯には厳罰が必要だ

2025年08月27日

 各種報道によれば、本年8月20日の夜、谷本将志(35歳)が、神戸市内のマンションに帰宅した女性(24歳)をナイフで刺し殺した容疑で逮捕された。実に卑劣な行為であり絶対に許されない。本日までに明らかになっている数々の客観的証拠(防犯カメラ映像や本人の警察での自供を含む)を見る限り、谷本が殺人行為を実行したことはほぼ疑いないと考えられる。
 なぜこのような危険な輩が大手を振って生活することができたのか?報道によれば、谷本は、3年前にも今回の事件と同じような犯罪を犯しており、逮捕されて刑事裁判にも処せられている。驚いたことに、3年前の事件の公判を担当した裁判官は、何と執行猶予を付けていた。ところが、その裁判官は、谷本には再犯が強く危惧されると認めつつ、他方で、谷本に有利な事情として、➀被害女性が重傷に至らなかったこと、➁谷本が犯行を認めて反省の態度を示していること、➂関係者が再犯防止に努めると述べていること、の3点をあげて執行猶予を付けてしまったという。何たる失態か。それこそ今時反省しても遅い。
 上記の3点は、普通の刑事裁判においても、普通の弁護人が特に強調する事情であり、定石を踏んだ弁護活動の結果、裁判官が重大な判断ミスに陥って、うっかりと執行猶予を付けてしまったものと考えられる。上記のとおり、当の裁判官も、谷本について再犯を危惧していたのであるから、より慎重に判断をする職務上の義務があった。
 大体、➀の事情は、たまたま被害の程度が軽かったというだけのことであり、ひょっとしたら被害者は重傷を負っていたかもしれない。偶然の事情にすぎない。したがって、この事情を重視することは間違いである。➁の事情は、谷本が反省をしているという話であるが、演技であれば誰にでもできる。法廷における被告人の態度または言葉は全くあてにならない。本当のところは誰にも分らないのである。➂の事情であるが、多くの場合、関係者が真剣に再犯防止の有効な対策をとることなど全く期待できない。単なる「空手形」であることが多い。常識で考えても、犯罪者をコントロールするには、相当の経験と専門知識が必要なはずであり、一般の市民が犯罪者を統制することなどできるはずがない。
 以上のことから、3年前の刑事裁判を担当した裁判官は、自らの落ち度によって全く落ち度のない人を一人死なせてしまった。尊い命が、間違った裁判が行われたことが間接的原因となって奪われてしまったのである。よって、3年前に愚かな判決を言い渡した裁判官は、仮に良心があるのであれば、早期に裁判官の職を辞職し、後は、他の職業に就いて余生を過ごした方が良いのではなかろうか。
 被害者の人権を第一に考える私としては、二度と同じような事件が起きないよう、犯罪性向が顕著な輩に対しては積極的に厳罰を下し、特に他人を殺害したような凶悪犯罪者に対しては、二度と犯行を重ねないようにするため可能な限り死刑を選択し、あの世に送ってやるのが相当と確信する。弁護士の中には、死刑の廃止を叫ぶ者もいるようであるが、全く理解できない。死刑制度は堅持する必要がある。

