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弁護士日記

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最新交通事故判例紹介(その4) 症状固定後の治療費等を認めた事例

2016年07月11日

 一般的に言って、交通事故の賠償責任は、症状固定時を基準として一区切りされる。例えば、事故で怪我をした被害者が、医療機関で治療を受けた場合、治療費の支払は症状固定日をもって一応終了となる。つまり、加害者が賠償責任を負うべき治療費は、症状固定日までの分となる。
 その後に被害者がいくら通院しても、その費用は自己負担となる。これが原則である。しかし、原則には必ず例外があり、例外が一切ない原則は、通常ありえない。治療費の場合も同様であり、たとえ症状が固定しているとしても、その後の状態悪化を防止するなど相当の理由があれば、将来治療費も認められる(通説)。
 この点に関し、大阪地裁平成27年5月27日判決は、事故時74歳の高齢女性について、症状固定後の治療費の支払を加害者に命ずる判決を下した。同判決によれば、被害にあった高齢女性は、自賠責保険の後遺障害等級認定によって、障害等級が1級1号に該当するとされていた。同判決は、被害者は症状固定後も病院に入院しており、将来も入院する予定であることを認め、症状固定後の将来治療費についても事故と相当因果関係があると認定した。そして、将来治療費が認められる期間として、平均余命12年間にわたって1127万円余りを認めた。
 この被害者の場合、高齢者でもあり、また、自賠責保険が認めた障害等級が1級でもあったことから、誰が考えても今後も年々治療費が嵩むことが予想できる。その年々発生する多額の費用を、被害者の家族ではなく、加害者に負担させたものであって、極めて妥当な結果と言えよう。また、同判決は、症状固定後の入院雑費628万円余り、将来の付添看護費1494万円余り、被害者に付けられた成年後見人(弁護士)費用124万円余りも、事故と相当因果関係のある損害と認めており、弱者である被害者の立場に一定の配慮を示した妥当な判決として評価することができる。
 なお、同判決の出典は、ぎょうせいが発行する「交通事故民事裁判例集」であるが、この本には判決を下した裁判官の氏名も明記されている。一般的に言って、妥当な判決を書く裁判官は、法律に関する豊富な知識があり、また、人間的に見ても人格者の方々が多いように思われる。
 換言すれば、知恵を持った裁判官ということができる。私の短い個人的経験から見ても、人格的に優れた裁判官は、やはり地方裁判所長などの管理職まで出世される確率が高いように思える(ただし、出世できなかった裁判官が、全員、能力又は人格的に問題があるということでは決してない。)。
 ちなみに、私が代理人となって裁判を行った土地がらみの某事件では、原告のA氏は弁護士を付けることなく本人訴訟を行い、一審で完敗した。二審(控訴審)から、私がA氏の代理人に就いたのであるが、仮に、高裁で判決になれば「控訴棄却」で負けることは必至と判断した。ところが、当時高裁で事件を担当されたB裁判官は、非常に物事が分かっている方であったため、双方に対し、和解を提案され、結局、一審で完敗した私の依頼者A氏の利益も守られる内容で和解が成立した。
 そのB裁判官は、その後、某地裁の所長として栄転されたと聞く。仮に別の裁判官が事件を担当していたら、紛争は未だに終結せず、不毛な争いが今でも継続していたのではないかと思う。やはり、「裁判は、みずもの」であり、事件を担当する裁判官によって、その結果が大きく異なることがある。

日時:14:07|この記事のページ

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