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弁護士日記

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賠償金が2.5倍に増えた

2015年09月16日

 平成24年の夏に、山本さん(ただし仮名です。)から相談を受けた。相談内容は、「損保の担当者と揉めている。他の法律事務所に相談したが、担当弁護士は、余りやる気がないように見えた。そこで、今後の対応について相談したい。」というものだった。
 そこで、私は、このまま通院を継続するようアドバイスするとともに、山本さんの代理人に就いた。山本さんのケースの問題点は、自身が代表となって立ち上げた会社が、起業直後であったため、収入がほとんど上がっていないということだった。
 それから7か月ほど経過した平成25年の3月に山本さんの症状が固定した。症状固定を受けてその年の6月に自賠責保険に対し被害者請求を行った。その結果、障害等級12級5号が認定された。
 これを受けて、同じ年の12月に日弁連交通事故相談センター愛知県支部に対し、示談斡旋を申し立てた。示談斡旋の担当弁護士は、2人である。2人が共同で斡旋を行う。
私も山本氏も、適正な斡旋金額を提示してもらえば、示談で済ますつもりであった。
 ところが、示談斡旋担当のX弁護士は、最新の交通事故の実務を余りご存じないようであった。なぜそのように言えるのかと言うと、発せられる質問が、全く的外れの内容だったからである。どの分野でも同じことであろうが、その人物がどのような質問を発するかで、大体の実力が分かるものである。例えば、剣道の達人は、対戦相手の構えを見ただけで、どれほどの腕前かがすぐに分かると言う。それと同じである。
 懸念は的中した。平成26年1月になって示談斡旋担当のX弁護士らが提示した賠償金額の案は、569万円という低額であった。私は、これでは問題にならないと思った。損保の担当者も、何を考えていたのかは知らないが、X弁護士らの提示した金額が高すぎるという理由で拒否した。示談斡旋は不調となって終わったのである。
 そこで、私は、平成26年の春に、上記の障害等級に対し異議申立を行い、異議が通って障害等級が併合9級にアップした。そのような手続を踏んだ上で、山本氏は、その年の秋に名古屋地裁に提訴した。
 このたび、裁判所から和解勧告があり、平成27年の夏になって「1470万円ではどうか?」という提案があった。この金額について、原告・被告双方とも受け入れたため、本日、無事に和解が成立した。
 思えば、X弁護士が、平成26年1月に提示した賠償金額569万円という内容を、双方とも受け入れていたら、その時点で、山本氏が受け取れる賠償金額は確定していた。仮に、山本氏が弁護士を付けずに自分だけで示談斡旋を申し立てていたとしたら、その金額が妥当なものか否かの判断は、相当難しいものになっていたのではないだろうか?「弁護士が出してくれた金額だから間違いない」と勘違いした危険もある。
 今回は、山本氏が裁判を選択した結果、裁判所の方から1470万円という数字が提示され、山本氏も私も、また、被告側の弁護士もそれに同意したため、妥当な線で事件は決着したのであった。以上、裁判の結果、賠償金額が、2.5倍に増えた事例をご報告させていただいた。
                              

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