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弁護士日記

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渡辺晋著「借地借家法の解説」を読んで

2021年06月07日

 私は現在弁護士である。弁護士である以上、市民向けの法律相談などには最大限協力する責務がある。その場合、問題となるのは、近時、法令の改正が頻繁に行われ、また新しい法律が作成されることから、弁護士が心得ておく必要のある法律の範囲・ボリュームがひと昔と比べ、膨大な量となっていることである。昔は、法律相談に必須の法律は、民法と借地法・借家法くらいで済んだ。司法試験に備えて猛勉強した法律知識で、何とか間に合った。
 ところが、現在では、法律相談において一番重要な民法が大きく改正され、また、時代のニーズに沿った新法も、毎年のごとく出てくる。本当に大変な時代になったものである。一般の事件の処理以外にも、日々法律の勉強が欠かせない時代となった。半面、判例や専門分野の法的文献の検索は電子記録やインターネットを通じて極めて容易になったため、昔のように図書館に通って調査する必要はない。
 しかし、現在においても、最新の知識を得る方法の王道は、本であろう。本は、パソコンなどの特別の機器がなくても、手元にあれば即座にめくって読むことが可能である。要注意箇所には付箋を付けておくこともできる。こんな便利なものはない。半面、私はインターネットで文献を読むことは嫌いである。ほとんどしない。理由は、目が疲れるからである。
 さて、今回紹介する本は、渡辺晋弁護士が著した「借地借家法の解説」という本である(令和3年発売の四訂版。住宅新報社。定価は2800円+消費税)。渡辺晋弁護士は、これまで土地賃貸借や建物賃貸借の分野で非常に優れた著作を多く出されている、日本でも有数の弁護士である。
 少し前に、私は、借地借家法を扱った参考書が必要となり、名古屋まで行き、大型書店で探してみたが、私の要求に達した本は一冊もなかった。理由は簡単である。「借地・借家の法律相談」という類の本は、ほぼ全部共著となっていたためである(より正確には分担執筆)。共著は、大勢の弁護士が分担して執筆をしている関係上、統一感がない。換言すると体系性がない。中には優れた原稿もあれば、反面、お粗末な原稿もある。それらが混ざって編集されているため、読んでも頭に入らないのである。文学小説に例えれば、複数の小説家が分担して一つの小説を書いているようなものである(ただし、現実にはそのようなスタイルの小説は存在しないのではなかろうか。)
 あきらめて本屋を出ようとしたが、念のため、別のコーナーを回っていると、渡辺氏の「借地借家法の解説」が目にとまった。パラパラとめくってみると、文字の大きさも適当な大きさを保っており、非常に読みやすい(最近、やたらと細かい文字を使い、多くの情報を詰め込んでいる法律書をよく見かけるが、愚の骨頂というべきである。読んでもらえなければ何の価値もないからである。)。
 この本は、コンメンタールつまり逐条解説の本というスタイルをとっている。一般の弁護士のように、一定の法的基礎がある者にとっては、逐条解説の本の方が、効率的に理解が進むと思われる。
 今回の渡辺弁護士の手による「借地借家法」は、非常に分かりやすく丁寧に解説が行われており、すらすらと読むことができる。つまり、現在の自分の知識がどの程度のものであるかを確認することができる。また、判例の引用も多く、裁判所の考え方を容易に知ることもできる。
 これだけ要領よく書かれた本は、過去にはほとんどなかったのではなかろうか。弁護士に限らず、税理士、司法書士、行政書士などの士業の方々にも広く勧めることができる本といえよう。

日時:17:28|この記事のページ

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