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弁護士日記

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裁判所で和解した

2009年07月14日

 上田さん(ただし仮名)から、損保からの賠償金額の提示があったが、少なすぎるのではないか、というご相談を受けたのは、昨年の夏のことであった。上田さんは、60歳を超えられた年齢ながら、元気で仕事に就いておられた。ところが、仕事中某県内の高速道を走行していたところ、遠くの他県から来た加害車に追突され、その結果、併合4級の重い後遺障害を残す体となった方であった。
 これに対し、損保は、2500万円余りの損害賠償金を支払う用意があることを本人に伝えてきた。しかし、上田さんが自分で計算しても、2500万円という数字には納得がいかなかった。そこで、上田さんは、これ以上損保と自分だけで交渉してもらちがあかないと判断し、まず自賠責保険に対し、被害者請求を行って、1889万円を受け取った。この段階で、損保の提示額は、2500万円余り-1889万円=676万円になった。
 その後、私が上田さんから正式に委任を受けて損保と交渉を行った。その結果、損保の提示額は、以前よりも相当に増加したが、しかし最終支払提示額は2094万円止まりであった。私は、これ以上交渉を重ねても前進はないと判断し、平成20年の秋に某地裁支部に提訴した。提訴額は3000万円ほどであった。
 その後、何回かの裁判が重ねられたが、裁判官の方から「今回の事件は和解で解決してはいかがでしょうか?」という話があり、また、損保側の代理人弁護士も和解での解決を望むという意向であった。そこで、私も上田さんの希望を聞いたところ、「和解でもかまいません」とのことであった。
 裁判官の方から、「損害項目を細かく示すことは致しません。合計額だけを示す方法によります。」という話があった。後日、裁判官から私の事務所に直接お電話があり、「2800万円としますので、ご検討ください」という内容であった。
 私としては、いろいろな点を考慮したところ、2800万円という和解額は、おおむね妥当な線であって、これを受け入れる方向で上田さんに対し検討をお願いした。その結果、上田さんもこれを了解された。
 そして、平成21年6月に正式に和解が成立して、事件は無事終了した。私が裁判官の和解勧告を受け入れた要因は、第1に、金額的にみておおむね妥当であること、第2に、裁判官の人柄が誠実そうな印象を受けたので、この人物の勧告であれば、素直に従おうという気持ちになったことが大きい。仮に、担当裁判官に関し誠実さを欠く人間であるという印象を持っていたとしたら、おそらく和解勧告をけって、判決まで行っていたのではないかと思う。
 今回の上田さんの事件の場合、損保の当初実質提示額676万円であった。それが、裁判を起こし、裁判上の和解によって2800万円になったのであった。増加率は、おおよそ4倍であった。
 交通事故被害者にとって、損害賠償金は、余生を人間らしく送るための重要な原資である。自分一人だけの考えで判断して損保が作成した示談書に安易にハンコを押すのではなく、事前に専門家によく相談をして、良い方策を皆で考えることが大事であろう。

日時:15:07|この記事のページ

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