今回私が企画したのは、交通事故に関する基本書である。私は、過去に、技術書院という出版社から「交通事故賠償問題の知識と判例」という解説書を出させていただいたことがある(2004年5月)。昨年は、この本の初版を出してから相当の期間が経過したので、その改訂版を出そうと考えていた。
ところが、出版元の会社が出版不況のために倒産してしまった。そこで、私は、改訂版を出していただける出版社を探した。すると、幸いにも、今年の3月上旬に、すぐに引受け手が見つかった。東京に本社がある大成出版という会社である。大成出版からは、わざわざ、名古屋の当事務所まで、常務取締役のほか2名の方が来られた。そして、その場で話が決まったのであった。
今回の本は、前回私が出した本の改訂版ということで執筆作業が始まったのであるが、実際に出来上がった原稿を読むと、決して改訂版ではなく、むしろ別の本という表現の方が正確ではないかと思った。原稿の執筆は、今年の4月下旬に始まり、今年の9月末日に完成した。執筆期間は、形式的には、5か月であるが、途中、私の体調不良で執筆を休んだ期間が1か月弱あったので、実質的な期間は4か月強であった。
本の構成は、本文のうち、第1編が交通事故の責任論であり、約90頁である。同じく第2編は損害論であり、約160頁である。両方合わせて約250頁となっている。
また、資料は、約30頁弱である。これに、目次および索引が付くので、完成後の本は、頁数が全部で約300頁となる予定である。
本の内容は、人身事故に関する法律上の諸問題を扱っている。実務の動向を忠実に表す下級審判例についても、最新の判例を多く掲載した。掲載した判例の原本は、ぎょうせいから出ている「交通事故民事裁判例集」である。交通事故民事裁判例集に掲載されている何百もの判例について、自分の目で直接見た上で、その内容を理解し、その要約を、今回の企画にかかる本の原稿に書き入れるという作業は、本当に苦しい作業であった。
しかし、そのような苦しい作業を経て、今まで自分ではよく分かっていたつもりの論点についても、より深く問題点を掘り下げることができた。また、最新の情報に接することによって、実務の動向を的確に把握することができた。
最後になったが、今回の本は、ある程度の法律知識や実務上の決まり事を心得ている方々のために書かれたものであり、まったくの素人さん向けの本ではない。したがって、想定される読者としては、例えば、交通事故の賠償問題に直面している方々、登録したての若手弁護士、損保会社の担当者、自治体の交通事故相談担当者の方々などがこれに該当するのではないかと考えている。
本の完成時期は、来年の1月上旬の見込みである。本が完成したら、またその時点で紹介をさせていただこうと考えている。今は「乞うご期待」といったところであろうか。
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