日時:21:54|この記事のページ

伊東市の田久保市長は即時辞職すべきだ

2025年08月02日

 本日(2025年8月2日)の産経新聞の「産経抄」を読んだところ、2人の政治家の居座りについて取り上げていた。一人は、言うまでもなく石破茂総理大臣である。もう一人は、伊東市の田久保市長である。産経抄の趣旨は、2人とも辞職すべきであるという見解と読んだ。至極当然のことである。
 さて、今回私が取り上げるのは、後者の伊東市の田久保市長についてである。
報道で明らかとなっているとおり、問題の発端は、田久保市長が、東洋大学法学部を卒業していないにもかかわらず、大学を卒業していると市の公的文書に記載したことである。
 一般論として考えれば、自分自身が大学を卒業しているのか、あるいは除籍処分を受けているのかは、普通の健康な大人の記憶力を前提に考えれば、間違えるあるいは誤解するという事態は起こり得ない。卒業するには、筆記試験を受け、あるいはレポートを書いて卒業に必要とされる最低数の単位をとる必要があるからである。最近ではどうなっているかはよく知らないが、昔は、普通の企業(または官公庁)に正式に就職しようとした場合、入社前に、採用企業の人事担当者に対し卒業証明書を提出する必要があった。
ところが、除籍になっているということは、必要な単位が不足していたということである。当然、学部長および学長の公印が押してある卒業証書ももらえないのである。そもそも手元にないのである。
 以上のことから、通常、大学卒業したはずの20歳代前半の当時から、卒業証書が手元にない場合は、自分で「卒業していたものと信じていた」という認識ないし記憶は本人の頭の中に残ることはあり得ない。
 ところが、報道によれば、田久保市長は、「自分では卒業したものと思い込んでいたが、大学の事務局に確認したところ、除籍処分を受けていたと聞き、自分が大学を卒業していないことが分かった」と述べているが、上記の根拠から判断する限り、これは到底信じ難い。
 もちろん、田久保市長の内心の意識は、上記発言のとおりだった可能性は残るが、しかし、裁判所を含めた広い世間の認識は別物と心得るべきである。 
 次に、田久保市長は、伊東市議会から自治法100条に基づく調査権の対象となっている(100条調査権)。ところが、田久保市長は、いわゆる100条委員会からの正式な要請があったにもかかわらず、出頭、証言、記録の提出を拒んでいる。それどころか、「何についての証言を求めているのか不明であるから、要請には応じられない」、「今回の不出頭は、正当な理由にもとづくものである」という奇妙な屁理屈を述べている。
 しかし、このような詭弁が通る余地はない。なぜなら、市長の学歴疑惑をめぐって市政が混乱・停滞しているのであるから、100条委員会は、その点について聴くために出頭、証言、記録の提出を求めていることが明らかだからである。
 そもそも100条委員会で、詳細な質問(尋問)事項書面を事前に作成し、それを相手方に送付する必要があるという法律の明文はない。不出頭に正当な理由は見当たらないのである。
 よって、田久保市長の不出頭、証言拒否、記録提出の拒否の各行為には、違法なものであるとの評価を受け、結果、6か月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金刑が科されることになる(自治100条3項)。これらの余計な行為をしたことによって、新たな犯罪を犯したことになる。事態は悪化の一途を辿っているということである。
 より問題な点は、しばらく前に、卒業証書らしきものを、市庁舎の中で市議会の議長などに一瞬見せたという件である。私は、テレビニュースでその光景を見たが、田久保市長の、大人とは思えない振舞いには呆れた。これが自治体の首長のすることか?
 その際、卒業証書らしき書面は、田久保市長個人の代理人弁護士の事務所の金庫に保管されているという報道が続いた。
 私は、これには驚いた。報道の真偽はともかく、仮に代理人弁護士の事務所の金庫に保管されているという報道が正確なものと想定した場合、次のような問題が生じ得る。
 田久保市長が市議会関係者に対し、一瞬見せたという文書は、当時の田久保市長の思惑によれば、大学が作成した「本物の卒業証書」であるという前提であったと解される。しかし、現時点では、大学を除籍されているという客観的状況を踏まえると、当該文書は、文書を作成する正当な権限を持たない者が、恣意的に作成した怪文書ということになる。卒業証書まがいの怪文書ということである。
 この場合、仮に田久保市長自身または同人から具体的指示を受けた者が自ら偽造した場合は、偽造した者に刑法159条の私文書偽造罪が成立する(3月以上5年以下の拘禁刑)。田久保市長が全く関与しないまま、それ以外の第三者が勝手に偽造し、それを受け取った田久保市長が、あたかも卒業証書に見せかけるために議会関係者に見せた場合は、刑法161条の偽造私文書行使罪が成立する(3月以上5年以下の拘禁刑)。
