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弁護士日記

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蛭子能収著「ひとりぼっちを笑うな」を読んで

2014年08月26日

 日頃、法律書などの硬い本ばかり読んでいると、たまには肩の凝らない本が読みたくなる。そこで、たまたま本屋で蛭子能収(えびす よしかず)さんが書いた「ひとりぼっちを笑うな」(KADOKAWA)を見つけ、早速読んでみた。
 著者の蛭子さんは、本業が漫画家であり、テレビにも時々顔を出している。私は、「ローカル路線バス乗継の旅」という番組が好きで、毎回みるようにしている。内容は、知っている方には説明する必要がないであろうが、俳優の太川陽介さんと蛭子さんがレギュラー参加者で、この他にもうひとり毎回日替わりで違う女優ないし女性タレントが加わり、決められた目的地を目指し、持参の地図帳や地元の人から聞いた交通情報を頼りに、3泊4日以内のバス旅をするというものである。
 その番組の中で、蛭子さんは、何時もマイペースでいる。なかなか面白い人だと思っていたところ、上記の本に出会ったので、早速購入して読んだという次第である。本を読んだ結果、蛭子さんと私との間には、かなり多くの共通点があることを知った。
 この本の第1章は、「群れずに生きる」というタイトルとなっている。蛭子さんは、あくまで個人の自由を大切にする人である。そのため、誰かとグループになって徒党を組むようなことはしない。また、無理に友達を作ろうともしない。それどころか、「友達はいらない」とまで宣言する。私も、少し似たところがあり、昔から同業者が集まる会合などには、なるべく顔を出さないようにしている。
 これについては、昔、私が独立して事務所を立ち上げた際に、先輩弁護士から「事務所を繁盛させようとするなら、同業者の会合などには欠かさずに顔を出して人脈を作ることが重要だ」とアドバイスされたことがある。実にまっとうな意見であり、私としては反論のしようがなかった。
 しかし、私の場合、事務所を繁盛させて多くの弁護士やスタッフを雇用することには全く興味がなかった。私としては、一弁護士として生活さえ出来ればよいと考えていたからである。内心嫌々、会合などに顔を出して人脈を広げることよりも、自分の興味のあることに時間を費やしたかったのである。
 その効果があったのかどうかは分からないが、これまでに単独執筆の法律書を10冊以上、出版することができた(10冊以上単独で法律書を執筆している弁護士は、優に1000人を超える愛知県弁護士会の会員のうち、おそらく10人もいないのではないだろうか。)。
 話が逸れたので、蛭子さんの本に話題を戻す。蛭子さんは、この本の第2章で、「自己主張はしない」と述べる。さすがに、この点は、私は違う。蛭子さんと同じ考え方では、弁護士業はとても成り立たないからである。私は、自己主張はする。しかし、厳密には、依頼者の正当な利益を図って、いろいろと主張をするということである。
 ただし、蛭子さんが「贅沢品・高級品で自己主張はしない」としている点は、私も同様である。私は、高級車に乗らないし(自分名義の車は持っていない。)、高級腕時計をしていることもない(セイコーの普通の腕時計で十分である。)。
 また、蛭子さんは、「余計なことをしなければ他人に嫌われない」という。全くそのとおりである。しかし、世の中をみると、他人に対し、余計なことどころか、大きな迷惑をかけておきながら、「法律に違反していないから、自分は何も悪くない」と開き直る人物に遭遇することがある。しかし、他人が訴えて仮に法律に違反していると司法判断されたときは、それは重大な事柄であり、本人にとっては極めて不名誉なことである。決してあってはならないことなのである。
 普通の考え方に従えば、法的に判断する限り法律違反はないと最終的に結論付けられる行動であっても、違反の疑いが濃厚であるような行為は、普通の人であれば、自主的に差し控えるものである。なぜなら、そのような横着な思考方法を常にとっていると、間違いなく他人に嫌われ、場合によっては恨みをかうことにもなりかねないからである。
 つまり、法律に違反していなくとも、常識的にみてやや問題があると思われる行為は、やめておくというのが、世間の大人の処世術といってよいであろう。

日時:16:39|この記事のページ

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