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弁護士日記

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設例農地法入門[改訂版]好評発売中

2010年04月20日

 私が新日本法規出版さんから出させていただいた「設例 農地法入門[改訂版]」の売行きが好調と聞いている。初版1刷りは、合計3000部を今年の3月26日に発売した。
 農地法の改正については、昨年6月に法律が成立したのであるが、法律の運用に必要不可欠な政令・省令・通知が、昨年の12月中旬になるまで確定していなかった。そのため、改正農地法の概要を紹介する本は当時他社から出されていたものの、細部については全く不明の状態が続いていた。私としては、その僅かな情報を手掛かりとして、前著である「設例 農地法入門」の改訂版の構想を練るほかなかったのである。
 このような経緯をたどって、私は、昨年12月下旬から、「設例 農地法入門」の本格的改訂作業に入った。年末年始は、1日余りを除いて、ほぼ休みなしで改訂作業に没頭し、ようやく本年1月中旬に改訂原稿を出版社に渡すことができた。その間、新日本法規出版の担当者の方には、何回も私の事務所に足を運んでいただき、綿密な打合せを行った。担当者の方には、心より御苦労さまと申し上げたい。そして、ようやく、3月26日の発売に漕ぎつけたのである。
 さて、「設例 農地法入門[改訂版]」の特徴であるが、第1に、改正農地法に基づいた最新の法令によって解説されていることである。法律書というものは、文学書や歴史書と異なって、法律の内容が変われば、ただの紙くずになってしまうという運命を背負っている。最新の内容でないと役に立たないのである。特に、法律家にとっては、現時点での正確な法令を理解しておく必要がある。古い法律の理解のままで、一般人からの法律相談に臨むことは、間違った助言をする危険があって許されない。ただし、問題となっている法的紛争が、旧法下での権利義務にかかわるものであるときは別である。その場合は、旧法下の法律解釈が基準となるため、旧法下の法律によって答えを出す。
 第2に、判例索引や事項索引が付いていることも非常に重要である。本の売れ行きを左右すると考えても間違いではない。少なくとも、事項索引が付いていない本は、私なりの基準によれば、法律書ではない。そのようなものは、単なる解説書にすぎない。事項索引が付いていないと、読者からすると、非常に使いにくい本となってしまう。「設例 農地法入門」については、読者の利便性を考慮して、初版も改訂版も、きちんと判例索引および事項索引が付いている。
 第3に、設例が多く掲げられている。いわば、演習問題が付いているのと同じであるから、単に法律の解釈論を読むだけでは理解しにくい問題についても理解が容易となる。つまり、具体例に当てはめて考えることによって、農地法が容易に理解できる工夫がされている。 
 農地法は、条文を見ていただければ分かることであるが、民法や刑法などの主要な法律と比べて、非常に分かりにくい条文の体裁をとっている。そもそも国民に分かりやすい法律を立法しようという精神が欠落している。国民にとって簡潔で分かりやすい法律となってしまっては、かえって霞が関の官僚にとって都合が悪いことがあるのかもしれない。国民にとって分かりにくい法律であればあるほど、法令解釈・運用の専門家である霞が関の官僚の優位性が高まるからである。そのような一部の国の官僚だけが法律解釈運用権を独占する状態は、明らかに良くないことである。そのような状態が発生することを少しでも防止することは、本書執筆の一つの動機である。
 なお、「設例 農地法入門[改訂版]」については、既に在庫が徐々に少なくなりつつあるという話を出版社の担当の方から最近聞いた。早くも増刷に入るとのことである。

日時:13:20|この記事のページ

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