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弁護士日記

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賠償金額が2.1倍になった

2011年07月06日

 最近、交通事故紛争について相談を受けて、日弁連交通事故相談センターで解決した事件があった。
 この事件の依頼者は、田中さん(仮名)という女性であった。田中さんは、車に乗って交差点を通過しようとした際に、相手方の車が信号機の表示を見落としたため、事故にあった。車対車の事故であった。
 その事故によって、田中さんは、後遺障害等級14級9号の認定を受けた。しかし、田中さんは、その障害等級認定には不満があった。私が、いろいろと調べたところ、医師の話では、事故によってヘルニアが生じているとのことであった。
 しかし、担当医は、事故前の田中さんの画像がないため、事故によってヘルニアが生じたと断定する診断書は書けない、ということであった。
 そのため、私は、今後、自賠責保険に対する異議申立てをしても、その異議が認められて障害等級が上がる可能性は低いと判断した。そこで、私は、田中さんとも協議の上で、日弁連交通事故相談センターの示談斡旋を利用して、示談によって事件を解決することとした。
 日弁連交通事故相談センター(以下「センター」という。)は、その支部が、地方の各弁護士会に置かれている。愛知県の場合は、愛知県弁護士会に支部がある。したがって、愛知県弁護士会に所属する弁護士が、示談斡旋を担当してくれる。
 さて、今回、損保会社が提示した賠償金額は、189万円余りであった。
 これに対し、田中さん側が、センターに対して申し立てた金額は、498万円余りであった。センターでは、二人の弁護士が示談斡旋を担当してくれる。今回、大ベテランのS弁護士と、もう一人の弁護士が担当をされた。
 私は、第一回の示談斡旋の日に、田中さんの請求が正当なものであることを力説した。しかし、示談斡旋という制度は、あくまで双方が納得しないと示談が成立しない。
 S弁護士の口調から、どうも斡旋案は400万円を下回る金額ではないかという予想が私の頭に浮かんだ。そこで、私は、あえてS弁護士に対し、「金額はおっしゃらなくても結構です」と先に釘を指し、「当方の和解案は、400万円です。損保会社側がこれを検討するということにしてください」と申し出た。
 すると、S弁護士も、「分かりました。その金額を損保会社側に伝えてみましょう」ということになった。私としては、400万円であれば、ギリギリ損保会社は、和解案を飲むと予想したのであった。
 日を置いて、第二回の示談斡旋日があった。私は、その前日に、損保会社の担当者に回答を尋ねたところ、「400万円でいいです」という回答であった。そのため、第二回の示談斡旋日においては、スムーズに400万円で示談が無事成立したのであった。
 田中さんが当事務所に来られた際の損保会社の示談金額は、先に述べたとおり189万円であった。
 それが、日弁連交通事故相談センターでの示談の結果、400万円に増額したのであった。率にして2.1倍の増加という結果となった。
 なお、田中さんは、弁護士特約を利用されたので、弁護士費用の負担はなく、400万円をそのまま受け取ることになった。田中さんは、示談が成立した後に、「本当に良かったです」と感想を漏らされた。私も、同じく良かったと思った。

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