各種報道によれば、本年8月20日の夜、谷本将志(35歳)が、神戸市内のマンションに帰宅した女性(24歳)をナイフで刺し殺した容疑で逮捕された。実に卑劣な行為であり絶対に許されない。本日までに明らかになっている数々の客観的証拠(防犯カメラ映像や本人の警察での自供を含む)を見る限り、谷本が殺人行為を実行したことはほぼ疑いないと考えられる。
なぜこのような危険な輩が大手を振って生活することができたのか?報道によれば、谷本は、3年前にも今回の事件と同じような犯罪を犯しており、逮捕されて刑事裁判にも処せられている。驚いたことに、3年前の事件の公判を担当した裁判官は、何と執行猶予を付けていた。ところが、その裁判官は、谷本には再犯が強く危惧されると認めつつ、他方で、谷本に有利な事情として、➀被害女性が重傷に至らなかったこと、➁谷本が犯行を認めて反省の態度を示していること、➂関係者が再犯防止に努めると述べていること、の3点をあげて執行猶予を付けてしまったという。何たる失態か。それこそ今時反省しても遅い。
上記の3点は、普通の刑事裁判においても、普通の弁護人が特に強調する事情であり、定石を踏んだ弁護活動の結果、裁判官が重大な判断ミスに陥って、うっかりと執行猶予を付けてしまったものと考えられる。上記のとおり、当の裁判官も、谷本について再犯を危惧していたのであるから、より慎重に判断をする職務上の義務があった。
大体、➀の事情は、たまたま被害の程度が軽かったというだけのことであり、ひょっとしたら被害者は重傷を負っていたかもしれない。偶然の事情にすぎない。したがって、この事情を重視することは間違いである。➁の事情は、谷本が反省をしているという話であるが、演技であれば誰にでもできる。法廷における被告人の態度または言葉は全くあてにならない。本当のところは誰にも分らないのである。➂の事情であるが、多くの場合、関係者が真剣に再犯防止の有効な対策をとることなど全く期待できない。単なる「空手形」であることが多い。常識で考えても、犯罪者をコントロールするには、相当の経験と専門知識が必要なはずであり、一般の市民が犯罪者を統制することなどできるはずがない。
以上のことから、3年前の刑事裁判を担当した裁判官は、自らの落ち度によって全く落ち度のない人を一人死なせてしまった。尊い命が、間違った裁判が行われたことが間接的原因となって奪われてしまったのである。よって、3年前に愚かな判決を言い渡した裁判官は、仮に良心があるのであれば、早期に裁判官の職を辞職し、後は、他の職業に就いて余生を過ごした方が良いのではなかろうか。
被害者の人権を第一に考える私としては、二度と同じような事件が起きないよう、犯罪性向が顕著な輩に対しては積極的に厳罰を下し、特に他人を殺害したような凶悪犯罪者に対しては、二度と犯行を重ねないようにするため可能な限り死刑を選択し、あの世に送ってやるのが相当と確信する。弁護士の中には、死刑の廃止を叫ぶ者もいるようであるが、全く理解できない。死刑制度は堅持する必要がある。
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