令和6年の1月を迎え、新聞等でみるニュースは、暗い内容のものが多い。能登地方の大震災を初めとして、自民党の裏金問題、また、京都アニメーションの虐殺事件の死刑判決報道など、喜べないものが多い。昨日出た死刑判決は当然の結果である。多数の罪もない人間を放火という残忍な手段を使って殺害した極悪の被告人青葉が、死刑判決を受けることは当然の結果である。ところが、昨年、一部の弁護士において、死刑は憲法36条が禁止する残虐な刑罰に該当するという理屈を立てて、死刑制度廃止の機運を盛り上げようとする動きがあった。しかし、これは明白に無理な主張である。
なぜなら、最高裁も下級審も、死刑が憲法36条に違反するという見解をとっていないからである。したがって、このような間違った主張は、一部の者が勝手に唱える独自の見解にすぎない。また、そのような間違った主張を唱える動きは、日本国民の大多数の意見にも反したものであって、世論の支持も全くない。一般国民からすれば、「何を訳の分からないことを言ってんだ」という反発感情が生じ、弁護士という職業に対する不信感ないし警戒感が増すという悪影響の方が大きいのではなかろうか。
死刑廃止論者の真の狙いがどこにあるのかは不明であるが、いわゆる政治的な運動の一種と認識するのが相当であって、法曹たる弁護士が積極的に首を突っ込むべき事柄ではない。法律の改正を検討する役目は立法府である国会にあり、弁護士本来の職務とは考え難い。
さて、話題は変わる。私は、長年にわたって農地法の内容について勉強を重ねている。私は、これまで何冊かの解説書を出してきた。農地法の本に、交通事故関係の本を合わせると、過去に出した本は全部で15冊を超える(すべて単著であり、相当額の印税もいただいた。)。この度、新日本法規出版から「条文セレクト注釈農地法」を本年4月以降に出す運びとなった。原稿の執筆は昨年の夏以降の数か月間で終え、ゲラ刷りを、今年になって出版社から受け取った。そして、ゲラ刷りの著者校正が終わったのが3日前のことであった。いつものことであるが、ゲラ刷りの校正は本当に神経を使う。高度の集中力が求められる。なぜなら、万が一誤字・脱字等を見逃すと、本が世に出てからでは万事休すとなって、えらいことになるからである。
今回の本は、従来のものとは違って、一種のコンメンタールとなっている。ただし、農地法の全条文について注釈を行うのではなく、重要と思われる20個の条文についてのみ注釈を加えている。本のページ数は250頁ほど、定価は税抜きで3000円となる予定である。興味のある方は購入されるとよいであろう。
(追記)
1月27日付けの新聞報道によれば、被告人の青葉は、地裁の判決を不服として控訴したという。控訴は法律上の権利であるから、控訴したければするがいい。しかし、青葉は、自分が故意に放火をして多数の人間を焼死するに至らしめたという責任をどう考えているのか?放火殺人事件を起こして多数の罪もない人々を殺しておきながら、「自分だけは何とかして助かりたい」ということなのか?この男の自己中心的な考え方には辟易した。さっさと刑に服し、あの世に行くことが、事件で殺された人々に対する供養になるはずである。
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