 いずれにしても、田久保市長には上記の罪が成立する可能性がある。そのような状況下において、問題となるのは、当の怪文書の所在である。
 以下の記述は、あくまで代理人弁護士が、上記怪文書を事務所の金庫に保管するという事実があったことを大前提とする。その場合、その当否が問題となる余地がある。
 日本弁護士連合会が定めた「弁護士職務基本規程」は、第5条で、「弁護士は、真実を尊重し、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行うものとする」と定める(信義誠実義務)。また、その第14条では、「弁護士は、詐欺的取引、暴力その他違法若しくは不正な行為を助長し、又はこれらの行為を利用してはならない」(違法行為助長禁止義務)と定めている。
 怪文書を弁護士事務所の金庫に保管するという行為は、果たして依頼者の正当な利益を実現するものと断言できるであろうか。また、法解釈次第では、保管者自身について刑法104条の証拠隠滅罪(なお、ここでいう「隠滅」には、隠匿も含まれると解されている。)が適用される可能性も捨てきれない。今後起こりうるあらゆる事態の予測を踏まえ、ここでは慎重にも慎重な対応が求められよう。
 では、田久保市長はどのように対応すればよかったのか。私見によれば、最初から大学を卒業していなかったと認めておけばよかったのである。「記憶違いだった。申し訳ございませんでした」と素直に訂正しておけば、結果的に、大事に至らずに、事態が収束した可能性がある。
 さらに言えば、100条委員会が開催された場合には、これに出頭し、かつ、誠実に証言を行い、また、怪文書も100条委員会に提出し、その上で、真摯な反省・謝罪の記者会見を行うという方法があり得た。
 ところが、現実には、田久保市長のこれまでの行動は稚拙なものであり、自治体のトップに座る資格はないことが明るみになった。なぜ、このような「子供じみた対応」しかできなかったのか?不思議というほかない。
 刑事事件に例えれば、犯人であることを示す明白な客観的証拠が十分すぎるほどある事件において、被告人が「私は無実である。むしろ被害者が嘘をついているのである」と主張し、結果、裁判官の心証を著しく害し、本来であれば執行猶予付きの軽い判決で済んだところ、重い実刑判決を受けることになったようなものである。
 公人(特別職の公務員)たる市長が、自ら地方自治法を無視し、犯罪行為を実行し、かつ、反省もなく開き直るという態度は、言い方は悪いが「レベルが低すぎる」という以外にない。仮に同じようなことが各地で頻発するような事態が生ずれば、日本は法治国家ではなくなるであろう。ここは是非とも白黒のケジメを付けておく必要がある。
 また、8月2日付けの岐阜新聞24面によれば、「伊東市全部長が市長に辞職要求」とある。市職員の幹部級の全員から「辞めろ」という声が出ているのであり、まさに前代未聞の不祥事という以外にない。市の職員も田久保市長を全く信頼していないということである。よって、自治体のトップを務める資質を欠いた田久保市長は、即時辞職する以外にない。また、さらにいえば、今後、伊東市民の民度が問われることになるということである。
(追記)
 現時点(2025年8月4日午前)で田久保市長は、市長の続投を明言しているが、今後、伊東市議会は市長の不信任決議案を可決し、その後、市長による市議会解散、市議会議員選挙という方向に進む可能性が高いと予想する。一国の総理大臣である石破茂による無責任極まる居座り現象が、今回の田久保市長の行動に対し、悪い影響力を及ぼしたと推測されるということである。

(追記2)
2025年8月9日付けのネット記事によれば、田久保市長は、偽造の疑いが濃厚な卒業証書について、再度、市議会議長に対する回答書の中で百条委員会への提出を拒否した。その理由として「弁護士の職務上の義務として提出できない」と主張したと報道されているが、有権者である伊東市民を愚弄するのもほどほどにすべきである。100条委員会は、地方自治法に基づく強制力のある調査権を背景にして、今回、怪文書の提出を田久保市長に対して求めたものである。なぜ、提出拒否を正当化できるのか、田久保市長に代わって、代理人弁護士は、詳細を公に明らかにするべきである。推測するに、おそらく基本的に「守秘義務」を盾にしようとしているのではなかろうか。しかし、守秘義務も絶対的なものではなく、よって無制限に認められるものではない。守秘義務を上回る利益が認められれば義務は解除される(結果、守秘義務を順守しなくても弁護士法違反にはならない。)と解するのが多数説の考え方である。田久保市長の代理人弁護士は、伊東市民に対し、理由を分かりやすく説明する道義的義務がある。今回の事態は異常であり、通常の物事の流れからすれば、遅かれ早かれ田久保市長が窮地に追い込まれることは想像に難くない。
 
 

日時:14:32|この記事のページ

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